無念の登山リタイア…それでも心に残る旅の一日。
今日はイサロ国立公園でのトレッキングDAY!しかし、体調は昨日につづき絶不調です。
気合いで乗り切れると思ったトレッキングは、流石にどうにもならず途中でリタイアすることに…。
それでも旅は続きます! 壮大な景色が広がるサザンクロス街道をドライブし、世界最大級とも称されるサファイアの産地「イラカカ」を散策。登頂は叶わなかったけれど、この日も忘れられない瞬間がたくさんありました!
今回はそんな10日目の出来事をお届けします!
体調不良の中、トゥリアラを出発
朝から体調は最悪です…。なんと、きじーに続いてやなぎーもお腹を下してしまいました。さらに、昨日から現地のラビさんとチャールさんも体調を崩しており、ついに全員が下痢に。現地の二人までやられるとは…。
思い当たるのは、2日前に飲んだパイナップルジュース。ハエが飛び交う衛生状態の悪い食堂で、使い回し感あふれる2Lペットボトルに入れて提供された、あのジュースです。今思えば、あれこそがすべての始まりだったのかもしれません…。

やなぎーの症状が1日遅れで出たのは、熱で胃が動いてなかったからかな。熱が下がってきたのは唯一の救いだけど、熱続いて重度の下痢になるとは。そんな状態でも旅は待ったなし!!予定通り朝6時半にトゥリアラの宿を出発し、暗がりの中、山に囲まれた道を進みました。
途中、巨大な藁の塊を自転車の荷台に積んで運ぶ人たちを発見!遠くから見るとまるで「大きな塊が走っている」ようで、なんともシュールな光景でした。しかも、一度きりではなく次々と同じような人たちが通りすぎて行きました。

中には大きな枝を運ぶ人の姿も。こうした日常の風景に触れるたびに、マダガスカルの暮らしがよりリアルに感じられます。

サザンクロス街道へ突入
今日の最終目的地はイサロ国立公園です。目的地までは、以前から楽しみにしていた「サザンクロス街道」を進みました。

サザンクロス街道とは、トゥリアラから首都アンタナナリボまで南北に約 940km 伸びる国道7号線のことです。夜になると、美しい南十字星(サザンクロス)が見られることからこの名がつけられました。
この道の魅力は、距離の長さだけでなく、気候が変わるにつれて次々と表情を変える景色。まさに「マダガスカルのダイジェスト版」と呼べるような、多彩な風景が楽しめます。
ちなみに、ポットホールはあるもののアスファルトが敷かれているおかげで揺れはそれほど激しくありません。これは本当にありがたい!!揺れがひどいと、体調不良のお腹に響いてしまいますからね!

以下の記事でサザンクロス街道のことを詳しくまとめていますので、あわせてご覧ください!
大きなバオバブの木
サザンクロス街道沿いには、魅力的なスポットが点在しています。まず立ち寄ったのは「フーニィ」と呼ばれる種類の大きなバオバブの木!
枝を大きく広げ、堂々とそびえ立つその姿は圧巻。まるでトトロに出てくるあの大きな木みたいです。

バオバブの周りには柵が設けられていて、地元の人々にとって神聖な存在であることが伝わってきます。

幹の根本から2つに分かれていました!もともとは1本のバオバブだったものが、成長するにつれて分かれていったのでしょうね。「フーニィ」というバオバブの種にはそういった特性があるようです。

幹の間にはオレンジ色のバッタが!

カメレオンもいましたよ〜!
写真のどこにいるかわかりますか? 周囲の色と見事に同化していました。


ウスタレカメレオンという種類でした!マダガスカル固有種で、乾燥地から湿潤地まで幅広い環境に生息しています。病気を媒介するネズミを捕食することから、現地ではネズミ捕りの役割として庭で飼われることもあるのだとか。
このカメレオンは、近所の人が連れてきたんだそうです。のんびり気持ち良そうに動いていたのでリラックスしていたのかも◎
世界最大級、サファイアの産地「イラカカ」へ

次に立ち寄ったのは、マダガスカルが誇るサファイアの一大産地「イラカカ」です。
イラカカは、およそ100キロ四方に広がる世界最大級の鉱床が存在することで知られています。1990年代半ばまでは、人口わずか40人ほどの小さな村でしたが、1998年に世界最大級のサファイアの大鉱脈が発見されたことが広まると、一攫千金を夢見る鉱夫たちが全国から押し寄せ、2005年には人口6万人の都市へと急成長しました。
地表に顔を出すサファイア
近年は、急速な人口増加と採掘の影響で資源が枯渇しつつあるとされていますが、それでも川の近くでは多くの人々が潮干狩りのようにサファイアを探す姿が見られました。

