カイロの名所を巡る
エジプト旅2日目。カイロ国際空港に到着後、さっそく街へ繰り出しました。
この記事では、歴史と文化が色濃く残るカイロの名所巡りの様子をお届けします!
荘厳な「ムハンマド・アリー・モスク」、エジプト最古のモスク「アムル・モスク」、貴重な秘宝が並ぶ「考古学博物館」、そして活気あふれる「ハーン・ハリーリ市場」へ。
カイロ国際空港に到着

14時間半のフライトを経てカイロ国際空港に到着!空はどんより曇っているけれど、これからの旅に期待が高まります。フライトの様子は以下の記事でまとめていますので、興味のある方はぜひご覧ください。
預けていた荷物を受け取り、空港の外へ。

建物の外には大勢の人が集まっていました。どうやらお迎えで来た人たちは建物内に入ることができず、外で待つルールになっているようです。

私たちはホテルに送迎をお願いしていたため、運転手が迎えに来てくれていました!運転手はホテルのスタッフではなく、ホテルが手配したドライバーで寡黙な方でした。

車に乗り込み、いざカイロの街へ!!街中までは信号ひとつない高速道路のような道をしばらく走りました。驚きだったのが車線なんてあってないようなものという感じで、白線を無視して自由に運転している車の多いこと。海外に来たことを実感します。

ムハンマド・アリー・モスク
ここからは、カイロの街で訪れたスポットを紹介していきます!まずはじめに「ムハンマド・アリー・モスク」。私たちはこの日、二ヶ所のモスクを訪れましたが、そのうちの一つです。

このモスクはエジプト最後の王朝を興した「ムハンマド・アリ」によって、1830年から27年の歳月をかけて建設されました。彼は19世紀のエジプトを統治した人物で、カリスマ性と実力を兼ね備えた傑出したリーダー。当時のエジプトはオスマン帝国の一部という立場でしたが、彼がエジプトを独立国へと導きました。
※オスマン帝国は1299年から1922年まで存在した帝国で、地中海を中心に領地を拡大し、最盛期にはアジア・ヨーロッパ・アフリカの三大陸に跨って支配していました。まさに歴史上の巨大帝国です。

ムハンマド・アリー・モスクは、カイロの街を見渡せる高い丘の上に建てられた「シタデル」の中にあります。シタデルは十字軍の侵攻に備えて作られた城塞で、高さ10メートル、厚さ3メートルの城壁で囲まれています。防御用の円形の塔や長期の籠城に備えた巨大な井戸なども作られており、遠くから見ても立派な建物であることがわかります。

また、円柱の建物が立ち並ぶ様子は、まるでジブリの「天空の城ラピュタ」みたいです。パズーがムスカに円柱の塔に閉じ込められたシーンを覚えていますか?パズーがよじ登って逃げようとするあの塔に、雰囲気が似ている!

シタデルの入口からモスクまでは歩いて5分ほど。完全に観光地化されているので迷うことはありません。

お目当てのムハンマド・アリー・モスクに到着。内側は土足厳禁のため、靴カバーをつけて入る必要があります。入り口前に靴カバーを1ドルで売っている人がいるのでその人から買ってもいいですが、ただの青い薄いビニール袋です。それを靴の上に履くだけです。靴カバーをしないと入れないかと思って買いましたが、靴下のまま入っている人がいたので買わなくても大丈夫です!
床は少しほこりっぽいけど、気にならないんじゃないかな。

暗がりのモスクに入り真っ先に目に飛び込んできたのが、大きなシャンデリアと、それを取り巻くたくさんのランプ。


ものすごく幻想的な光景です。

床に反射するシャンデリアやランプの光もまた美しく、まるで宝石箱の中にいるような気分になりました。

ムハンマド・アリー・モスクは中庭も素晴らしい見どころの一つ。大理石のような白い壁面や柱に美しく細かな装飾が施されており、その精巧さに思わず見とれてしまいます。

このモスクの内壁にはアラバスターという鉱物が多く使われていることから、別名「アラバスターモスク」とも呼ばれているのだそう。アラバスターという名前は、ギリシャ語で白を意味する「アルバス」からきており、大理石よりも柔らかく加工がしやすいことから彫刻作品によく使われます。
シタデルからは、カイロの街並みも一望できます。

遠くの方は、白くモヤがかかっていてシルエットしか見えませんでした。これも大気汚染の影響なのでしょうか…。

アムル・モスク
続いてご紹介するのが「アムル・モスク」。ここは642年に建造されたアフリカ大陸最古のモスク!

