針岩が連なる絶景!世界遺産ツィンギを命綱ハーネスを付けてトレッキング
DAY5

針岩が連なる絶景!世界遺産ツィンギを命綱ハーネスを付けてトレッキング

唯一無二の不思議な岩山「ツィンギ」

マダガスカル旅のハイライトともいえる「ツィンギ」のトレッキングに挑戦しました。
出発前からずっと楽しみにしていた場所ですが、当日はやなぎーが体調不良、きじーが寝不足という、決して万全とは言えない状態での挑戦に…。それでも、剃刀のように鋭くそびえる岩山や、その壮大な景色は圧巻の一言。初めて見る不思議な光景に、疲れも忘れて興奮しっぱなしでした。

今回はそんな波乱のトレッキング体験をお届けします。

マダガスカルの世界遺産「ツィンギ」とは

ツィンギ

剃刀のような尖った岩が無数に立ち並ぶ「ツィンギ」。この奇岩群は、石灰岩でなる「カルスト台地」が数万年かけて侵食され、形成されたものです。正式名称は「ツィンギ・デ・べマラ厳正保護区」で、1990年に世界遺産に登録されています。

この地域には90種を超える鳥類をはじめ、爬虫類やキツネザルなど、マダガスカル固有の野生動物が多数生息する貴重な場所。自然愛好家にはたまらないスポットです。

岩山を登るきじー

今日はそんなツィンギのトレッキングに挑戦してきました!

トレッキングコースは、がっつり冒険を楽しむ「大ツィンギ」と、軽く楽しむ「小ツィンギ」の2種類あります。私たちは標高差約200mを登り降りする中級者向けの「大ツィンギ」に挑戦しました!所要時間はおよそ4時間です。

スレスレを登る

大ツィンギ登山口までのアクセス

ツィンギ・デ・ベマラ厳正自然保護区の位置

私たちは、前日(DAY4)からベコパカという村に宿泊していました。
今回選択した「大ツィンギ」のトレッキングコースはペコバカから約17kmほど離れているため、登山口まで車で向かう必要があります。

ベコパカ村

07:30 ベコパカのロッジを出発

ベコパカ村のロッジ

朝7時半、予定通りベコパカのロッジを出発しました。しかし、やなぎーは前日から発熱が続いており、朝ごはんも食べずにロキソニンを飲んで休むという状態でした。それでも出発時にはなんとか体調が少し回復し、参加を決断。

一方のきじーも万全とは言えず、前日の夜はスターリンクとの格闘、さらに朝4時から2本の打ち合わせをこなし、ほとんど寝ていない超寝不足状態…。2人とも、まさにトレッキングには不向きなコンディションでのスタートとなりました。

かろうじて食べたロッジの朝ごはん

ロッジから登山口までは車で約1時間。どこかまだ眠気の残る車内の空気に、静かな緊張感が漂っていました。トレッキング、一体どうなるのでしょうか…。

▼ここでプチ豆知識

マダガスカルでは、国立公園や保護区に入る際、必ずローカルガイドを同行させる必要があります。ナイトサファリやモーニングサファリといった動物観察のツアーでも同じルールが適用されます。今回の「ツィンギ」も例外じゃなく、ローカルガイドが必要でした。

ということで、ガイドのラビさん・ドライバーのチャールさん、そしてローカルガイドのデュポンさんとともに大ツィンギーへ向かいます。今日も道中の悪路具合はすさまじい。

車内はぎゅうぎゅう

車体が右に傾いたり、左に傾いたり。人数も人数なのでシートはぎゅうぎゅうに詰まっててとっても息苦しかったです …!

そんな中、肩に木を担いだ50人ほどの若い青年たちとすれ違いました。

訓練中の青年たち

彼らは、軍隊の訓練中だそうです。マダガスカルでは18歳から18ヶ月の兵役義務があり、彼らもその一環で訓練を受けているのです。すれ違った際、私たちのことを不思議そうな目で見ていたのが印象的でした。

悪路が続く

その後も、容赦なく悪路が続きます。巨大な水たまりに突っ込む場面もありました!タイヤが浸水するんじゃないかとドキドキでした。乾季でさえこの水たまりということは雨季は通れないんじゃないかな…。

水たまりを進む

08:40 ツィンギの登山口に到着

なんとか悪路を耐えぬき、ロッジを出てから1時間ちょいで無事に登山口に到着。

大ツィンギの登山口

ツィンギ登山口となる場所には白い建物があり、レストランも併設されています。営業しているかは分からなかったのですが、地元の人らしき方はたくさんいました。

トレッキングに挑戦する人々

観光客が集まる場所ですから、物を売ってる人の姿も見かけました。

物を売る地元の人

さぁ、トイレを済ませ、いよいよトレッキングスタートです。

登山口のトイレ

ハーネスは途中から使用するらしく、最初の段階では装着するかしないかは自由とのこと。デュポンさんは「太ってきついから俺は後でつける」と言っていました(笑)
ハーネスを見ると、どんなに体調悪くてもワクワクしちゃう!