サファイアは本来、地中から掘り出される鉱石ですが、イラカカでは鉱石が地表に露出していることも興味深い特徴です。以前、ラビさんが案内した宝石商もその光景に非常に驚いたそうです。
そんな現地の人々の姿を眺めていたら、早速ピンクのサファイアを持った売り子が近づいてきました。
サファイアは“青”だけじゃない?
「サファイア」と聞くと、深い紺青色の石を思い浮かべる方が多いかもしれませんね。
しかし、サファイアにはイエロー、パープル、ピンク、グリーン、ゴールド、無色透明など、さまざまなカラーが存在します。この色の違いは、鉱石に含まれる酸化クロムや鉄、ニッケル、チタンなどの金属原子の含有率によって決まるそうです。

私たちがよく知るブルーのサファイアは、ここイラカカでの採掘量は全体のわずか5%。天然のブルーサファイアは、ミャンマーやスリランカ産と見分けがつかないほど美しく、宝石市場でも高く評価されています。
街に並ぶ「GEMS」の建物

この街の周辺では「GEMS」と書かれた建物をよく目にします。これらはサファイア関連の店舗や取引所で、採掘されたサファイアの鑑定や取引が行われています。イラカカからほど近い「サカラハ」という地域もサファイアの産地として有名なのでこのエリアではよく見られる光景です。

数歩進めば次々にGEMSの看板があるほどたくさんありました!!それほど、サファイアがこの街の経済を支えているということがよくわかります。今回は時間がなくて外観を見るだけでしたが、時間があれば中に入ってみたかったなぁ…。

そういえば、面白いパラソルもありましたよ!!このオレンジ色のパラソルは大統領選挙の広報活動で配られたものなのだとか。パラソルだけでなく、大統領の顔がプリントされたTシャツも配られているようで、そのTシャツを着て歩いている人をたくさん見かけました。
プチ豆知識:現在のマダガスカル大統領
現在、マダガスカルの大統領を務めるのは2期目の「アンドリー・ラジョリナ」氏。
政治キャリアは2007年にアンタナナリボ市長に当選したことから始まりました。そんな彼の経歴、実はちょっとユニークなんです!政治家になる前はライブやイベントの主催者、さらにはディスクジョッキー(DJ)として活動し、1999年にはマダガスカル初の広告代理店まで設立しています。
そんなバックグラウンドを持つ彼だからこそ、大統領選の広報活動もエンタメ性が高く、人々の注目を集めるのが得意なのだと思います。
イサロ国立公園のトレッキングに挑むも…
イサロ国立公園に到着

サファイアの村を後にし、再び車を走らせ今日の最終目的地・イサロ国立公園へ!
この公園は面積81,540ヘクタールを誇る広大な国立公園で、特徴的な岩々や渓谷、美しい草原など、息をのむような景色が広がっています。
「マダガスカルのグランドキャニオン」と称されることもありますが…正直なところ、そこまで似ているわけではありません。でも、何か有名なものに例えたくなる気持ちはわかる気がします。

また、ここには1000アリアリ札のモチーフにもなった「女王の岩」という名所があります。その名の通り、冠をかぶった女王の横顔のように見えることから、この名前がついたのだとか。
以下の記事で、イサロ国立公園の見どころやトレッキング情報をまとめています。あわせてこちらもご覧ください!
トレッキングスタート!
いよいよトレッキングです!…とその前に、全く食欲はなかったのですがトレッキングを乗り切るために、近くのローカルレストランへお昼ごはんを食べに行くことに。
通常メニューはとても食べられそうになかったので、特別にメニューにはないフレッシュサラダを作ってもらいました。スライスしたトマト、にんじん、レタス…新鮮な生野菜がとっても嬉しかったです。

お昼ごはんを終えたら、国立公園のローカルガイドと合流し、いざトレッキングへ!
朝から大したものも食べてないし不安でいっぱいだったのですが、せっかくの機会を逃したくない…という気持ちでチャレンジしました。しかし、わずか3段の小さな段差でも息切れしてしまうほど、体調は限界に近い状態…。

そんな中、きじーがカメレオンを発見!!現地の人も気づかなかったカメレオンを見つけられるとは!嬉しくてちょっぴり元気を取り戻しました。

さらに、食べ物をつまみにきたブラウンキツネザルや、

ベローシファカにも遭遇!!

