今回は、モロッコ最古の都市「フェズ」の魅力と見どころをたっぷりお届けします!
世界遺産に登録されている旧市街(メディナ)は、迷路のように複雑に入り組んでいることでも有名です。この記事では、初めてフェズを訪れる方でも安心して楽しめるよう「迷子にならないためのコツ」もお伝えしますので、フェズ観光を計画中の方はぜひ参考にしてくださいね!
世界遺産の街「フェズ」とは?

フェズはモロッコを代表する都市のひとつ。
モロッコの中北部に位置し、9世紀初頭にイスラム王朝の都として築かれたこの街は、モロッコ最古の都市でもあります。日本でいう京都のような存在!伝統と歴史が色濃く残っています。
フェズは大きく「旧市街(メディナ)」と新市街に分けられますが、とりわけメディナには中世のイスラム都市の風景が今も残っています。その文化的・歴史的価値が高く評価され、1981年には世界遺産に登録されました。

メディナの特徴はなんといっても複雑に入り組んだ路地。これが「世界一の迷宮都市」と呼ばれる理由です。
迷路のような街並みは、かつて外敵の侵略から都市を守るために築かれたもの。外敵の脅威にさらされることが多い地中海沿岸地域ですので、都市のまわりに堅固な城壁を建て、その内部を複雑にすることで都市の防御力を高めたのです。
フェズで迷子にならないコツ
モロッコの旧市街といえば「マラケシュ」も有名ですが、散策の難易度でいえばフェズの方が高い!!
マラケシュの旧市街は「ジャマ・エル・フナ広場」を中心に広がっているため、迷っても広場に戻ればなんとかなります。一方のフェズはそのような目印となる大きな広場がなく、路地は複雑に入り組んでいるので一度迷うと元の場所に戻るのはかなり大変…。
そのため、フェズの旧市街を迷わず楽しむには、いくつかの主要スポットを事前に把握しておくことがポイントです。

このマップに記載しているスポットは、フェズ旧市街の主要観光名所!ここからは、それぞれのスポットの情報を詳しくご紹介します。
① 旧市街の出入り口「ブー・ジュルード門」

旧市街の散策は、まず「ブー・ジュルード門」から始まります。鮮やかなタイル装飾が施されたアーチ型のこの門は、フェズの象徴的な存在です。
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ブー・ジュルード門をくぐると一気に旧市街の世界が広がります。門は旧市街の外側から見るとブルーで、内側から見ると緑になってます!
車両が通れないほどの狭い路地は人々で賑わい、荷物の運搬には手押し車や馬、ロバが活躍しています。異国情緒あふれるこの光景は、まるで中世にタイムスリップしたんじゃないか…という感覚に陥るほど。

大きなガス缶を10個以上も背中に乗せて歩く馬もいました!なんて力持ちなの…!
多くの人が行き交う狭い路地で、馬やロバが悠然と歩いているのはなんだが不思議な光景ですが、動物たちはおとなしく、街の一部として溶け込んでいました。
ブー・ジュルード門
おすすめ度 :★★☆☆☆(人が多いため撮影の難易度は高めです…。)
おすすめの時間帯 :早朝
② 地図に載っていない?映える路地裏

フェズは、マラケシュの旧市街よりも一つ一つの建物が高く、道が細いのが特徴です。5階建てほどの建物が並んでいるため道がより一層狭く感じられます。

そんな狭い路地裏でも、壁は鮮やかに色づけられており、思わず写真を撮りたくなる「映えスポット」がたくさん!!

この極細道はGoogleマップには載っていないので、メイン通りから気ままに曲がって細い路地に入りましょう。

迷う可能性ももちろんありますが、メイン通りの位置をちゃんと把握していれば問題なし!むしろ、時間に余裕のある方は「迷う」ことを楽しんで、ちょっとした冒険気分を味わうのも良いと思います。
ただ歩いているだけで楽しいので、1〜2時間ほど気ままに歩くのがおすすめです◎

また、フェズの路地裏は猫が異常に多いことも特徴のひとつ。
どこをみても猫だらけで、猫×路地の素敵な写真が撮り放題!路地好きや猫好きにはたまらないスポットです。
カメラを片手に、路地や猫との素敵な出会いを楽しんでください♪
映える路地裏
おすすめ度 :★★★★★
おすすめの時間帯 :いつでも楽しめます!
場所 :Googleマップに記載のない道
③ お土産の宝庫!「タラア・セギーラ通り」

