モロッコと現代のイスラム教。モロッコ観光で気をつけること

モロッコと現代のイスラム教。モロッコ観光で気をつけること

国民の約9割がイスラム教徒であるモロッコ。
今回は、モロッコと現代のイスラム教に焦点を当てて解説します。モロッコを旅する上で、イスラムの知識は欠かせません!これからモロッコに行かれる方はぜひ参考にしてくださいね。

モロッコにおけるイスラム教の歴史

イスラム教はメッカの商人「ムハンマド」が創始した宗教です。
※イスラム教の基礎知識については以下の記事で解説しています。

さて、モロッコはアフリカ大陸の最北端に位置し、ヨーロッパに最も近いアフリカの国!世界史においても、とても重要な拠点です。6世紀頃までのモロッコはローマ帝国や東ローマ帝国の支配下にありましたが、7世紀にイスラム教国家であるウマイヤ朝が興ると、イスラム圏に組み入れられました。それ以来、長くイスラム文化が根付いています。

モロッコの北側には地中海を挟んでスペインがありますが、一時期はスペインのほぼ半分がイスラム教徒の支配下であったともされています。

現代のイスラム教は国によって厳格さが異なる

イスラムの教えは、現代の価値観や日本人の価値観と合わない部分があり、しばしば社会問題として取り上げられることがあります。

例えば、イスラムの教えを記した『コーラン』には、以下のようなことが書かれています。

  • 神は女より男を優先する
  • 女は家で男の留守を守るべき
  • 女が言うことを聞かなければ、男は暴力を振るってもよい
  • 女はスカーフで顔を隠し、肌をできる限り見せないようにしなければならない

このようにコーランの教えを厳しく守る地域は、女性の制限が多く、明らかに男尊女卑と思われる考えが広く浸透しています。しかし、現代の価値観に合わせようとするイスラム教徒ももちろんいます。

ここからは、コーランの教えを厳格に守ろうとするグループと、時代に合わせて問題点は柔軟に変えていくべきだとするグループに分けて解説します。

1.コーランの教えを厳格に守る派

このグループの代表的な国は、ムハンマドが生まれ育ったメッカがあるサウジアラビア。
サウジアラビアは『コーラン』の教えを厳格に守っているため、女性の制限も多いです。

例えば、2018年になってようやく女性が運転できるようになったことがニュースになりましたね。これは、国連からの圧力で渋々変更したものでした。

しかし、サウジアラビアの国民は、厳しいイスラムの教えに対してあまり不満を持たないとされています。その理由は、サウジアラビアは石油大国で王族が非常に裕福だからです!

イスラムの教えでは、富を持つ者が持たない者に施さなければならないとされています。
サウジアラビアでは、圧倒的な富を持つ王族が市民に分け与えるという構造が成り立っているため、厳しいイスラムの教えでも国民が従うことができるのです。サウジアラビアの政治は、イスラムの教えと相性がよく、都合よく機能していると言えるでしょう。

2.時代に合わせて柔軟に変えていこう派

このグループの代表的な国はトルコです。トルコでは、イスラム教の教えを現代に合わせて柔軟に変えていくという考えが浸透しています。

例えば、イスラム教ではお酒が禁止されていますが、トルコでは街中でお酒を購入することができます。イスラム教徒は飲まないだけで、国としてはお酒の販売を許可しているのです。

これは、イスラム教の教えを柔軟に解釈し、現代の価値観に合わせて変えていこうとする政治家がトルコには多いためです。

モロッコは比較的ルールがゆるい

モロッコは国民の約9割がイスラム教徒ですが、比較的ルールが緩い国とされています。
信仰の在り方は個人に委ねられており、特に西洋文化の影響が強い都市部の雰囲気は開放的です。

ほとんどがイスラム教徒なのでお酒は飲みませんが、モロッコはアフリカで2番目に多くの外国人が訪れる国です。外国人、つまり異教徒もたくさん訪れることから、大型のスーパーやレストランではアルコールを提供しているところもあります。

また、女性の多くはスカーフと長袖を着用し、素肌をなるべく見せないようにしていますが、最近ではそうではない女性も出てきているみたいですよ!まだまだ少数派のようですが…。

モロッコ観光で気をつけること

1.アルコールや豚肉を口にするときは周りをよく見る

イスラムの教えでは、アルコールや豚肉を口にすることは許されていません。
しかし、外国人向けのレストランでは提供していることもあるため、食べるときはそのような場所を利用するようにしましょう。

外国人がアルコールを飲むことに寛容な人もいますが、全く快く思わない人もいます。禁止されている飲み物や食べ物を口にする際は、周りの状況に気を配ることが大切です。

そんなモロッコですが、『CASABLANCA BEER(カサブランカビール)』というクラフトビールを国内で製造しています。

製造元の「ブラッセリー・ド・モロッコ(BRASSERIE DU MAROC)」は、1919年創業のモロッコ屈指のビールメーカーで歴史もあります。外国人が多い観光地や高級ホテル、リゾート地などでカサブランカビールは人気が高いので、飲む機会あればぜひ飲んでみてください。

カサブランカで生牡蠣をつまみにして飲みましたが、すっきりとして美味しかったですよ♪

2.露出の少ない服装を心がける

イスラム教の文化を尊重するため、露出の少ない服装を心がけましょう。

外国人に対する厳しい服装規定はありませんが、イスラム教の戒律を守る人が多いため、肌の露出は控えめにするのが無難です。とはいえ、タンクトップやショートパンツ、ミニスカートなどは避け、適度にカバーする服装を心がければ問題ないとされています。

3.偶像礼拝・結婚前の男女交際が禁止であることを念頭におく

イスラム教は「絶対的一神教」であり、アッラー以外の神を崇拝することは許されていません。日本の八百万(やおよろず)の神の考え方とは異なることを理解しておきましょう。

また、イスラムには「結婚前の男女交際は禁止」という教えがあります。日本では考えられないルールですが、コーランに実際に書かれています。

そのため、モロッコ人のカップルが宿泊する際には「結婚証明書」が必要ですし、モロッコ人と外国人のカップルも結婚前は基本的に泊まることはできません。

結婚前の日本人同士(イスラム教ではない)のカップルは、特に証明書を求められることはないのでご安心ください。ただ「結婚前の男女交際は禁止」という考えは頭に入れておきましょう。

4.非イスラム教徒はモスクに入れない

ハッサン2世モスク

イスラム教徒の礼拝堂であるモスク。
基本的に非イスラム教徒(=イスラム教徒では無い人)は、モスクに入ることができません。

ただし、モロッコ最大の都市「カサブランカ」にあるモスクは、非イスラム教徒の観光客でも入れるところがあります。観光として巡るのなら、カサブランカの「ハッサン2世モスク」に行ってみましょう。

まとめ

今回はモロッコと現代のイスラム教に焦点を当ててお伝えしました。

同じイスラム教でも国によって考え方が異なることがわかりましたね。イスラムの教えは生活に関する制限が多いので、旅に行かれる方はぜひその国の文化を学んでから訪れることをおすすめします。

ポッドキャストでもこのテーマについて語っています。ぜひ、こちらも聞いてみてくださいね!

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