ハーネス

ちなみに、ドライバーのチャールさんはトレッキングには参加せず、登山口で待機します。マダガスカルを訪れる外国人旅行者の多くは、専属ドライバーと一緒に旅をするのが一般的です。お客さんがアクティビティを楽しんでいる時間は、専属ドライバーにとって大事な休息タイム。車内で仮眠をとったり、同じく待機中の他のドライバーとのおしゃべりを楽しんだりするようです。

ツィンギ登頂スタート!キツネザルの大群に遭遇

09:00 トレッキングスタート

トレッキング開始

トレッキングは、森の中の散策から始まります!緑豊かな森の中を歩きます。
私たちがツィンギを訪れたのは7月後半の乾季です。日陰は涼しいものの、日差しが強い場所では汗ばむ陽気でした。真夏の一番暑い時期は40度近くになることもあるんだとか。

森の中を歩くきじー

森のトレイル中に動物には、たくさんの動物に会えました!

はじめに会ったのは「ブラウンキツネザル」のファミリー。10頭以上はいたんじゃないかな。

ブラウンキツネザル

かなり間近で見れて一番近いときは2mほどの距離でした。キツネザル同士でじゃれ合う様子や、じっとこちらを見つめる瞳がとっても可愛かった。

ブラウンキツネザル

夜行性の「イタチキツネザル」は、木の隙間で体を温めてました。

イタチキツネザル

さらに、横っとびで有名なキツネザル「ベローシファカ」にも遭遇。キリンディでは遠くから見るだけでしたが、ここではもっと間近で見ることができました◎

ベローシファカ

なんだか白いフードをかぶってるみたい。

この子は、背中になんと赤ちゃんを背負っていました。時々顔をひょこっと出す赤ちゃんが、めちゃめちゃ可愛かった。

赤ちゃんを背負う母

動物をじっくり撮影していたらあっという間に1時間が経過しました。だんだん足場が悪くなってきました。

岩場を登る

トレッキングの途中には、真っ暗闇の洞窟を抜ける場面もありました。完全に真っ暗というわけではないので、肉眼でも進むことはできそうですが、ヘッドライトがあると安心感が違います。この洞窟の道中はなかなかハード。中腰で進まなければならない場所があったり、荷物を背負ったままでは通れない狭い箇所では荷物を引きずったり、時には這いつくばって進みました。

洞窟の中

命綱ハーネスをつけて絶景の頂上へ

洞窟を抜けると、本格的な登りが始まります!ここでハーネスの出番。命綱となるハーネスをしっかり装着しました。

洞窟を抜ける

ハーネスをつけたら、40mほどの高さの切り立つ剃刀岩をボルダリングの要領で登っていくのですが、足場はほんの数センチしかありません。足を踏み外したら尖った岩に激突して怪我をするので、慎重に登ります。

岩山を登る

40mの絶壁を登っていくので、高所恐怖症の人は難しいかと思います。スリリングな体験が好きな人はワクワクしながら登れると思います!

後ろを振り返る

岩を登る途中、ふと後ろを振り返ると、自分が険しいトゲトゲの岩場を登ってきたことを実感します。それと同時に達成感も出てきます!

足場が不安定で、足を上手にかけないと登れない箇所が続くため、慎重にならざるを得ませんが、その分、途中で目にする絶景に心揺さぶられます。疲れを忘れるほどの美しい景色が広がっていました。

バンザイをするガイドのラビさん

11:30 ツィンギの頂上に到着

頂上

40mの岩を無事に登り切り、頂上に到着〜!
頂上からは「ツィンギ」の全貌が見えます!!鋭利な岩々がどこまでも連なる景色は、ただただ圧巻。

ツィンギ

頂上には、こんな感じで一部に手すりが設置されており、その手すり越しにツィンギ全体を眺めることができます。

手すりがある

頂上で岩を間近に見ると、その鋭さに驚かされます。一歩間違えてよろけたり転んだりしたら、ただでは済まない危険さが伝わってきます。
それでも、この岩々が数万年にわたって雨や風に削られ、少しずつ形作られてきたことを考えると、自然の力の偉大さとスケールの大きさに圧倒されるばかりです。どれだけの時間がかけられて、こんな壮大な景色が生まれたのかと思うと、感動せずにはいられません。

鋭い岩

頂上を楽しんだ後はすぐに下山するのではなく、剃刀のような岩の上を歩いたり、岩にしがみつく感じでのっそりカニさん歩きで移動したりして楽しみました!40mの岩登りは意外とあっという間でしたが、その後もしっかりツィンギを堪能することができました◎

剃刀岩を歩く

大吊り橋

ツィンギの目玉の1つでもある「大吊り橋」にも行きました!!長さ30メートルくらいあるのかな?
歩くと結構揺れます。ゆらゆらと揺られながらも、周囲を見渡せばツィンギの鋭い岩々が広がっており、気持ちのいい空中散歩体験ができました!