絨毯(じゅうたん)やランプなどモロッコらしい雑貨がずらりと並ぶ「タラア・セギーラ通り」。この通りは、迷いやすいフェズ旧市街の中でも目印となるメイン通りの1つです。
お土産探しにはぴったりの場所で、モロッコらしいアイテムが豊富に揃っています。

この通りを歩きながら、フェズならではの異国情緒にあふれた雰囲気を存分に楽しみましょう!!
絨毯(じゅうたん)屋

ここは、生地や絨毯を扱う専門店が数多く軒を連ねるエリア。大きな絨毯が壁にかけられており、モロッコの伝統的なデザインを間近で楽しめます。さまざまな種類の幾何学模様が可愛らしい…。

数あるお店の中から、親切そうなおじさんに話しかけられてふらっと入店。お店の中には数えきれないほどの柄の絨毯があります。

その中でお目当ての絨毯を見つけ、赤い絨毯を買っちゃいました…!!日本で使うのが楽しみ♪
ランプ屋
モロッコといえば美しい金属のランプも見逃せない!ランプの輝きに惹かれて入ったお店では、驚くほど広い空間が広がっていました。

狭い路地に面しているため小さいお店かと思いきや、奥行きがかなりあります。手前に6畳ほどの部屋が2つ、その奥には50畳ほどの広々としたスペース!まさに隠れた宝庫という感じで、照明やランタン、ランプがところ狭しと並んでいます。どのアイテムも精巧に作られており、万単位の値段にも納得のクオリティです。
ただ、お店によってランプの質が異なるので、購入する際は一通りみてから決めることをおすすめします!
タラア・セギーラ通り
おすすめ度 :★★★★★
おすすめの時間帯 :いつでも楽しめます!
④ 飲食店が多い「タラア・ケビーラ通り」

先ほど紹介した「タラア・セビーラ通り」に続き、迷いやすいフェズ旧市街の中でもうひとつ目印となるのが「タラア・ケビーラ通り」です。
ここは飲食店が多いので、お腹が減ったらこの通りに向かうのが良いでしょう!
通りを歩けば、早速大きなお肉が売られているお店を発見。

モロッコで定番のパン「ホブス」も売られていました。ホブスは、モロッコの家庭やレストランでよく出てくるパンで、食事の付け合わせに欠かせない存在。

ホブスについては以下の記事でも触れているので、よかったらこちらもご覧ください。
露店ではパイや甘いお菓子もたくさん並んでいて、食べ歩きにもピッタリです!

タラア・ケビーラ通り
おすすめ度 :★★★★★
おすすめの時間帯 :いつでも楽しめます!
⑤ 絵画が並ぶ「Rainbow Street Art」

ここは「Rainbow Street Art」と呼ばれる、絵画が並ぶ通り!歩くだけで心躍るカラフルなアートの世界が広がり、通り全体がまるで美術館のような雰囲気です。

端から端まで約30mにわたるこの通りは、どこを切り取っても写真映え間違いなしのスポット◎

インスタ映えするので人気な場所ですが、人でごった返すほどではないです!譲り合ってみんな写真を撮っていました。
Rainbow Street Art
おすすめ度 :★★★★★
おすすめの時間帯 :いつでも楽しめます!
⑥ 職人が集まる「サファリーン広場」

通りをぶらぶらした後、さらに旧市街の奥へと進むと、職人が集まる「サファリーン広場」に辿りつきました。サファリーンは「鍛冶屋(かじや)」を意味し、この広場には金属加工の作業場が点在しています。

広場にはカンカンカン、と心地のよい作業音が響いててそれだけでワクワクしちゃう。
特に印象的だったのは、シンバルのような薄い円盤に、トンカチでナットのようなパーツを打ち付け、模様を描いていく見事な技術◎ 職人の技が一瞬で形になっていく様子に思わず見入ってしまいました。

サファリーン広場で職人たちが加工した金属の中には、模様が美しく刻まれた銅製のポットやマグカップもあります。色は金、銀、そしてピンクがありましたよ〜!ピンクがとっても可愛い。

