映画『ファインディング・ニモ』でお馴染みのクマノミ。水族館のクマノミコーナーでは、「ニモだ!」なんて声が聞こえてくるほど定着していますよね。
今回は、そんな彼らの驚きの生態に迫ります。毒を持つイソギンチャクと仲良しだったり、オスからメスに性転換しちゃったり…と、クマノミには映画では描かれなかった不思議な能力がたくさん!!
【生態①】イソギンチャクと固い絆で結ばれている!
クマノミと聞いて同時に思いつくのが、イソギンチャクではないでしょうか? この2つの生き物は、切っても切れない深い絆で結ばれています。
クマノミだけが持つ「毒バリア」
実はイソギンチャクは毒を持っています。普通の魚であればこの毒に刺されて近づけませんが、クマノミは全然平気なんです。

なぜなら、クマノミの体の表面は特殊な粘液“毒バリア”で覆われているから!この粘液には、イソギンチャクの刺胞に反応しない性質があり、クマノミは毒から身を守ることができます。
ただし、生まれたばかりの稚魚にはこのバリアがありません。そのため、稚魚たちは少しずつイソギンチャクに慣れていく必要があります。意外にも、成長過程で絆を深めていくパートナーなのです!
クマノミは勇敢な「ホームセキュリティー」
毒のあるイソギンチャクに住みつくことで外敵から身を守れるクマノミ。クマノミにとって、イソギンチャクは家そのものです。

その一方で、イソギンチャクにとってクマノミは家を守る警備員のような存在!
家を守るときのクマノミはめちゃめちゃ勇敢で、住処を守るためなら自分より大きな魚に突っ込んでいくガッツのある行動をするんだとか。これは「ホスト・イソギンチャク防衛」と呼ばれる行動で、捕食者に対して威嚇することがわかっています。
お互いにメリットがある「相利共生」
こうして見てみると、2つの生き物の関係は”相利共生”そのもの。お互いにメリットがある理想的な関係です。
クマノミは毒のあるイソギンチャクの中で外敵から身を守れるし、イソギンチャクはクマノミのおかげで水流が改善されたり、エサをGETできたり、他の魚を追い払ってもらえたりします。

つまり、クマノミはただの居候じゃなくて「家賃を払って住み着いている」ようなイメージなんです!
そんなクマノミだから、イソギンチャクがいないと自分の目的を見失ってしまい、簡単に外敵の餌食になってしまうのだとか…。生まれた時はイソギンチャクの毒バリアを持ってなかったのに、成長過程で切っても切れない関係になるなんて、なんだか不思議ですよね。
【生態②】クマノミの驚きの性転換システム
体の大きさが社会的地位を決める
クマノミの世界では、体の大きさが群れの中での立場を決めます。一番大きい個体がメスで、二番目がオス。これは、単に「メスの方が体が大きい」というわけではなく、体が一番大きい個体がメスの役割を担うという仕組みです。

そして驚くべきことに、何らかの理由でメスがいなくなると、二番手のオスがメスへ性転換します。簡単にいうと“オス卒業!メスデビュー”という感じでしょうか。
映画『ファインディング・ニモ』では、ニモのママはいなかったけど、本来ならパパが性転換してママになるのが自然な流れなんです…笑
まぁでもそうなると人間とあまりにも違いすぎて子どもたちは混乱してしまうと思うので、ディズニーで触れなかった理由もわかる気がします。
クマノミが持つ「雄性先熟」という仕組み
このクマノミのような性転換の仕組みは「雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)」と呼ばれ、体のサイズが社会順位を決める魚に多く見られます。
実は、生まれてすぐはオスでもメスでもないんだそう。稚魚は「両性生殖腺」という、オス・メス両方の特徴をもつ器官を持っていて、成長する過程で役割が決まっていきます。
そんな彼らの性転換のきっかけになるのは、群れ内の順位が変化するとき。視覚・触覚・嗅覚などの社会的刺激がトリガーとなり、脳内ホルモンを変化させて性転換が行われます。
人間の私たちからすると、本当に不思議な生き物です。
プチ豆知識
クマノミはオスとして成熟してからメスに性転換する「雄性先熟」ですが、逆のパターンもあります。メスとして成熟してからオスに性転換する「雌性先熟」のタイプの魚も存在します。
例)ホンソメワケベラ、サクラダイ、マハタなど
【生態③】クマノミは世界に28種!個体差も豊富
世界中では27〜28種のクマノミが確認されており、沖縄にはそのうち6種が生息しています。
種類によって色や模様はさまざま。そして、たとえ同じ種類でも個体差が豊富なのがクマノミの面白いところ。ここではほんの少しだけ、クマノミの仲間たちを紹介したいと思います。
カクレクマノミ