極めつけは、日光浴をするワオキツネザルの群れ!間近で見ることができてラッキーでした◎

しかし、もうこの時、終始息切れ状態で意識はフラフラ。とりあえず撮影はしたけど、実は記憶が曖昧なんです。あーーこれ元気だったらもっと良い写真が撮れたろうになぁ…。
無念のリタイア
ワオキツネザルに遭遇したところでようやく目的地の半分。あと1〜2時間は歩く必要があるということで、悔しいけどリタイアすることにしました。

残念で仕方ないのですが、今後も旅は続くので今ここで無理をして悪化させるわけにはいきませんからね…。
日本人には理解できないマダガスカルの習慣
休憩をはさみながら大人しく来た道を戻っていると、不意にラビさんから「なんで下痢をしているのに、コーラを飲まないんですか?」と聞かれました。えっ!?と思い、詳しく話を聞いてみると、なんとマダガスカルでは体調悪い時の薬としてコカコーラを飲むんだそうです。
びっくり!!こんな習慣、日本じゃ考えられないですよね。。。またラビさんの冗談かしら…と思ったのですが、下山した後にドライバーのチャールさんや他の現地の人にも聞いてみたところ、なんとみんな口を揃えて「コーラは体調不良に効く」と言うではないですか!!どうやら、マダガスカルの病院が少ない地域では、コーラ=体調が悪い時の”特効薬”として信じられているみたいです。うーん、気持ちの問題なのかなぁ。
補足情報
ちょっと気になって、後からネットで調べてみたところ…
フランスをはじめとした欧米諸国でも、「体調不良の時、特に胃の調子が悪い時なんかはコーラを飲むといい!」という話(民間療法)があるのだそうです。医学的な根拠ははっきりしていませんが、炭酸は胃の働きを活性化し、糖分の含まれた水分を多く摂ることで脱水症状を防ぐといった理由が付けられています。
日本人の私たちにはあまり理解できないですが、マダガスカルはかつてフランス領だったことからこのような話が伝わったのかもしれませんね。
水下痢で34度の低体温に…
なんとか無事に下山し、車に乗り込みました。体温計を持っていたので出発の前に念のため熱を測ってみたら、なんときじーの体温が34度台…!!体温計が壊れたのかもと思い何度も測り直してみたのですが、やっぱり体温は低い。
後から調べてみたところ『人の体の奥の温度である深部体温が35度以下になったとき、低体温症と診断される。 35~32度は低体温症の軽症、32~28度は中等症、28~20度は重症とみなされる。』という情報がありました。あの時、意識は朦朧としていたし体も少し震えてたので、低体温の症状があったのだと思います。
さらに、低体温症の初期症状には、身体の震えや動きの鈍化、皮膚の感覚の麻痺などが挙げられ、 症状が進むと震えすら止まり、歩けなくなったり意識を失ったりして命の危険が生じるのだそうです。低体温になる理由としては、栄養不足(たんぱく質や油脂、ビタミン、ミネラル)、不規則な生活や運動不足、ストレスなど…。
ソイジョイを食べたら、すぐに体温が0.5度くらい上がったので、食べることの大事さを改めて実感しました。きじーはひどい水下痢だったので、おそらく脱水症状による低体温だったのだと思います。脱水による低体温は、かなり危険な状態とも言われています。皆さんも下痢状態ときは積極的に水分を摂取するようにしてくださいね!
イサロ国立公園のサンセットビュー
そのまま今日泊まるロッジに行こうとしていたのですが、ソイジョイで体も少し復活したので、国立公園内の夕日スポットにだけ立ち寄ることに!訪れたのは、国立公園内でも有名なビューポイント「イサロの窓」。大きな岩がつくる自然の窓の中に、夕陽が沈んでいくという幻想的な場所です。

ちょうど良いタイミングで訪れることができました◎ 元気だったらもっとじっくり楽しめたけど、今日は夕日を撮るので精一杯でした…。
イサロ国立公園の豪華ロッジ
サンセットを楽しんだ後は、いよいよ今夜泊まるロッジへ。

このロッジ、想像以上に綺麗で最高です!!星も綺麗だったから絶好の撮影タイミングだったけど、もうそんな体力は残っておらず…この日は二人とも水下痢で苦しみながら夜を明かしました。

ちなみに、夜ごはんはこのロッジの美味しいフレンチコースでした。
▼追記(旅を終えてから)
私たちがマダガスカルに行ったのは7月後半〜8月前半の乾季です。雨季は1月〜3月で、気候や道路状況がガラリと変わる地域もあります。ぬかるんで通れない道も出るみたいなので、事前に調べていくと良いと思います!
ポッドキャストでは、当時の様子もリアルに語っています。良かったらこちらもチェックしてみてくださいね!