知って驚くキツネザルの生態!96%が絶滅の危機に?サルとは違う?

知って驚くキツネザルの生態!96%が絶滅の危機に?サルとは違う?

今回はマダガスカルを代表する動物・キツネザルの生態についてです!

キツネザルと言えば、しま模様の長い尻尾が特徴的な「ワオキツネザル」や、軽やかな横っ飛びを見せる「ベローシファカ」などが有名ですよね。実は地球上には100種類以上ものキツネザルが存在しています。
この記事では、キツネザルの生態や特徴をお届けします。

キツネザルの真実1:サルっぽくないサルである

みなさんはキツネザルをじっくり観察したことはありますか?

先日、マダガスカル旅の予習も兼ねて動物園でキツネザルを観察してきました。
そこで抱いた印象は「足が長くて犬のように歩くのに、毛繕いする姿はまるで猫。そして、驚くほど軽やかにジャンプをする、ちょっと不思議な生物」というものでした。

ワオキツネザル

そう、あまりサルっぽくないんです!!
それでも、キツネザルはその名の通り「霊長目・キツネザル科」に分類される、れっきとしたサルの仲間です。

最小種のネズミキツネザル(左)と最大種のインドリ(右)

キツネザルの大きさは種類によって異なり、リスほどの小型のものから少し大きめのネコくらいのものまでさまざま!体重も、およそ 0.5~5 kgと幅があります。

なぜ“キツネ”ザルと言う名前なのか?

カンムリキツネザル

「キツネザル」という名前は、突き出た口元が狐に似ていること、長い尻尾を持つことから付けられました。

ワオキツネザル

正直、尻尾が狐に似ているかは疑問に感じるところですが、全体的な雰囲気がどことなく狐を連想させるため、この名前が付けられたと言われています。

ビー玉のような丸い目

クロシロエリマキキツネザル

キツネザルの目は、他のサルとは少し違います。

目の形はまん丸で、瞳は黄やオレンジがかった色味の子が多い。まるで黄色のビー玉に黒い模様がちょこんと乗っているような感じですよね。

キツネザルの真実2:マダガスカルにのみ生息する

キツネザルは日本の動物園でも見ることができますが、野生はマダガスカルにしか生息していません。

実は、マダガスカルは1億年も前はインドと繋がった大陸の一部でした。
(画像内の赤いピンは現在のマダガスカルの首都「アンタナナリボ」です)

1億500万年前の白亜紀の古地球儀、CR Scotese、PALEOMAP プロジェクト

インドが北上するにつれ分離することとなりましたが、マダガスカル自体は元の位置からほとんど動くことなく神秘の島として存在し続けています。
そんなマダガスカルに長い間住み続けているキツネザル…どこかロマンを感じますね。

9000万年前の白亜紀の古地球儀、CR Scotese、PALEOMAP プロジェクト

キツネザルが他の原猿類と異なる進化を見せはじめたのが、およそ6200万年前と言われています。

マントヒヒやゴリラ、チンパンジーなどの真猿類が進化を遂げる中、孤立したこの島で独自に進化し、今も生き続けているのがキツネザルなのです。
ただ、キツネザルの祖先の化石はほとんど見つかっておらず、どのような姿をしていたかは明らかになっていません。つまり、キツネザルがいつ、どこで現れたのかは今も謎のままなのです。

ちなみに、はじめて人間がマダガスカルに足を踏み入れたのは約1600年前とされています。キツネザルからすれば、人間なんて「つい最近やって来た新参者」に過ぎないのかもしれませんね…!!

キツネザルの真実3:絶滅の危機に瀕している

絶滅ランクCRのクロシロエリマキキツネザル

IUCN(国際自然保護連合)によるとキツネザルの96%が絶滅の危機にあるとされています。

現在確認されているキツネザルは107種類。その数は毎年更新される勢いで新しい種が発見されていますが…そのうち103種類が絶滅危惧種です。

さらに、その103種のうち33種類が「絶滅ランクCR」に分類されており、「今すぐにも野生種の絶滅が生じる危険性が極めて高い」とされています。

絶滅ランクCRのベローシファカ

キツネザルがこれほど減少している主な原因は、人間による狩猟や森林伐採、焼畑農業、そして気候変動です。
最近では、これまで見られなかったような巨大な低気圧や厳しい干ばつ、激しい雨などの異常気象がキツネザルに深刻な影響を与えています。

また、近年は雨季が短く、乾季が長引く傾向もあり、生態系全体のバランスが崩れてしまっているのです。

調べてみると、すでに過去に絶滅してしまったキツネザルもいました。ここでは、「アルカエオインドリス」と「メガラダピス」の2種類をご紹介します。

絶滅したキツネザル①「アルカエオインドリス」

Wikimedia Commons参照

史上最大のキツネザルとされる「アルカエオインドリス」。
なんとその体重は200 kgを超えていたと言われています!!4足歩行時の体高は1mほど。まるでゴリラのような巨体だったとも考えられています。
太古のマダガスカルを、これほど大きなキツネザルが歩いていたなんて…!

アルカエオインドリスをはじめ、数千年前のマダガスカル島には、他にも巨大なキツネザルが生息していたと考えられています。

絶滅したキツネザル②「メガラダピス」

Wikimedia Commons参照

メガラダピスもまた、巨大なキツネザルの一種です。
推定される大きさは体長1.5 m、体重80 kg!現在のキツネザルのように軽やかに飛び跳ねることはあまり得意ではなかったようですが、樹上で葉をのんびり食べていたと考えられています。まるでコアラのような姿だったことから「コアラキツネザル」という俗称もあります。

アルカエオインドリスと同様に、メガラダピスもマダガスカルで繁栄し、約500年前まで生き残っていたとされています。

これらのキツネザルが絶滅に追いやられた背景には、彼らが長い間孤立した環境で進化してきたことが一因と考えられています。他の動物たちとの競争がほとんどなかったため、人間が登場したときに適応しきれなかった可能性が高いのです。孤立した環境でのんびり暮らしていたキツネザルたちが、外部からの脅威に直面したとき、どれだけ脆弱であったかは想像に難くありません。

まとめ

今回は、マダガスカルを代表する動物「キツネザル」の生態を3つの観点からご紹介しました。次回はマダガスカルに生息するキツネザルの仲間たちをご紹介します。それぞれの種が持つ個性豊かでユニークな特徴にきっと驚くはず!次回もお楽しみに!!

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