大吊り橋

下山開始

大吊り橋を満喫した後は、ゆっくり時間をかけて下っていきます。森に出るまではハーネスを使ってハシゴを降りたり、トゲトゲの上を階段のように降りて行ったりと、スリリングな場面が多かったです。

森に出る手前の洞窟で、待望の「マダガスカルワオマングース」に会えました!!「ワオ(輪尾)」という名前の通り、尻尾が輪のようにカーブを描いています。

マダガスカルワオマングース

同じところをグルグル回っていて可愛かった。。でも薄暗い洞窟の中ですばしっこく動き回るため、写真に撮るのはかなり大変でした。粘りに粘って最後に良い写真が撮れました◎

洞窟を抜けしばらく歩いたら、朝歩いた森の中に戻ってきていました。この頃には気温がかなり上昇し暑くなっていたため動物はいませんでした。やっぱり、動物を見るなら朝に行くのが1番だと思います。

最後の森のトレイルは、動物に遭遇することもないし、日差しが強くて暑いし、意外ときつかったなぁ…。

13:40 トレッキング終了(下山完了)

下山完了

登山口まで無事に帰還しました。体調は最悪でしたが、何事もなく戻って来れて本当によかった〜。

絶好調だったら問題なく乗り切れたと思うのですが、今日の私たちには正直かなりキツかったです。
やなぎーは熱があったため、朝の森のトレイルが死ぬほどキツくて実はリタイアしようか迷うほどでした。朝方にロキソニンを飲んでいたけど、もしかしたらその効果が切れていたのかも。

体力が普通にある方なら恐らく大丈夫ですが、体調は万全の状態で望まれることをおすすめします!!当たり前のことですがね笑

ツインギからベコパカのロッジへ帰る

後部座席に座る男性たち

帰りの車では、日本のお菓子「かむかむレモン」と「ふんわり名人きな粉餅」を食べて大盛り上がり。食いしん坊のデュポンさんは、日本のお菓子をもりもりニコニコ食べていました。

行きと同じく、車で1時間くらいかけて宿の方に戻り、途中でデュポンさんとお別れしました。

デュポンさんとお別れ

宿に戻る前にローカル感溢れるレストランに寄りました。15時くらいだったかな、遅めのお昼ご飯を取りました。

レストラン

しかし、この頃からやなぎーの体調が急激に悪化。寒気が止まらず、食べ物も喉を通らないほどに…。

お昼ごはん


それでも、なんとかお昼ご飯の時間を乗り切り、宿の部屋まで戻りました。熱を測ると38度後半…すぐにロキソニンを飲んで、そのままベッドにダイブしました。こんな状態になってしまったけど、一生に一度かもしれない「ツィンギ」に登れて本当によかった。体よ、最後までもってくれてありがとう。

このロッジは毎日計画停電があるのですが、17時には電気が使えるとのことで17時過ぎにそれぞれお風呂に入りました。残念ながらお風呂は水風呂でした。お風呂には電気が通るか否かは関係ないみたい…。

夜ごはんは、やなぎーはポカリとバナナ1本だけ。
きじーは、ロッジのレストランでご飯を楽しみました。前日から泊まってるので、晩ごはんの味はあまり期待していなかったのですが、昨日とは打って変わってびっくりするくらい美味しかったです。

ディナー

海老は身がプリプリ。プリンもカラメルがしっかりありました。うーん、さては、昨日とシェフが違うな??

ご飯中に見つけたカメレオン

楽しみにしていた日がこんなに大変になるとは思わなかったけど、動物にもたくさん会えたし大満足な1日でした。ポッドキャストでは当日の様子をリアルに語っていますので、よかったらこちらもチェックしてみてくださいね!

▼追記(旅を終えてから)

私たちがマダガスカルに行ったのは7月後半〜8月前半の乾季です。雨季は1月〜3月で、気候や道路状況がガラリと変わる地域もあります。ぬかるんで通れない道も出るみたいなので、事前に調べていくと良いと思います!

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