驚くことに、これらの製品は機械を一切使わず、全て手作りで作られているのだそう…!!
ポットやマグカップは日本円でおよそ3000円ほどなので、手作りの製品としてはとてもお手頃な価格です。
この広場には、職人というだけあって年配の男性が多い印象です!若者はTシャツにジーンズといったカジュアルな装いが多い一方で、年配の男性の多くがシンプルなカフタンを身にまとっていました。カフタンは足首まであるオーバーサイズのワンピースのような形で、色はベージュなど控えめなものが主流です。
サファリーン広場
おすすめ度 :★★★★★
おすすめの時間帯 :いつでも楽しめます!
⑦ まるで巨大パレット「タンネリ工場」

ここは、フェズ必見のスポット!巨大なパレットが無数に並ぶ「タンネリ工場」です。
タンネリという言葉は、植物の樹皮から抽出された渋皮成分「タンニン」に由来しており、フェズではこのタンニンを使った伝統的な「皮なめし」が今も行われています。
そう、この色とりどりの巨大なパレットは、なめし作業の染色桶として利用されているのです。
フェズには「タンネリ・ショワラ」「タンネリ・シディムーサ」など多くのタンネリ工場がありますが、私たちはその中でも1番大きい「タンネリ・ショラワ」に行ってきました!
タンネリ工場の感想については以下の記事で詳しくまとめているので、よかったらご覧ください!
タンネリ工場
おすすめ度 :★★★★★
おすすめの時間帯 :朝方、夕方(影が伸びて綺麗です◎)
⑧ 美しい神学校「ブー・イナニア・マドラサ」

壁面彫刻が繊細で美しい「ブー・イナニア・マドラサ」。ここはイスラム教の神学校(マドラサ)です。14世紀に建造されたこの神学校は、フェズで「最も美しく保存状態の良いマドラサ」として知られています。

建物の壁面や扉には緻密な彫刻が施されていて厳かな雰囲気を感じます。
私たちが訪れたのが、ちょうどコーランの前だったので人も少なくほぼ貸切の状態!おかげで、ゆっくり見学することができました。
ブー・イナニア・マドラサ
おすすめ度 :★★★★☆
おすすめの時間帯 :朝方、夕方(影が伸びて綺麗)
営業時間 :9:00-18:00
入場料 :20DH
⑨ 木のぬくもりが魅力「ネジャーリン木工芸博物館」

木のぬくもりが感じられる「ネジャーリン木工芸博物館」もおすすめです。
この建物はかつて「ネジャーリン・フンドゥーク」と呼ばれ、1階は厩舎、2階は宿泊施設として利用されていました。時代とともに、ホテルや警察署、さらには木工品の製作所として移り変わり、現在の木工芸博物館へと生まれ変わりました。

館内は、美しい木製のアーチや手すりが印象的で、白い壁と木の調和が心地よい空間を作り出しています。特に女性人気が高そうなスポットですが、誰でも楽しめると思います!

さらに、屋上に出ることもできるので、そこからフェズの街並みを楽しむのもおすすめ!素敵な風景を楽しみながら、ゆったりとしたひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

ネジャーリン木工芸博物館
おすすめ度 :★★★★★
おすすめの時間帯 :朝方、夕方(影が伸びて綺麗)
営業時間 :10:00-17:00
入場料 :20 DH
フェズ観光の注意点

最後に、フェズ観光における注意点を2つお伝えします!
1.完全な現金社会である

フェズの旧市街は、完全な現金社会です!クレジットはもちろん使えないし、お店の人はクレジットカードという存在をギリギリ知っているかどうか…という雰囲気でした。
ここはまだまだクレジットカードは普及しないんだろうなぁ…。
2.ATMでお金が下ろせないことがある

手持ちの現金が少なかったので、散策を開始してすぐに「ブー・ジュルード門」の近くにあるATMに寄りました。ATMにさえいけば現金が調達できると考えていたのですが、なぜかエラーに。何度かトライするもやっぱりエラー…。
私たちのカードが問題なのか、ATMが壊れているのか…後ろに並んでいた人にも試してもらいましたが、同じように出金できなかったので機械に問題がありそう。
他の場所でATMを見つけるたびにチャレンジしてみましたが、エラー続きで結局諦めることにしました。
後でわかったことですが、私たちがフェズを訪れたのが月曜日だったため、土日のATMの利用者が多かったことからATMの現金がからっぽになっちゃってたみたい…。
せっかく旧市街に来たのに何も買えない…なんてことにならないよう、事前に十分な現金を準備していくことをおすすめします!
ポッドキャストでは当時の様子を楽しく語っています!ぜひこちらもどうぞ。