夜空にキラリと輝く一筋の線。
流れ星ってロマンチックですよね。あの一瞬の儚くも美しい瞬間が、たまらなく心をドキドキさせる。
今回は、そんな流れ星が多く見られる現象「流星群」について、その成り立ちと観察のポイントをご紹介します!
流星群って何?流れ星とは違う?
たまにニュースなどで、「〇〇座流星群が明日未明にピーク」といった報道を見かけますよね。
流星群とは、毎年決まった時期に、たくさんの流れ星が見られる天体現象のことです。
流星群ついて詳しく触れる前に、流れ星はどのようにして生まれるのか、基本を確認しておきましょう。
流れ星とは?
流れ星と聞くと、宇宙のどこかにあるキラキラした「星」が流れている想像をしがちですが、そうではありません!
流れ星の実態は、星ではなく、彗星からこぼれ出た数mm〜数cm単位の氷のカケラ(塵)です。
地球の周りは大気で包まれていますよね。彗星が放出したカケラが地球の大気に接触することで輝きを放つ。
つまり、流れ星は大気と彗星のカケラの衝突で起こる摩擦発光なのです。このカケラは非常に小さく、摩擦と共に気化してしまため、私たちが「流れ星だ!」と認識したころにはすでに消えていることがほとんどでしょう。
通常、流れ星が現れるのは地球の表面から70-100kmほど離れたところです。
月や太陽、他の惑星たちは、地球から何万km・何億kmと離れていますので、流れ星がいかに近くで発生しているかが分かります。
流れ星のもとになるのが彗星ってこと?
流れ星は彗星が放出したカケラと説明しましたが、じゃあその「彗星」は一体何のか?
彗星は太陽の周りをまわる、氷でできた天体です。その大きさは数km〜数十kmほどで、主に氷(およそ8割を占める)と二酸化炭素、一酸化炭素、ガス、塵からなります。
彗星が太陽に近づくと、太陽の熱で氷が溶け出し、彗星の表面から氷や塵が放出されます。この彗星のおこぼれたちは、天体ではないため動かない。宇宙空間に取り残されることになります。
この取り残されたおこぼれたちが地球の大気に接触することで、流れ星ができるのです。
ちなみに彗星は、太陽に近づく周期(公転周期)がさまざまで、3年周期のものもあれば数百万年以上に及ぶものまであります。中には、一度太陽に接近したら、再び近づくことがない彗星もあるのだそう。
隕石は流れ星とは違う?
夜空で光り輝くものといえば、流れ星以外に隕石を思い浮かべる方もいませんか?
隕石は、小惑星の一部が大気圏70kmの高さで燃え尽きずに落ちて来るのものです。
※流れ星は彗星からこぼれ出た氷のカケラなので、隕石と流れ星は別物。
大気がなければボンボンと隕石が落ちてくることになるので、大気がどれほど重要な役割をしているか分かりますね。
流星群は、放射点から流れ星が飛び出してくるように見える現象
記事の冒頭で、「流星群とは、毎年決まった時期に、たくさんの流れ星が見られる天体現象のこと」と言いました。ただしこれは、無秩序に流れ星が見られるということではありません。
彗星の軌道が地球の軌道と交差している場合、地球がその位置に近づくと、彗星のカケラが地球の大気にたくさん入ってきます。この彗星のカケラはほぼ平行に地球の大気に突入しますが、それを地上から見ると、星空の一点から多くの流れ星が放射上に飛び出しているように見えます。これこそ流星群。
この一点を「放射点」と呼び、放射点がある星座の名前をとって「○○座流星群」と呼ばれることが一般的です!
地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年ほぼ同じなので、毎年特定の時期に特定の流星群が現れるのです。特に彗星が通り過ぎた直後には、非常に多くの流れ星を見ることができます!!
国立天文台(NAOJ)のYoutubeに「流星群とは?」という動画がありますので、詳しくはこちらをご参照ください!
毎年現れる「三大流星群」って?
出現が期待できる流星群は、実はたくさんあります!その中でも、毎年ほぼ安定して多くの流れ星が出現する「しぶんぎ座流星群」「ペルセウス座流星群」「ふたご座流星群」は、「三大流星群」と呼ばれています。
ここからは、三大流星群の具体的な内容を見ていきましょう!
