氷河にも削られず、大きな災害にも見舞われず、何千万年もほぼ同じ環境が続いてきた「フィッツジェラルド・リバー国立公園」。その結果、西オーストラリアの固有植物の約20%がこの国立公園に集中しています。
今回はそんな植物好きにはたまらない国立公園で、絶景海岸ハイキングに挑戦!!奇妙な形のワイルドフラワーに目を奪われながら、看板も矢印もない獣道を冒険しました。
そして夜は、手作りの煮付け定食で締めくくり。そんなオーストラリア旅18日目の出来事をお届けします。
フィッツジェラルド・リバー国立公園とは?
今日の舞台はフィッツジェラルド・リバー国立公園。地図でいうとオーストラリアの左下あたり、西オーストラリア州の南西部にある巨大な自然保護区で、海が見える絶景公園としても有名です。

この公園が特別な理由は、景色だけじゃありません!ここは植物がとんでもなく個性的に進化したエリアなんです。

世界の多くの地域では、氷河が大地を削り、地形を作り替え、気候変動によって植生が何度も入れ替わってきました。でも、フィッツジェラルド国立公園は違います。
氷河もできず、大きな気候変動もない。つまり、この辺りは同じ土、同じ岩、同じ環境が何千万年も続いた場所です。

本来であれば、多くの生き物は環境変化に応じて対応していくけど、ここは環境が変わらない分、植物自身が進化するしかなかった。その結果として生まれたのが、この公園にしか存在しない固有植物の数々です。ここで目にする花や葉の形は、どうしてこうなったの?と立ち止まりたくなるものばかり。

フィッツジェラルド・リバー国立公園は、広大な海岸線と荒々しい断崖、そして唯一無二の植生が共存する、地球上でも類まれな場所です。
獣道に挑む!絶景ハイキング
宿を出発
朝は早く目が覚め、宿泊していた宿のテラスに座って朝日を見ました。鳥がちゅんちゅん鳴いて気持ちよかった〜。

朝7時半、フィッツジェラルド・リバー国立公園に向かって宿を出発しました!途中でココアとパンをかじり、簡単に朝ごはんは済ませました。

ハイキングコース入口は山の中腹にあるため、車で坂道を登っていきます。坂道の途中で、道沿いにぐっと背の高い花が目に飛び込んできました。

そう、ワイルドフラワーです!ここ、フィッツジェラルド・リバー国立公園はワイルドフラワーのメッカとして名高く、かなり楽しみにしていたんです。

▽ワイルドフラワーとは?
一般的に、ワイルドフラワーとは人の手を加えず自然に自生する花の総称です。
日本でいえばアザミや野菊のような存在。ただ、日本の野生植物は氷河期を経て幾度も、植生(ある特定の地域に生育している植物の集団。気候や土、降雨量などの環境要因や人間の活動によって影響を受ける)が更新されてきました。
その一方で前述したように、フィッツジェラルド・リバー国立公園は氷河や気候変動の影響をほとんど受けず、植生が更新されませんでした。その結果、植物自身が独自に進化を遂げることになる。
だからここで言う「ワイルドフラワー」は、ただの野の花ではなく、「大地が長い時間をかけて書いた答え」という表現がより近いかもしれません。
ハイキングスタート!

ハイキングコースの入口近くに車を停めて、ハイキングスタートです。

天気は快晴、気持ちのいいハイキング日和。風は強めだけど、それがまた海の近さを感じさせてくれてくれます。登りながら後ろを振り返ると、海がすっと広がっていました。


人影もほとんどなく、自然の中に溶け込んでいく感覚になります。


途中から岩がゴロゴロ増えてきて、大きな石も増えます。だんだん勾配も強めに。
そして、ついに頂上らしき場所に到着です!

上から眺める海岸は圧巻で、どこまでも果てしなく続く地平線。「あのずっと向こうに南極があるんだな」と思うと、胸が高鳴りました。

十分に景色が綺麗に見えるビューポイントでしたが、先の方を見てみると、どうやらまだ道は続いている様子。
頂上のその先へ。獣道が続く

特に案内板もなかったのですが、まだ先へ行けそうな雰囲気があったので進むことにしました。
でも、ここから一気に冒険モードです。

標高が上がったせいか草木がぐっと高くなり、森みたいなゾーンに突入。
植物をかき分けながら進みます。



植物エリアを抜けると、現れた巨大な岩。

どんどん険しさが増していきます。


案内板も矢印も何もありません。道っぽくない道を、「こっちじゃない?」「いや、あっちかも」と二人で相談しながら進みます。この獣道の難易度が上がっていく感じが、冒険好きの私たちにとってはたまらない!!

絶景広がるビューポイントに到着
野生の感覚を信じて最終的にたどり着いたのは、ツノのように生えている巨大な岩のてっぺん。まるでジブリ映画『もののけ姫』のサンとモロが座っていそうな、ゴツゴツとした岩の頂上から見渡す景色はやっぱり最高でした。


引き返す判断をしなかったのが大正解。まさかここまで行けるとは思っていなかったから、地図にない場所を旅しているような感覚で、とてもワクワクしました。

下りは写真をいっぱい撮りながらゆっくり戻りました。帰りは遠くにずっと海が見えます!


