一筋の光が命綱になった…グレートバリアリーフで人生初のナイトダイビング。

一筋の光が命綱になった…グレートバリアリーフで人生初のナイトダイビング。

皆さんは「夜の海に潜る」と聞いてどんな世界を想像しますか?
真っ暗で怖い?それとも、神秘的でロマンチック?

実際の夜の海は想像のはるか上をいく世界でした。あたりは漆黒の闇。頼れるのは、ライトが放つたった一筋の光だけ。今回はグレートバリアリーフで体験した「ナイトダイビング」の様子をお届けします!

人生初のナイトダイビング。リアルな心境は?

いま私たちがいるのは、オーストラリアのグレートバリアリーフ。1日4本潜るクルーズ船生活の初日から、早速ナイトダイビングに挑戦します。
※初日の一連の出来事は以下の記事でまとめています。

ナイトダイビング前の心境はというと…やなぎーは正直めちゃくちゃビビっていました。
昼間は太陽があるからなんでも見えるけれど、夜の海は真っ暗。もちろん声は出せません。
もし迷子になったら?途中でパニックになったら?考えれば考えるほど不安が膨らんでいくので、途中からはあえて「想像すること」を止めました。

それでも潜ろうと思えたのは、「ここまで来たなら経験しないともったいない」という気持ちと、バディのきじーと、ダイブマスターのソンさんがいるという安心感があったからです。
「連いていけば大丈夫」その一点だけを信じて、夜の海へ向かいました。

※バディのきじーはナイトダイブ経験者

いざ、夜のグレートバリアリーフへ

時刻は夜7時前。太陽はとっくに沈んでいて、見上げれば濃紺の空に星がキラキラと輝いています。
きじーは枕ほどのサイズの一眼カメラを抱え、やなぎーは心臓をドキドキさせながら、重いダイビング機材を背負って静かに海へ入っていきました。

きじーの水中カメラ
夜のグレートバリアリーフでナイトダイビング

ドボンと海に入った瞬間、まず驚いたのは波の激しさ!!ブワンブワンと大きなうねりが押し寄せてくるので、ロープを掴んでいないと流されてしまいそうです。必死にロープにしがみつきながら、ゆっくりと海底へ向かって潜っていきます。

両手でしっかりロープを掴んでいても、体だけが波に流されてふわっと宙に浮く瞬間が何度もありました。「絶対にこのロープだけは離してはいけない」頭で考えるより先に、防衛本能が働きました。

夜の海は“漆黒の闇”

夜の海で感じる恐怖

海底に近づくにつれて、クルーズ船の灯りが届かなくなり、あたりはどんどん暗闇に包まれていきます。手元に水中ライトを当てないと、ロープを掴んでいる自分の手さえ見えません。
そんな中、ダイブマスターのソンさんから「ロープから手を離して、泳ぎましょう」というハンドシグナルが出ました。

ついに、このときが来た。


不安はあるけれど「ついて行くしかない。呼吸をゆっくりして、落ち着いていけば大丈夫。大丈夫。」と自分に言い聞かせて、ロープから手を離しました。

ロープから手を離したら漆黒の世界

ロープから手を離した瞬間、360度漆黒の闇に包まれます。体は宙に浮いて重力を感じない。まるで宇宙空間に放り出されたような感覚でした。

夜の海は漆黒の闇

水中ライトがあればそれなりに視界が明るくなると思いきや、そんなことは全くない。自分のライトが届くのは1m先くらいの感覚でした。

ライトが届くのは1m先まで

近くに珊瑚や岩がなければ、光はただただ暗闇に吸い込まれて消えていくんです。水中ライトがあったとしても、海底に降りるまでは本当にただただ黒い世界に包まれています。

頼りは1本の細い光

そんな状況の中なので頼れるのはただひとつ。ソンさんが泳ぎながら下に向けて照らす、一本の細い光だけです。

ソンさんが照らす1本の細い光

その細くのびる一筋の光を目印に、ひたすら泳ぎ続けました。「あの光がなくなったら、本当に宇宙に放り出されるかもしれない…」そう思ったら、一瞬たりとも目が離せません。

夜の海では1本のライトの光が頼り(この画像は後日船から撮影したものです)

ただ、周りに何もないと方向感覚を失うのも事実。ソンさんから「下に行きすぎているよ、もっと上がってきて」とサインを出される場面もありました。自分ではまっすぐ泳いでいるつもりでも、気づかないうちに少しずつ沈んでいたのです。

対象物がない暗闇の中では、自分の感覚をまったく信じられない。それがまた、夜の海の怖さでした。

ロウニンアジの大群との出会い

ロウニンアジの大群

漆黒の道のりを乗り越えた先に待っていたのは、大量の魚たち。しかも大きな魚ばかりで、ビュンビュンと猛スピードで泳ぎ回っています。昼間には見たことがない光景に、心の中では思わず「うわ〜〜〜!!!」と叫んでいました。

サメも遠くにいました!