他の流星群については、国立天文台(NAOJ)のウェブサイトをご覧ください。
主な流星群の一覧:https://www.nao.ac.jp/astro/basic/major-meteor-shower.html
しぶんぎ座流星群(12月28日〜1月12日)
年のはじめに現れる流星群。極大は1月4日ごろ。
しぶんぎ座流星群は極大を迎えてから観察できる時間が短く、数時間ほどしかありません。そのため、極大のタイミングで日本が昼間だと、流れ星を見るのは難しいようです。また、毎年流星の量を予測するのが難しい流星群でもあります。
うしかい座とりゅう座の境界付近から放射される流星群で、かつて存在した「壁面四分儀座」という星座が名前の由来になっています。
プチ豆知識
「壁面四分儀座」は、国際天文学連合が88星座を定めた際に採用されなかったため過去の星座となってしまいました。無数に広がる星ですから、このように今の一般的な星座に登録されなかった星座は、たくさんあったのでしょうね。
ペルセウス座流星群(7月17日〜8月24日)
毎年8月13日ごろに極大を迎える流星群。ペルセウス座流星群は、流星の数が非常に多く、その多さは1年を通して1,2を争うほどとも言われています。母天体は133年周期のスイフト・タットル彗星。
流星数が最も増えるのは8月の中旬からです。極大時では、1時間あたり平均して50個の流れ星が観測できるとされています。
ふたご座流星群(12月4日〜12月17日)
1年の終わりに現れる流星群。ふたご座流星群は、毎年ほぼ一定して多くの流れ星が見られることで有名です。好条件下で、観察に精通した人が見ると100個ほどの流れ星が見れることもあるんだとか!
母天体は、1.43年の公転周期を持つ近地球小惑星の1つ、「フェートン」とされています。ふたご座流星群は極大になってから観察できる時間が長いという特徴も◎
流星群の観察ポイント
流星群を存分に楽しむためには、「放射点」「極大時期」「天気」「月明かり」の4つのポイントを抑えておきましょう!
前述した通り、放射点は“流れ星が放射状に飛び出してくるように見えるる星空(天球上)の1点”のことです。
一般的に放射点の近くの流れ星は、短い軌跡のものが多い。少し離れた場所から見渡すと、より長い軌跡の流れ星が観察できます。
また、放射点の高度も重要なポイントです。放射線の高度が低い(=地平線に近い)と、流れ星が地平線に隠れてしまうためあまり観察できません。
逆に高度が高く、頭の真上に放射点がある場合は、たくさんの流れ星が見れるようですよ!この時は、放射点の方向はあまり気にしなくてOK!全天を見渡せるようにしましょう。
天気は、雲ひとつない晴れた夜空がベスト!でも、月明かりが強いのも問題です。
新月の時期が理想的ですが、月明かりが気になるようであれば、雲に隠れて月が出てないタイミングを狙いましょう。街頭などの人工の明かりが少ない場所であることも重要です!
以上を踏まえて、次のことを意識してみてください。きっと、たくさんの流れ星が見えるはず!
【時間】極大に近く、放射点が真上にくる時間
【場所】見晴らしがよく暗いと場所
【自然条件】晴れ、月明かりが少ない(新月がベスト)
【観察方法】目を暗闇にならし、全天を見渡すように見る
2024年は「みずがめ座η流星群」に期待!
2024年、最高の流星群の1つとも言われているのが「みずがめ座η流星群」。
みずがめ座η流星群は、毎年ゴールデンウィークごろにピークを迎えます。南半球では放射点が高いタイミングで極大を迎えるため、多くの流星が見られることで知られています。しかし、日本では放射点が低いうちに夜が明けてしまうため、話題に挙がることは少ないかもしれません。
この流星群の2024年の極大予測は、5月6日の朝6時ごろ。5月8日が新月なので月明かりの心配はありません。観察に適した時間は短く、夜明け前の1時間ほどとのこと。ゴールデンウィーク最終日、朝早く起きて流星群を楽しむのもいいかもしれませんね!どうか晴れますように。
ポッドキャストでも流星群について語っています!興味のある方は、こちらも聴いてみてください。