世界中のあらゆる砂漠を巡ってきた私たち「yanakiji」ですが、今回はオーストラリアを代表する奇景、ピナクルズ砂漠(The Pinnacles Desert)を訪れました。
ナミブ砂漠、サハラ砂漠、アタカマ砂漠、ゴビ砂漠、そしてエジプトの黒砂漠・白砂漠……。
これまで数々の「ザ・秘境」と呼べる過酷な砂漠を訪れた“砂漠ハンター”の視点から、ピナクルズ砂漠のリアルな魅力と、現地で気づいた野生動物の面白い生態学についてブログにまとめました。
ピナクルズ砂漠とは?まず結論と見どころ

ピナクルズ砂漠は、西オーストラリア州のナンバン国立公園にある奇岩の砂漠です。
黄色い砂地の上に、石灰岩の柱が無数に立ち並ぶ不思議な景色が広がっています。サハラ砂漠やナミブ砂漠のような大砂丘ではなく、砂漠の中に「石の塔」が突き刺さっているような景観が特徴です。


まず結論から言うと、ピナクルズ砂漠は「秘境に行きたい人」よりも、「パースから気軽にオーストラリアらしい絶景を見たい人」に向いている場所です。
ただし、夕方だけは別格。

日が沈む直前、石柱の影が長く伸びて、黄色い砂の上に不思議な模様を作り出します。観光地化されていることに最初は驚きましたが、あの夕暮れの景色を見た瞬間、「これは来てよかった」と素直に思えました。
パースから日帰りで大自然を満喫するおすすめドライブコース
レンタカーでピナクルズ砂漠へ!
ピナクルズ砂漠は、西オーストラリア州の第4の大都市「パース」から車で約2時間という抜群のアクセスを誇ります。パース発着の日帰りツアーもたくさんあります!
私たちはレンタカーでオーストラリアを旅しているので、自分たちの運転でピナクルズ砂漠に向かいました。1日で西オーストラリアの自然を楽しるドライブコースとなりました。
- 早朝: 巨大な波のような奇岩「ウェーブロック(Wave Rock)」を訪問
- 日中: 西オーストラリア州ならではの、緑豊かなドライブを楽しむ
- 午後: 西海岸沿いを走りながらピナクルズ砂漠へと向かう
- 夕方: 日没2時間前にはピナクルズ砂漠に到着

ウェーブロックからピナクルズ砂漠までは車で5時間半ほどでした。ウェーブロックは、巨大な一枚岩が滑らかに湾曲し、想像以上の迫力でした!もし行ける方はぜひ。
ピナクルズ砂漠付近で見られる絶景
ピナクルズ砂漠は西海岸にあるため、車で向かう道中に海が見えるポイントがあります。ひたすらまっすぐの道を進む中、突然青い景色が見え、爽快感がありました。
「ついにここまで来たか」と嬉しさもありましたね。

また、ランセリン砂丘(Lancelin Sand Dunes)」付近では真っ白な砂丘を目撃することができます。時間に余裕がある方はランセリン砂丘に立ち寄って、砂丘を散策するのも良いかと!

私たちが何より興奮したのはこの植物の群生に出会えたことです。
オーストラリア固有種の植物「グラスツリー」の群生です。

長いススキのような葉を茂らせるのが特徴で、幹は黒く焦げたような姿をしています。
調べてみると、この木の幹は1年でたった1cmしか伸びないらしい。背の高い個体は数百年ものということになる。
さらに面白いのが、山火事のあとに花を咲かせるという性質。火事を経験すると穂を出して開花するそうで、オーストラリアには同じように火事をきっかけに実がはじけて発芽する植物が多いとのこと。
山火事が多いこの土地ならではの、植物の生き残り戦略なんだと思う。
衝撃!圧倒されたピナクルズ砂漠の「超・観光地化」

これまで「人がいなさすぎて夜中に迷子になったゴビ砂漠」などを経験してきた私たちにとって、ピナクルズ砂漠の第一印象は「驚くほど観光地化されている!」ということでした。
いい意味で、私たちが砂漠に対して抱いていた固定観念が見事に覆されたのです。
1. 完璧すぎるインフラ設備