ナイトダイビングでサメに遭遇

かつてきじーがナイトダイビングをしたときには、サメが海底をウヨウヨと彷徨っていたそうですが今日は出会えず…。彼らは臆病な性格なので、他のダイバーより早く潜らないと見られないみたいです。今日は5番乗りくらいだったので、逃げられてしまったのかな。

※グレートバリアリーフ最後の夜には1番乗りを果たし、たくさんのサメと対面してます!その時の様子は以下の記事でご紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

大きな魚の中にサメも混じっていた(この画像は後日船から撮影したものです)

そんな中、何よりも圧倒されたのがGT(ロウニンアジ)の数です。
ロウニンアジは、インド太平洋の熱帯・亜熱帯海域に分布する“アジ科最大級”の魚で、最大全長1m以上、体重50kgにもなります。そんな巨大な魚が、何十匹という単位で目の前を泳いでいるんです。

しかもかなりアグレッシブで、私たちの足にガツンガツンとぶつかってくる始末…笑

ロウニンアジの群れ

実はロウニンアジ、昼と夜で別の生き物のように行動が変わります。
昼間はゆったりした動きで大人しいイメージでしたが夜は全然違う。夜になると捕食活動に全力を注ぐため、動きが一変するんです。沖縄の慶良間諸島でナイトダイブをしても見かけるのは3匹ほどだそうですが、グレートバリアリーフはそれとは桁違い。ライトで照らせる範囲だけでも、大小合わせて50匹はいたでしょうか。その迫力は、まさに圧巻でした!!

ちなみに15年前、きじーがグレートバリアリーフで潜ったときはこれほどいなかったそうです。当時は大型魚の乱獲が問題になっていましたが、今は禁止されて魚の数が回復してきたとのこと。自然が少しずつ取り戻されていく様子を、こんな形で実感できることに、なんだか胸が熱くなります。

ナイトダイビング中に起きた、プチトラブル

ロウニンアジの群れに興奮しながらも、ダイブは続きます。

生き物を撮影しながら、ナイトダイビングを楽しむ

さらに少し泳いではエビがいそうな岩場を覗いてみたり、カラフルなウミウシを観察したり。

夜の海への不安はあっという間に消え去り、目に入る景色をただただ楽しんでいました。

そんな中、ちょっとしたトラブルが起きます。
きじーが撮影をはじめたので、近くにいたやなぎーは「邪魔をしないように少しだけ離れて待機しよう」と、のんびりした気持ちで眺めることにしたんです。

でも、この判断が甘かった…!気がついた頃には、きじーとソンさんのふたりが少しずつ遠ざかっていました。

「あれ…もしかして私、浮上してしまってる!?」
焦ってBCDのボタン(BCDとは、浮力を調整するためのジャケットのこと)を押しますが、こんなときに限って空気が抜けません。

じわじわとふたりとの距離は広がり、彼らが照らす光もどんどん小さくなっていきます。「やばい…!はぐれたら宇宙に放り出される…」そんな不安が一気に押し寄せてきた瞬間、ソンさんが気づいて助けに来てくれました。

急浮上した時のやなぎーの視界

後から映像を確認してみたら、この一連の出来事はほんの数秒のことでした。
でも、あのときの自分にはすべてがスローモーションに見えていたんです。それほどあの瞬間が恐ろしく、そして必死だったのだと思います。

約40分のナイトダイビングを終えて…

なんとか無事に終えた、約40分の初回ナイトダイビング。

夜の海から無事帰還

海から上がった瞬間、きじーとソンさんが優しい笑顔で「楽しめた?」と声をかけてくれました。第一声が「さっきは危なかったね」でも「気をつけてね」でもなく、「楽しめた?」。

その一言が、なんだかとても嬉しかったんです。

さっき急浮上してしまったことを過度に心配されていたら、きっと自分でも不安を引きずってしまっていたと思います。でも二人はあえてそこに触れすぎず、いつも通りの穏やかな空気で迎えてくれました。そのさりげない優しさが、逆に心を落ち着かせてくれたんです。


ダイブマスターのソンさんは、ただ安全に潜らせるだけでなく、本当に楽しんでほしいという気持ちが言葉の端々から伝わってきます。
さらに他のダイバーが来ないような穴場ポイントも熟知していて、そこへ連れて行ってくれる。知識と、ゲストを楽しませようとする姿勢のどちらもが本物の、頼もしいガイドです。

夜の海は怖かった。でもそれを上回るくらい、最高だった。

昼間の美しさとは違う、大型の魚たちがメラメラと動き回る夜の海。暗闇の中で一本の光を命綱に泳いだあの感覚は、言葉ではうまく表せないけれど、きっと一生忘れないと思います。

怖かった。

でも、間違いなく最高だった。この経験が、自分たちをまた少しだけ成長させてくれた気がします。

ポッドキャストでもこのテーマについて語っています!ぜひこちらもどうぞ。

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