大型ネコ科動物の生態と見分け方〜ライオン・チーター・ヒョウ・ジャガー・トラ〜

大型ネコ科動物の生態と見分け方〜ライオン・チーター・ヒョウ・ジャガー・トラ〜

アフリカ旅行記

今日のテーマは「大型ネコ科動物」

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アフリカのサファリに行くならやっぱり大型のネコ科動物が見たい!!大型ネコ科動物といえばライオン、チーター、ヒョウなどが挙げられますが、見分け方や習性の違いをご存知ですか?…ということで、今回は大型ネコ科動物を代表して、ライオン、チーター、ヒョウ、ジャガー、トラの生態をお届けしたいと思います!

社会性が高く超筋肉質!ライオンの生態

まず最初の動物は、百獣の王として有名なライオン!!
英名では「Lion」と書きます。学名は「Panthera leo」で、”ヒョウ属”を意味する”Panthera”と、”ラテン語でライオン”を意味する”Leo”を組み合わせて出来た名前です。

データでみるライオン

種属哺乳網食肉目 ネコ科 ヒョウ属
体長オス170-250cm / メス160-190cm
体重オス150-240kg / メス122-182kg
生息地サハラ以南のアフリカ、インド北部
スピード時速80km

AlexaによるPixabayからの画像

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種属哺乳網食肉目 ネコ科 ヒョウ属
体長オス170-250cm / メス160-190cm
体重オス150-240kg / メス122-182kg
生息地サハラ以南のアフリカ、インド北部
スピード時速80km

ネコ科の中で、ライオンはトラに次いで大きな体をしています!特に筋肉がゴツゴツと発達しており、体重における筋肉の重さ、いわゆる骨格筋率が58.8%もあると言われています。人間では、骨格筋率が37.4%を超えると筋肉量が高いと言われ、数値化できる最大値は60.0%となっています。つまり、骨格筋率58.8%というのは人間の最高レベルなんです。

ライオンはネコ科の中では珍しく、オスとメスの見た目が異なるのも特徴のひとつ!オスには、ふさふさのタテガミがありますがメスにはありません。また、オスの方がメスよりも、1.3倍ほど大きな体をしています。

minka2507によるPixabayからの画像

メスの見た目は他のネコ科の動物に近く、特にピューマとよく似ています。
※ピューマは「極寒のネコ科動物!ボブキャット・ピューマ・カナダオオヤマネコの生態を学ぶ」で紹介しています。よかったら見てみてください。

ネコ科の中では珍しい!社会性が高い持ち主

ライオンは、社会性が非常に高く「群れ」で行動をします。単独で行動することの多いネコ科の中では珍しい存在です。

ライオンの群れは「プライド」と呼ばれ、1〜数頭のオスと10頭前後のメスや子どもで構成されています。オスはプライドを守る役割を、メスは子育てと狩りをする役割を担っています。

Sue BradyによるPixabayからの画像

プライドに所属しているメスたちは、姉妹や母子などの血縁関係にあり、特に強い絆で結ばれています。その絆の強さは、一生涯を同じプライドで過ごし共同で子育てを行うほど!まさに「One for all,all for one」の関係です!
一方のオスは、メスとの血縁関係がありません。メスたちはリーダーのオスライオンを評価し、時にはプライドから追い出すこともあるのだとか…。ライオンのオスは、王や権力のシンボルとして様々な場面で使われているイメージがありますが、なかなか苦労しているんですね…!

ちなみに、獲物が多い地域のライオンほど、写真のように寝そべって待機している傾向にあります。

ライオンの鳴き声

ライオンの鳴き声といえば「ガオーー!!」と遠吠えをしているイメージがありますが、実際は「ガウ!ガウ!ガウ!」と短く吠えています。その声は、低く地面から轟くような迫力で、圧倒的な王者感があります!

