エジプトの砂漠は想像以上にすごかった
砂漠と聞くと、肌色のサラサラした砂が延々と続く風景を思い浮かべませんか?
でも、エジプトの砂漠は全く違います。真っ黒な石が積もった「黒砂漠」、雪のように白い砂が広がる「白砂漠」など、まるで異世界ような景色が広がっています。そんな神秘的なエジプトの砂漠を、1日かけて巡ってきました!
首都カイロから「砂漠国立公園」へ
今日はいよいよエジプトの砂漠に足を踏み入れます!今回の砂漠行きはツアーを予約していたため、朝私たちが宿泊しているホテルまで運転手さんが車で迎えにきてくれました。どうやら途中で1度車を乗り継ぎ、首都のカイロからおよそ5時間かけて砂漠へ向かうようです。
道中の様子
車にすべての荷物を積み込み出発です!

しばらくは高速のような大型の道路をひたすらまっすぐ進みます。ほんの一瞬ですが、カイロを出てすぐのあたりでギザのピラミッドも見えました!

郊外までくると、目に映る景色がだんだん白っぽく霞んできました。写真では濃霧のようにも見えますが、これは大気汚染による影響。。。排気ガスの臭いが充満し、もう白いのを通り越して茶色い空気が漂っています。

昨夜はカイロの街にある「ハンハリーリ市場」を訪れましたが、帰宅してシャワーを浴びた際も、自分の髪から漂うあまりの排ガス臭さに引いてしまうほど。悲しいことに、5日間お風呂に入れなかったモンゴルと比べても全然臭いです。

空気でいえば「乾燥」も相当なもの。体はカサつくし、指にはささくれがたくさん出来るしで保湿が必須の旅です。昨日干した洗濯物がすぐにカラッカラッに乾いたのにもびっくり。さすが砂漠の国です。
カイロを出発して1時間くらいが経ったころ、巨大な発電所やガソリンタンクが立ち並ぶ街を通り過ぎました。どうやら巨大な石油の採掘地で、カイロの街の莫大なエネルギーを支えている重要な場所のようです。
ここは住宅地とオフィス街。

面白いのが、道路を挟んで片側が「住宅地」、その反対側が「オフィス街」と区画がくっきりと分かれていることです。
巨大ショッピングモールや映画館も途中で見かけ、発展を続けるエジプトの様子がよくわかります。

快適な車内
車内では、運転手さんがガイドのように色々教えてくれました。運転手は優しいおじさまなのですが、話はわかりやすいし、車も清潔でとっても快適でした。
何より嬉しかったのは、強烈な日差しを遮るために日除けカバーもつけてくれていたこと!!海外の車では、いつも日差しに苦労していたのでクッションをはめるだけでいいのは画期的。最高だー

話は道中の様子に戻り…途中でトイレをするのに立ち寄ったスポットには、お菓子やドリンクも売られていました。

トラックもたくさん停まっています。みんなここに寄るんだろうな〜

車に再び乗り込みしばらく走ると、あたりの景色は徐々に土色に変わってきました!砂漠に近づいてきているようです。

砂漠ハンターとしては、この砂の景色に心が踊ります。

ランチ休憩
快適なドライブを楽しみ、ランチタイムです!砂漠の国立公園の手前のバウーティーという街です。

今回、砂漠へはモハメドさんという現地ガイドの方に案内してもらうことになっているので、彼と待ち合わせしてたカフェ(のようなところ)に向かいました。

カフェには素敵な庭があって、赤い可愛らしい花とグリーンの植物の木陰がとても気持ちいい。のんびりガーデンランチといった雰囲気です。

爽やかな空気にホッと一息をついた頃、ランチが運ばれてきました。
平たいパンにソース、ポテトチップス、そしてフライドポテト。どれも絶品なのですが、驚いたのがポテトチップスの味!コンソメのような味付けでとにかく美味しい。芋を丸ごと揚げたものも最高に美味しくて芋好きとしてたまらない。エジプトの芋は品質が良いのかもしれません。

食後にはミントティーをいただきました。ミントティーというとモロッコを思い出しますが、モロッコよりも甘さは控えめ。乾燥地帯で飲むミントティーはやっぱり美味しい。

ミントティーを運んできてくれた可愛いおじいちゃんは、なんとモハメドのボスとのことで、ここでのお金のやりとりは全部ボス経由でした。近くにいたモハメドに渡そうとしたら「ダメダメ、ボスに渡して!」と言われて、終始モハメドは受け取ってくれません。不思議だけど、ここではお金のことは上の人に任せるというルールなんだろうな〜
黒い山が並ぶ「黒砂漠」
さて、ガイドであるモハメドの車に乗り換えていよいよ砂漠へ突入です!!