砂漠の入り口には、これまで見たことがないほど立派なゲートがお出迎え。
砂漠の目の前までアスファルトで綺麗に舗装された道路が続いており、広大な駐車場や綺麗なトイレ、さらにはお土産屋さんまで完備されています。

4WD(四輪駆動車)でしか走れないようなオフロードは一切なく、日本でもお馴染みの大型観光バスが何台も停まっていました。
2. おしゃれな観光客が多い

砂漠へ向かって歩き出すと、アジア系(中国、韓国、シンガポールなど)の観光客で大賑わい。しかも皆さん、ショッキングピンクの服、お洒落なスカーフ、白いワンピースに白いスニーカーといった、まるで街中デートのような最先端のファッション。

一方、私たちはいつものガチな「冒険服」に「登山靴」。完全に周囲から浮いていました(笑)。砂地も踏み固められていて歩きやすく、「ここならデートでも来られちゃうね」と話すほど、公園のように美しく整備されています。
3. 砂漠の真ん中でシャンパンパーティ?!
一番驚いたのは、団体ツアーのお客様たちが、夕暮れをバックにシャンパンと軽食で立食パーティを楽しんでいたことです。「かんぱーい!」という賑やかな声が砂漠に響く様子は、大都市パースからのアクセスが余裕だからこそできる、現代的で豪華な砂漠の楽しみ方だと感心させられました。
【砂漠ハンター伝授】ピナクルズ砂漠で秘境感と絶景を味わう秘訣

最初はあまりの観光地化っぷりに圧倒されていましたが、ここで終わらないのが私たちです。
「最高の写真を撮りたい」と、観光客が集まるエリアからかなり奥の方まで歩き進めてみました。
すると、そこには誰もいない静寂の世界が広がっており、一気に「秘境感」が牙を剥いてきました。ピナクルズ砂漠のポテンシャルを最大限に引き出すための、2つの秘訣を紹介します。
1. 観光客が来ない「最奥部」まで進む

手前のエリアは賑やかですが、奥行きがかなりあるため、少し歩くだけで一気に人がいなくなります。無数のトゲトゲした柱がどこまでも連なる、本来の「異世界感」を独り占めしたいなら、足を使って奥まで進むのが絶対におすすめです。
2. 影が最も長く伸びる夕暮れ時(マジックアワー)を狙う

他の広大な砂漠に比べると、日中の異世界感は少し控えめかもしれません。
しかし、日が沈む直前の美しさは圧倒的です。

日が沈む直前は、太陽の角度によって柱の影が最も長く伸びる時間帯。無数のトゲトゲした影が砂の大地に描かれる光景は、ピナクルズだけの唯一無二の絶景です。空がピンク色に染まるマジックアワーの数分間は、言葉を失うほどの美しさでした。

ピナクルズ砂漠にカンガルーやエミューはいる?
事前に「ピナクルズ砂漠には野生のカンガルーやエミューがいる」と聞いていたのですが、彼らの姿は全く見当たりませんでした。
ただ、実際に遭遇している写真も数枚は見かけたため、運が良ければ会えるレアキャラなのは間違いありません。

左からカンガルー、エミュー、エキドナ(ハリネズミに似た哺乳類)
警戒心の強い野生動物なので、本当に観光地化されているピナクルズ砂漠に生息しているのかと疑いの気持ちがありました。そこで調べてみたのですが、興味深いことがわかりました。
パース周辺の野生動物と、オーストラリア内地(クーパーペディなど)の野生動物で見られる「人間との距離感」の違いです。
内地クーパーペディの野生動物:距離100mの壁

私たちがオーストラリアの内地(クーパーペディ付近)で野生のカンガルーに出会ったとき、彼らは50メートル〜100メートル以上の距離を絶対に詰めさせてくれませんでした。こちらが1メートル近づくと、向こうも正確に1メートル下がる。これは「人間=危険な捕食者」と判断している野生本来の強い警戒心です。
パース周辺の野生動物:動物園並みの距離感
一方で、パース周辺の写真・映像などでよく見る野生のカンガルーは、人間が歩いていても普通に視界に入り、まるで動物園のように至近距離まで近づけます。よく「人馴れ」と言われるけど、正確には「人間を危険とみなさなくなった状態」らしい。
なぜこんなに違うのか?