鳴き声の動画はこちら

世界最速だけど臆病者!チーターの生態

続いては、俊足の持ち主チーター!英名では「Cheetah」と書きます。学名は「Acinonyx jubatus」で、”引っ込められない爪”を意味する”Acinonyx ”と、”タテガミがある”を意味する”Jubatus”を組み合わせて出来た名前です。

データでみるチーター

種属哺乳網食肉目 ネコ科 チーター属
体長110-140cm
体重40-65kg
生息地サハラ以南のアフリカ、中近東、南アジア
スピード時速80km-130km

Andreas GöllnerによるPixabayからの画像

Andreas GöllnerによるPixabayからの画像
種属哺乳網食肉目 ネコ
体長110-140cm
体重40-65kg
生息地サハラ以南のアフリカ、中近東、南アジア
スピード時速80km-130km

今回紹介している大型ネコ科動物の中で、唯一種属が異なります。この記事でご紹介する他の4種は全てヒョウ属ですが、チーターのみチーター属に分類されます。

チーターは頭が小さいうえに手足が長く、ほっそりとしたしなやかな体つきで、まるでモデルのような体型です!学名の由来にもなっていますが、首から背中にかけてタテガミが生えているのも特徴です。

目頭から口に沿って付いている黒い涙模様はチーターを見分けるのに最も分かりやすい目印ではないでしょうか。この黒い涙模様は、昼間の眩しい光から目を守る効果があります。

DrZoltanによるPixabayからの画像

チーターは足が速いことで有名ですが、その速さはわずか3秒で時速100kmに到達すると言われています。世界最速の哺乳類です。
チーターが速く走れる理由は、足の爪にあります!他のネコ科の動物は、走るときに爪を引っ込めますが、チーターは爪を引っ込めることが出来ません。しかし、その引っ込められない爪が、スパイクの役割をして速く走ることができるのです!

意外と弱い!?臆病な性格の平和主義者

肉食動物で足が速ければ無敵ではないか!?と思ってしまいますが、実際のところ、そうではありません。チーターは疲れやすく、走るのも500mが限界です。そのため、そっと獲物に近づき短距離で仕留めなければいけませんが、失敗に終わることの方が多いです。

また、チーターは顎の力が弱いという、サバンナを生き抜く上で大きな弱点があります…。顎の力が弱いと食事に時間がかかってしまい、食事中に他の動物に獲物を横取りされてしまうこともしばしば。獲物を横取りされても、チーターは争うことはせずそそくさと逃げていきます。
このような理由から、意外にも臆病で慎重な性格と言われています。言い換えれば、無駄な争いは避ける平和主義者なのかもしれません。

ちなみに!足の速さはオスよりもメスの方が速く、足の速いメスは単独で狩りを行います。
一方のオスは、数のチーターで狩りをする傾向があります。

VASUKI BELAVADIによるPixabayからの画像

チーターの鳴き声

ライオンのように轟くように吠えることはなく「ワン!ワン!」と可愛らしい声で鳴きます。実は人間にもよく懐くため、海外ではチーターをペットとして飼う人もいるようです。

鳴き声の動画はこちら

木登り上手で身体能力が高い!ヒョウの生態

続いてはヒョウ!英名では「Panther(パンサー)」や「Leopard(レオパード)」と呼ばれています。学名は「Panthera pardus」です。
英名の「Leopard」は、”古代ギリシャ語のライオン”を意味する”Leon”と、斑点を意味する”Pard”を組み合わせてできた名前。つまり、斑点をもったライオンであることに由来しています。

データでみるヒョウ

種属哺乳網食肉目 ネコ科 ヒョウ属
体長100-190cm
体重30-70kg
生息地サハラ以南のアフリカ、中部以南のアジア など
スピード時速58km

Thomas PedrazzoliによるPixabayからの画像

Thomas PedrazzoliによるPixabayからの画像
種属哺乳網食肉目 ネコ科 ヒョウ属
体長100-190cm
体重30-70kg
生息地サハラ以南のアフリカ、中部以南のアジア など
スピード時速58km

レオパード柄としても有名なヒョウですが、実は、次に紹介するジャガーと体の模様がよく似ています。写真のように、全身に「ロゼット(バラ飾り)」と呼ばれる、バラの花が開いたような黒い斑点がついています。

しっかりした体つきでありながら、尻尾は長く、しなやかなプロポーションであるのがヒョウの特徴です。バラ模様に、しなやかなプロポーションとは…なんてエレガントなの!勝手に、ネコ科動物のエレガント代表に任命したいと思います!