クマノミの中で最もポピュラーな種類。西部太平洋からインド洋にかけて広く生息しており、日本では奄美大島以南、沖縄周辺でよく見られます。
明るいオレンジ色の体に、黒い縁で彩られた3本の白いラインが特徴的。比較的丈夫で温和な性格であることから、ペットとしても人気です。
ハマクマノミ

ハマクマノミは日本からインドネシアにかけて西太平洋に生息する種類で、カクレクマノミと同じく日本では奄美大島以南で見ることができます。
やや赤みがかったオレンジ色の体に1本の白いラインが特徴です。ただし、実際は個体によってバラツキがあり、白いラインが2本ある個体もいます。これは前述したカクレクマノミにも言えること。正直、見た目だけでは判断できないから生息地も大事な手がかりとなります◎
個体差は、遺伝要因や共生するイソギンチャクの種類、成長過程の環境ストレスなどが影響するそうです。
マダガスカルアネモネフィッシュ

マダガスカルアネモネフィッシュは、マダガスカル島周辺にのみ分布する固有種。
黄色味がかった体と、幅の広い白いラインが特徴です。生息域が限られているためクマノミの中では、貴重な種類として考えられています。
yanakijiでは、2025年にマダガスカルを訪れたのでこちらを取り上げてみました!当時、マダガスカルアネモネフィッシュの存在を知らなかったのがとても残念です…。
スパインチークアネモネフィッシュ

スパインチークアネモネフィッシュはクマノミの中で最大級!大きい個体では17cmまで成長すると言われており、カクレクマノミと比べると倍ほどの大きさなんです。(カクレクマノミは最大8cmほど)
スパインチークという名の通り「棘のある頬」が特徴です。非常に縄張り意識が強く気性が荒いことから、攻撃的な性格で知られています。
ニモの正体はカクレクマノミじゃない?
『ファインディング・ニモ』のニモは、“カクレクマノミ”がモデルだと思われがちですが、実は違うんです!
ニモの本当のモデルは「イースタン・クラウンアネモネフィッシュ(Amphiprion percula)」。カクレクマノミにかなり似ていますが、よく見ると少し違います。
・イースタンの方がカクレクマノミよりも黒縁が濃い
・顔の表情がよりはっきりしている

ディズニーがイースタンを選んだ理由は、黒縁が濃くアニメ映えする見た目にあると考えられています。ただし両種とも個体差があるため、見た目だけでなく生息地が識別の重要な手がかりになります。
日本でもよく見られるカクレクマノミは、別名「ウェスタン・ラウンアネモネフィッシュ」。つまり、イースタン(東)とウェスタン(西)で生息域による分類がされているんです。
オーストラリア旅で訪れるグレートバリアリーフでは、カクレクマノミ(ウェスタン)は主に南部に生息する一方、イースタンは北部や東部に生息しているようですよ!
ハマクマノミの時にも紹介したように、見た目だけじゃなく“住んでいる場所”が種類を見分ける大事なポイント。見た目はほぼ同じなのに住むエリアはしっかり分かれているなんて、面白いですよね!
クマノミと海の未来
最後に真面目な話を…。
この記事でご紹介したように、クマノミはイソギンチャクがいないと生きていけません。ところが今、海の温暖化や環境破壊の影響でイソギンチャクは数を減らしてきているんです。
※イソギンチャクはサンゴと同様に、白化現象の影響を受けやすいという特徴がある。
イソギンチャクがいなくなれば、共に生活するクマノミの将来も危うい状況になります。
私たちがオーストラリア旅で訪れる予定のグレートバリアリーフも、いま守るべき“奇跡の海”。可愛いクマノミたちがこれからもずっとイソギンチャクと一緒に暮らせるように、ニモを通して海の未来にも目を向けていきたいと思います◎
ポッドキャストでもこのテーマについて語っています!よかったらこちらもチェックしてみてください。
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