帰りは同じ道を戻りますが、太陽の光の当たり方が違うため、また違った景色の表情を楽しめます。

終始、楽しいハイキング。そんなに難易度は高くないので、ぜひ挑戦しみてほしいです◎

フィッツジェラルド国立公園で出会った動植物
メジロキバネミツスイ

メジロキバネミツスイ(White-cheeked Honeyeater)は、西オーストラリア南西部に生息するミツスイ科の野鳥で、オーストラリア固有種です。
フィッツジェラルド・リバー国立公園周辺でもよく見られ、低木地帯や海岸近くのブッシュを好んで暮らしています。
花の蜜を主食にしながら、昆虫やクモなども食べます。特にバンクシアやハケアの花に集まることが多く、春には活発に飛び回る姿を見ることができます。
コシグロペリカン


コシグロペリカン(Australian Pelican)は、オーストラリアを代表する大型の水鳥で、オーストラリア固有亜種とされることもあります。
特徴はなんといっても巨大なくちばしで、世界の鳥類の中でも特に長いことで知られています。
海岸、入り江、湖、河口など水辺に生息し、魚を主食にしています。複数羽で協力しながら魚を浅瀬へ追い込み、一気にすくい上げるユニークな狩りをすることもあります。
翼を広げると2メートルを超えることもあり、上空を滑るように飛ぶ姿はかなり迫力があります。フィッツジェラルド・リバー国立公園周辺の海岸でも比較的よく見られる鳥です。
ハケア・ヴィクトリア


ハケア・ヴィクトリア(Hakea victoria)は、西オーストラリア南部にのみ自生する固有植物で、「ロイヤル・ハケア」とも呼ばれる人気の高い植物です。
フィッツジェラルド・リバー国立公園は、この植物の代表的な自生地として知られています。
最大の特徴は、赤・黄・緑へと色づく大きな葉。季節や成長段階によって色が変化し、まるで花のように鮮やかな姿になります。乾燥地帯の低木林に生育し、硬く厚い葉で強い日差しや乾燥に適応しています。
オーストラリアのワイルドフラワーを代表する存在のひとつで、開花シーズンには多くの観光客や植物ファンが訪れます。
バレルコーンフラワー

バレルコーンフラワー(Barrel Coneflower)は、西オーストラリア南西部に自生するワイルドフラワーの一種で、フィッツジェラルド・リバー国立公園周辺でも見ることができます。
名前の由来は、樽(Barrel)のように丸みを帯びた特徴的な花の形から。
ワックスフラワー

ワックスフラワー(Waxflower)は、西オーストラリア原産のフトモモ科の低木植物で、オーストラリアを代表するワイルドフラワーのひとつです。
小さく可憐な花びらが蝋(ワックス)のような質感を持つことから、この名前が付けられました。
乾燥した環境に強く、春になると白、ピンク、紫色の花を一斉に咲かせます。花には甘い香りがあり、ミツバチやミツスイ類など多くの生き物を引き寄せます。
切り花としても世界的に人気が高く、西オーストラリアのワイルドフラワー文化を象徴する植物のひとつです。
ドライアンドラ・クエキフォリア

ドライアンドラ・クエキフォリア(Dryandra quercifolia)は、西オーストラリア南西部に自生する固有植物で、現在はバンクシア属に再分類され「Banksia quercifolia」とも呼ばれています。
オークの葉に似たギザギザした葉が特徴で、「quercifolia(オークの葉のような)」という名前の由来にもなっています。
乾燥した砂地や低木林に生育し、黄色〜オレンジ色の花を咲かせます。花には蜜が豊富に含まれており、ミツスイ類や昆虫たちの重要な食料源になっています。
バンクシア



バンクシア(Banksia)は、オーストラリアを代表する植物グループのひとつで、特に西オーストラリア南西部に多くの固有種が生息しています。
フィッツジェラルド・リバー国立公園でも数多くの種類を見ることができます。
特徴は、ブラシ状や円柱状のユニークな花。花には大量の蜜が含まれており、ミツスイ類、昆虫、小型哺乳類など多くの生き物たちの重要な食料源になっています。
乾燥や山火事に適応した進化でも知られ、硬い実を火災後に開いて種を放出する種類もあります。オーストラリアの過酷な自然環境の中で独自に進化した、非常に象徴的な植物です。
カロサムナス・ヴァリダス

カロサムナス・ヴァリダス(calothamnus validus)は、西オーストラリア南西部に自生するフトモモ科の低木植物で、オーストラリア固有種です。
細長い針葉状の葉と、ブラシのように密集して咲く鮮やかな赤い花が特徴で、ワイルドフラワーシーズンには強い存在感を放ちます。
乾燥した砂地やブッシュ地帯に適応しており、フィッツジェラルド・リバー国立公園周辺の厳しい自然環境でもたくましく生育します。
カリトリックス・デカンドラ

カリトリックス・デカンドラ(Calytrix decandra)は、西オーストラリア南西部に自生するフトモモ科の低木植物で、オーストラリア固有種です。
星形に広がる繊細な花が特徴で、ピンクから紫色の花を咲かせる姿は、ワイルドフラワーシーズンのブッシュを華やかに彩ります。
昼ごはんは山盛りのうどん
大満足のハイキングを終えた後は、スーパーで買い出しとガソリンの給油を済ませてから宿に戻りました。

宿に戻ったらすぐにお昼の準備です。朝からココアとビスケット程度しか食べてなかったので、お腹はペコペコ。すぐに作れるうどんにすることに!