まずは「黒砂漠」からスタート!

ここは、その名の通り見渡す限り真っ黒な石が積もる場所。ピラミッドのような形のとがった黒い山がずらっと並んでいて、まるで「黒いピラミッドの森」のようです。

黒砂漠想像以上にカッコいい…荒涼とした光景にワクワクが止まりません。そんな黒い世界で、一番高い山に登ってきました!高いと言っても20分ほどで頂上まで登れるサイズ感ですが…。

足元にはゴロゴロと石が転がっています。地面に密集して転がる黒い火山岩。ここはかつて火山活動が活発だった場所で、その時の玄武岩が砂漠を覆っているから黒いんです。

頂上に到着。

頂上からの景色は「地球じゃない感」がすごい。まるで火星や月にいるような気分になります。実際に過去にはNASAの月面着陸練習が行われたこともあるそうですよ!

小さな山がたくさんあり、遠くから見ると「黒いピラミッド群」にも見えます。

これはもう原始の地球の姿じゃないでしょうか。
タイムマシンに乗って数億年前にやってきたみたい。火山からマグマが噴出していた痕跡が鮮明に残っているんです。

こんな砂漠は他にないんじゃないだろうかと思えるほどの絶景。噴火していた当時の様子を想像しながら頂上からの眺めを楽しみました。

キラキラ輝く「クリスタルマウンテン」
黒砂漠の次に訪れたのが「クリスタルマウンテン」。その名の通り、クリスタルで形成された山です。

実際は山というより丘に近いサイズ感ですが、丘全体にクリスタルがゴロゴロ転がっていて、光に当たるとキラキラしてとても綺麗です。

これ全部クリスタル!躓いて転びそうになるほどクリスタルだらけでした。

このクリスタルは「アラバスタ」と呼ばれる鉱石で、彫刻や工芸品によく使われます。大理石と比べて柔らかいため加工しやすいのが特徴。その硬度は2.5と、爪よりも柔らかいため、爪で簡単に傷をつけることができます。

昨日訪れたカイロの「ムハンマド・アリー・モスク」の内壁にも、アラバスタがよく使われているんですよ〜!モスクの様子はこちらから。
アラバスターは半透明で、大理石とは違う独特の美しさがあります。

ここで1つ注意点。この石はとても綺麗ですが、持ち帰るのはNGです。次の人が見られなくなるし生態系も崩れる可能性があるからです。

持ち帰ることを許したらガイドの資格も剥奪されるそうなので気をつけましょう。ちなみに、空港でもチェックされるそうなので、無断で持ち出して捕まってしまったなんてことのないようにしましょうね!
真っ白な大地「白砂漠」

最後は今回の目玉、「白砂漠国立公園」です。

黒砂漠の景色とはうって変わって、白い砂の大地が広がります。

はるか昔、この一帯は海の底でした。つまり、白砂漠は海底が隆起して地上に現れたものなのです。
海に生息していたプランクトンやサンゴなどの生物の殻や遺骸が、長い年月をかけて堆積し、この白い大地を形成していきました。

白砂漠の面積はおよそ3,010平方kmと東京がすっぽり収まってしまうほどの大きさで、2002年にエジプト初の国立公園に指定されています。


奇岩群
石灰岩が風や砂嵐によって侵食されてできた、さまざまな形の奇岩も見ることができます。
それぞれ高さは5mくらいでかなり巨大。マッシュルームや羊に見える岩など、まるで天然のアート作品が点在していて美術館のようです。

多くの砂漠を経験してきた砂漠ハンターの私たちでも初めて見る光景ばかりで、終始大興奮でした。
洞窟のようなスポット
石灰岩で洞窟のようになっているところもありました。ここで話をすると声が跳ね返ってエコーのように響き渡ります。まるで天然のカラオケボックスのようでした!!