Robert DickinsonによるPixabayからの画像

ヒョウは、大型ネコ科動物の中では最も分布が広く、アジアからアフリカまで幅広い地域に生息しています。地域によって亜種が存在し、アムールヒョウやペルシャヒョウなどいくつかの種類が知られています!

また、寒い地域に生息しているヒョウほど毛が長く、暑い地域に生息しているヒョウほど毛が短い傾向があります。

運動能力が高く、木登り上手!

ヒョウは運動能力が高く、木登りがとにかく上手です!スイスイと簡単に登ってしまいます。
天敵が近くにいる時は、仕留めた獲物を木の上に引き上げ、木の枝や木の葉などで獲物をおおって隠す習性があります。ヒョウにとっては木の上が安心できる場所で、死肉を漁るハイエナなどから獲物を守るのに打ってつけです。大きな獲物を木の上まで持ち上げられる、強い顎を持っていることもヒョウの強み。

Greg NewmanによるPixabayからの画像

木の上に獲物を置いておくだけではなく、木の上で待ち伏せをして上から襲いかかることもあるのだとか。ヒョウは跳躍力にも優れており、6mの距離をジャンプすることが出来ます。垂直には2.5mも飛ぶようです!

ヒョウの鳴き声

ペルシャヒョウは、低いトーンで、「ガウ、ガウ、ガウ、ガウ」と短く吠えるような鳴き声をしています。
ペルシャヒョウの鳴き声の動画はこちら

ヒョウの亜種である「ユキヒョウ」は、ネコのように「ニャア、ニャア、ニャア」と、とても可愛らしく鳴きます。
ユキヒョウの鳴き声の動画はこちら

泳いで狩りもできる最強捕食者!ジャガーの生態

続いては、ヒョウと見た目がそっくりなジャガー!英名は「Jaguar」、学名は「Panthera onca」と言います。ヒョウと見た目が似ていることから「アメリカヒョウ」と呼ばれることもあるそうです!

データでみるジャガー

種属哺乳網食肉目 ネコ科 ヒョウ属
体長110−180cm
体重60−120kg
生息地ニューメキシコからアルゼンチン北部
スピード時速80km

RalphによるPixabayからの画像

RalphによるPixabayからの画像
種属哺乳網食肉目 ネコ科 ヒョウ属
体長110−180cm
体重60−120kg
生息地ニューメキシコからアルゼンチン北部
スピード時速80km

ジャガーの体には、ヒョウと同じロゼット模様の斑点があり、さらにその中に黒く細かい斑点がついています。体の模様だけでは、ヒョウとの違いをパッと見分けるのが難しいかもしれませんが、体つきはヒョウとは全く異なります。頭部は大きく、足も太いですが、尻尾はちょろりと短く体の半分ほどしかありません!

ジャガーは、トラ、ライオンに次ぐ体の大きさで、がっしりずっしりという言葉がよく似合います!岩のうえに寝そべる姿は、とても貫禄があります。

UnsplashRamon Vloonが撮影した写真

ジャガーはアメリカ大陸に分布する唯一のヒョウ属で、一般的に深い森林地帯に生息しています。
ジャガーという名前は、南アメリカ先住民の”一突きで殺す者”という意味をもつ”ヤガー”という言葉からきています。

運動能力が高く、泳ぎ上手!