つゆは4人前、麺は3人前というボリューム満点の一杯に、かつお節・天かす・わかめ・ネギをたっぷりと。温かいうどんが、疲れた体に染み渡ります。


食べ終わって部屋でぬくぬく過ごしていたら、強烈な睡魔が…。とりあえず30分のつもりで横になった昼寝が、これまた最高でした。
朝からアクティブに登って、あったかい麺をお腹いっぱい食べて、ふかふかのベッドに沈む!最高の午後です。
大雨に阻まれた、午後のハイキング
昼寝でスッキリした後は、もう一カ所のビューポイントへ向かうべく、再び国立公園へ。
午後も絶景取りに行くぞ!と意気揚々と車を走らせていたのですが、ここで急展開が待っていました…!大雨が降ってきたんです。宿を出る時は青空だったのに、空がみるみる黒くなって突然の土砂降り。

台風並みの雨が窓を打ち付け、前がほとんど見えない状態です。それでも諦めず、ハイキングコースの入口まで車を走らせて雨が止むのを待つことにしました。
この判断が正解!案の定、しばらくして雨が止んでくれたのでハイキングを開始しました。

片道1時間かからないくらいの軽めのコース。
晴れていたらきっと綺麗に見えるだろうに、少しどんよりした景色です。

無事歩き切りゴールに到着!ただ、ここからまた試練が…ゴールについた瞬間に再び雨が降ってきました。ここからの帰り道が大変。


地面は抜かるむし、体はびしょびしょ。頭に上着をかぶって急いで車まで戻りました。
ちなみに…やなぎーはフードがあったからまだマシでしたが、きじーはフードなしだったのでびしょ濡れ。シャワーを浴びたようでした。
晴れてたらきっと夕日も綺麗なんだろうけど、雨雲レーダーを見ると夜まで雨が続く予報だったので、潔く宿へ引き返すことに…悔しいけど自然には勝てない!!
夕食は、鯛の煮付けに挑戦
宿に戻り、きじーはお風呂に直行、その間にやなぎーは夕食の下準備です。
泡風呂でスペシャルバスタイム
今回の宿は湯船があったので、きじーはラベンダーの泡風呂でスペシャルバスタイムにすることにしました。湯船の1/3にお湯が入ったところで泡の元を入れ、さらにお湯を注ぐ。最後に、ラベンダーの入浴剤を入れると紫色のふわふわ泡風呂のできあがり◎

旅先の小さなぜいたくです。久しぶりの湯船で、ちゃんとリラックスできて生き返りました…。
夕食の準備
きじーがお風呂に入ってる間に、やなぎーは黙々と準備を進めていきます。
お米を水に浸して、ほうれん草の胡麻和えに使う胡麻をグラスでゴリゴリすりつぶす。なぜか旅先って、この作業が楽しいんです。日本でやったら面倒に思う工程も、異国だと全部イベントになるんだから、なんだか不思議。
メイン「鯛の煮付け」を作る
そしてメインは鯛の煮付け。正直、オーストラリアで煮付けを作る日が来るなんて、出発前は想像もしていませんでした。
日本のスーパーだと、魚が新鮮で種類も豊富で、しかも下処理もしてくれるところが多いけど、海外では包丁も手に馴染まないし、鱗取りも内臓処理も全部自力。でも、それが面白い。無心で作業してると、旅の疲れがどこかに消えていくんです。

それに、海外の地での魚選びは簡単じゃない。日本では見慣れない魚ばかりが並ぶ中、「これは煮魚にできる?」とチャットGPTに片っ端から聞いて候補を絞っていきました。これは「いわゆる鯛だよ」って返ってきた時の、”きたー!!”感は忘れられない笑
日本の家庭の夜ごはん、完成!いただきます
この日のメニューは、鯛の煮付け、おかかポテト、ほうれん草の胡麻和え、お味噌汁、白米。
完全に日本の家庭の夜ごはんです。


旅中はあまり食べていなかった生姜の旨さが刺さる刺さる。炊き立ての白米に煮付けをバウンドさせて一緒に口へ運ぶ瞬間、天国みたいに温かい気持ちになりました。

ほうれん草も甘くてシャキシャキで、箸休めにちょうど良い。
午後の大雨で不完全燃焼だったのに、夜ごはんで全部ひっくり返った感じでした。むしろあの雨があったから、このメニューがさらに沁みたんだと思います。ごちそうさまでした!!
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