内地では、そもそも人間と会う機会が少ない。しかも出会う人間は牧場関係者だったり銃を持っていたりすることもあるため、動物にとって人間は「たまに現れる、近づかれると怖い存在」になっている。
都市部周辺(パース近郊)では、人間と会う頻度が高いにもかかわらず「長年、人間に危害を加えられてこなかった」という経験が積み重なっている。つまり、学習によって人間を危険として扱わなくなった状態だ。
| 地域 | 人間との距離 | 生息環境の特徴 | 人間に対する認識 |
| 内地(クーパーペディなど) | 100m前後(遠い) | 人が少なく、牧場関係者や銃を持つ人がいる危険な捕食者(警戒対 | 危険な捕食者(警戒対象) |
| 都市部周辺(パース近郊) | 非常に近い | 国立公園や保護区が多く、「狩られない環境」 | 毎日そこにいる無害な生き物 |
同じ遺伝子を持つ野生のカンガルーやエミューでも、暮らす土地の環境と人間との歴史によって、行動や態度がここまで劇的に変わる。これは、育つ環境によって警戒心が強くなったり、人との距離感が近くなったりする人間社会にも通じる、とても深い発見でした。
まとめ:ピナクルズ砂漠は「誰もが異世界を体験できる場所」

最初は「秘境感がない!」と驚いたピナクルズ砂漠でしたが、すべてを見終わってみると、非常に満足度の高い場所でした。
世界中の砂漠を旅してきた私たちのような「砂漠ハンター」にとっては、最奥部で迎えるマジックアワーの影の美しさや地質学的なおもしろさがあり、一方で、普段砂漠に馴染みのない人にとっては、お洒落な格好のまま安全・快適にアクセスして、シャンパン片手に絶景を楽しめる場所でもある。
ピナクルズ砂漠は、過酷な「秘境」ではなく、「誰もが手軽に一歩踏み出せる異世界」。
先進国オーストラリアだからこそ整備できた、この新しい砂漠のあり方は、間違いなく多くの人を魅了する素晴らしい観光ルートです。パースを訪れる際は、ぜひ夕暮れ時を狙って、その足で「最奥部」の静寂まで冒険してみてください!
▽この日の出来事を話しているポッドキャストはこちら
詳細な情報は執筆中ですのでお待ちください!
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ピナクルズ砂漠観光のFAQ
ピナクルズ砂漠はパースから日帰りできる?
できます。
ピナクルズ砂漠はパースから約200km、車で約2時間の場所にあります。朝にパースを出て、周辺観光をしながら夕方にピナクルズ砂漠へ行き、夕日を見て帰る日帰りプランも組みやすいです。
ピナクルズ砂漠は何時間あれば回れる?
最低1時間、ゆっくり写真を撮るなら2時間ほどあると安心です。
ループ道路を車で回るだけなら短時間でも見られますが、歩いて奥まで行ったり、夕日を待ったりするなら2時間前後は見ておきたいところです。現地の案内でも、ビュートレイルや展望台を回るなら少なくとも2時間ほどの余裕が推奨されています。
ピナクルズ砂漠は夕日と昼間どちらがおすすめ?
おすすめは夕日です。
昼間は石柱の形を見やすい一方で、景色がやや平面的に見えることがあります。夕方になると光が斜めに入り、石柱の影が長く伸びて、一気に幻想的な雰囲気になります。
ピナクルズ砂漠らしい写真を撮りたいなら、日没の1時間前には到着しておくのがおすすめです。
ピナクルズ砂漠は秘境感がある?
入口周辺だけを見ると、秘境感はそこまで強くありません。
観光客も多く、ビジターセンターや駐車場も整っています。サハラ砂漠やナミブ砂漠のような「たどり着くまでが冒険」という場所ではありません。
ただし、奥へ進み、夕方の光が入る時間になると、しっかり異世界感が出てきます。秘境というより、「気軽に行ける異世界」と考えると満足度が高い場所です。