ジャガーは、ずっしりとした体つきでありながら、運動能力が高いという特徴があります。

ヒョウのように木登りも上手にこなしますが、泳ぐのもとっても上手!ジャガーはカピバラやシカ、ナマケモノ、アルマジロなどの陸上の動物を食べますが、泳ぎ上手を活かして、川に入って魚やカメを捕えて食べることもあります。時にはワニを捕まえたりと、ジャガーは南アメリカの森林で食物連鎖の頂点に君臨しており「最強の捕食者」と言われています。

Stan PetersenによるPixabayからの画像

このような特徴から、森林の中でも川や湖沼、湿地帯などの水辺を好んで生活をしています。

ジャガーの鳴き声

ジャガーの鳴き声は、どちらかというとライオンに近い吠えるような声です。「ガウ、ガウ、ガウ」と地面に轟くような、迫力のある鳴き声をしています。

鳴き声の動画はこちら

茂みに潜む絶対王者!トラの生態

最後は日本画にもしばしば登場するトラ!英名では「Tiger」と書きます。
学名は「Panthera tigris」で、ヒョウ属を意味する”Panthera”とラテン語の”とても流れの速い川=ティグリス川”を意味する”Tigris”という言葉が組み合わされて出来たもの。トラの俊敏さや力強さという特徴から結びついたものと考えられています。

データでみるトラ

種属哺乳網食肉目 ネコ科 ヒョウ属
体長170-310cm
体重180-245kg
生息地インド、東南アジア、中国、ロシア東北部
スピード時速49-65km

Andrea BohlによるPixabayからの画像

Andrea BohlによるPixabayからの画像
種属哺乳網食肉目 ネコ科 ヒョウ属
体長170-310cm
体重180-245kg
生息地インド、東南アジア、中国、ロシア東北部
スピード時速49-65km

トラは、現存するネコ科動物の中で最も大きな体をしています!トラの中でも「アムールトラ」という種類は特に体が大きく300kgに達する個体もあるのだとか…!

一般的に百獣の王といえばライオンのイメージですが、中国で百獣の王といえばトラのこと。昔から武勇や王者のシンボルとして使われてきました。

Andreas BreitlingによるPixabayからの画像

トラの体全体に入った黒いたて縞模様は、茂みなどに身を隠す際に体の輪郭をぼやかす効果があると言われています。顔まわりの黒い縞は、鬼瓦っぽくてより強さを感じさせますね…!

この黒い縞はトラの個体によって模様が異なります。つまり、人間の指紋のようなもので、トラの研究者はこの縞模様を頼りに、個体ごとの研究を行っているようです!

環境への適応力に優れている!

トラは、主に森や林、背丈の高い草むらなど見通しの悪い場所に多く生息しています。しかし、その生息地域は広範囲に渡り、密林や湿地、マングローブ、サバンナや標高3,000m以上の高山まで。トラは、環境への適応力に優れているのです!

ヒョウやジャガーと同様にトラも身体能力が高く、泳ぐ力も跳躍力もあります。体が大きいため、イノシシやシカ、スイギュウなど大きな動物も食べます。大型の獲物が捕えられないときには、泳ぎ上手を活かして、魚やワニを食べることもあります!

Marcel LangthimによるPixabayからの画像

トラの鳴き声

ライオンやヒョウ、ジャガーは短く吠えるような鳴き方ですが、トラは「ワオーン、ワオーン」と長く吠えるような鳴き声をしていています!少しウシの鳴き声にも似ています…!

鳴き声の動画はこちら

まとめ

今回は大型ネコ科動物のライオン、チーター、ヒョウ、ジャガー、トラの生態とポイントをお届けしました!ここまで読んでくださったみなさんは、見分け方や習性の違いについて少し理解が深まったのではないでしょうか?同じネコ科でもそれぞれ特徴があって興味深いですよね。

さて、アフリカ旅では大型ネコ科動物に出会うことができるのか!?また別の記事でお会いしましょう!

※追記:実際に2022年に行ったアフリカ旅の旅レポはこちらから!

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