モハメドも素敵な写真をたくさん撮ってくれました!彼は本当にいいガイドです。

少し歩くと砂一面の雄大な砂漠もありましたよ〜!この広大さ、圧巻です。


傾いた太陽と白砂漠。ここでもモハメドが素敵な写真を撮ってくれました!!


白砂漠のサンセット
白砂漠では砂丘バッシングやサンドボードなどのアクティビティも楽しめます。私たちはサンドボードにチャレンジ。ボードに乗って砂漠の坂を滑り降ります。

やなぎーは早々に転んでしまいましたが、ふわふわの砂だから全然痛くない。

滑り終わった後は、口の中も砂、靴の中にも大量の砂、顔にも砂がべっとりついた状態でした(笑)
でもそんなの関係ないくらい楽しかったです。

砂まみれで楽しんだ後は、夕日撮影タイム。

白い大地が太陽のオレンジにどんどん染まっていく…。

あまりに綺麗で走ってみました。

影が一層長くなり、うっとり。どこまでも荒涼とした大地が広がって雄大な気持ちになります。

シルエットもいい感じに撮れます!



太陽を手にするポーズにもチャレンジ!めちゃくちゃ良い感じに撮影できました。

大満足の時間でした。エジプトの砂漠は、これまで訪れた砂漠の中でも際立って景色のバリエーションに富んでいて、短い時間でもフルに楽しめます。人が全然いないのも良かったです。
今夜はテント泊。砂漠キャンプの様子

今夜は砂漠の何もないところでテントを建ててキャンプです。

砂漠の夜は冷えるため、太陽が完全に沈んでしまう前に防寒対策をしました。

夜ごはん前にはナツメヤシの実を食べさせてもらいました。これがみずみずしくて甘くて美味しい。モロッコでも食べたことがありますが、全然違います。というのもエジプトはナツメヤシの主要な生産国で、「GROBAL NOTE」が2023年にまとめた統計によると世界第1位の1,867,064トンが生産されています。まさに本場の味!!

夜ごはんは、モハメドが職人のように黙々と手料理を作ってくれました。

ツアーに同行していたモハメドの後輩と思われる男性は、焚き火でお肉をジュージュー焼いてくれます。モハメドは「肉はローストにするのがバーベキューの心得だ」と言って、男性にじっくり焼くよう指示していました。暑い中、かなり我慢強く頑張ってくれました!!

美味しそうな香りにつられてお腹もペコペコ。いよいよいただきます。
焼きたてのお肉は香ばしくてジューシー。さすがじっくりとローストにしてくれただけあります。

モハメドが作ってくれたじゃがいものトマト煮もすごく美味しい。エジプトのじゃがいもって、本当に美味しい。

ライスも美味しいし、スープも最高。やっぱり大自然で食べるご飯は格別です。


嬉しいことに、しっかりフレッシュサラダも準備してくれました。旅中は野菜不足になりがちなので助かります。

満点の星空の下でいただく美味しい料理。ほんと贅沢な時間でした。
砂漠で見た最高の星空
夜ごはんの後は星空撮影タイム。
満月に近い日で月明かりがすごく明るい。普段ならマニュアルフォーカスでピントを合わせるところが、なんとオートフォーカスで星にピントが合ってびっくり。月の明かりってすごい。

持ってきたライトで、軌跡をつくって撮影を楽しみました!ピラミッドをイメージして三角形を!


月明かりが強いので月が沈むまで仮眠をとって、月が沈んだ午前3時ごろから再び撮影をスタート!
どうですか!!この満天の星。

砂漠の夜は本当に真っ暗です。星を見るには絶好の環境なんですが、トイレをするのはちょっと大変。
テントから遠く離れたところでブッシュトイレをするのですが、行ったはいいものの自分のテントが分からなくなって少しの間、砂漠を彷徨いました。なんとか設置していたカメラの点滅をたよりに戻ってこれましたが、真っ暗闇で出口の見えない感じはかなり怖かったです。
最後ちょっとプチ事件もありましたが、大大大満足の砂漠ツアーでした!!
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