641年にエジプトを征服したアラブ軍総司令官「アムル・イブン・アル=アース」の名前を冠したこのモスクは、まさにアフリカ大陸にイスラム教が伝来した歴史的な場所。アフリカのイスラム教はここから始まったのか、と考えるととても考え深いです。
イスラム教について学んだ私たちにとって、今回のエジプト旅で必ず訪れたかったところです。事前に調べた口コミでは「派手さはないけれど、とても落ち着くモスク」と書かれていて、どんな場所なんだろうとワクワクしていました。

実際、口コミ通りの落ち着いた雰囲気でした。ここは地元の人も普通に通っているモスクで、観光地とは違い心が安らぎます。

これまでの旅でもいくつかモスクを訪れましたが、どれも観光客が多い場所だったため初めて感じる心地よさでした。風通しも良くて、初めて来る場所なのになんだか懐かしさも覚える不思議なところ。

そして、ここで初めてコーランに触ってみました。

木製の本棚に、辞書ほどの分厚さのコーランがたくさん並んでいます。

まるでハリーポッターに出てきそうな雰囲気の本。

アラビア語なので何が書かれているかはわかりませんが…実際に手に取り、中身をみることもできました。初めて触れるコーランに少し興奮。これがコーランなんだと。

中庭のベンチからは、地元の子どもたちが輪になって座っているのが見えました。男女に分かれてそれぞれ一つずつ輪を作り、コーランを勉強しています。よそ見をしながら勉強する子もいて、何気ない日常を垣間見ることができました。
再びモスク内を散歩していたら、急に中学生くらいの女の子3人組に「写真を撮りたい」と声をかけられました。理由はわからないけれど女の子たちはとても喜んでいて、まるで芸能人になった気分です。

日本語も少し知っていたので、もしかしたら日本に憧れがあったのかもしれません。
エジプト考古学博物館

続いて、目玉のエジプト考古学博物館へ!カイロ観光では絶対に外せないスポットです。
だって、あのツタンカーメンの黄金のマスクが展示されているんですから!!(ただし現在は、ギザのピラミッド近くに開館した大エジプト博物館に移されていますので、こちらでは展示されていません)
博物館の詳しいレポートは長くなるので別の記事でまとめる予定です。

ツタンカーメンの黄金マスクはとにかく混むと口コミにありましたが、実際は思ったよりも混んでおらず、比較的スムーズに見ることができました。私たちは11時頃に訪れましたが、東京の美術館より混んでいない印象です。人だかりができても、5分待てば緩和されるような状態でした。人だかりができていないタイミングを狙えば、じっくりと見学できると思います◎
ハーンハリーリ市場
考古学博物館を楽しんだ後は、一旦ホテルに戻ってから、タクシーで夜の「ハーンハリーリ市場」へ。

この移動のタイミングで、まさかまさか、嵐のような雨が降ってきました。エジプトの年間降水量は20〜30ミリメートルと言われているため、大雨が降ったことにも驚きましたが(近年は異常気象なのか突発的な雨や集中豪雨が降るらしいです)、何よりもびっくりしたのが茶色の雨が降ってきたことです!!

上着には雨が乾いた後、茶色いシミが残っていました。まるで原爆が落ちた後の「黒い雨」を思わせるような、なんとも不気味な雨でした。
ちなみに、カイロの街中は日本の数倍混雑しており、南米ラパスを彷彿とさせる渋滞ぶり。
ドライバー同士が怒鳴り合っている光景もしばしば見かけます。私たちのタクシードライバーもなかなかに荒ぶっていました…。どうやら、ラマダン中で空腹によるイライラと、普段は降らない雨の影響で気が立っていたようです。
そんなこんなで、ハーンハリーリ市場に到着。石畳の路地と歴史的な建物に心が躍ります。
ハーンハリーリ市場は、14世紀から続く歴史ある巨大な市場。2000以上ものお店が軒を連ね、スカーフに民族衣装、香水瓶、置物、象嵌細工など、ありとあらゆるアイテムが所狭しと並んでいます。

中でも、ランタンのお店では幻想的な光景が広がっています。

エジプトらしいアラビアンランプだけでなく、ヨーロピアン風やインド風のものまで、様々なデザインや形状のランタンが勢揃い。

ターコイズブルーの花瓶や、箱型の置き物もとっても綺麗でした。

夜ごはんはエジプトグルメを!
ざっと雑貨エリアを楽しんだ後は、楽しみにしていた食事タイムです。時間は18時ごろ。
飲食街をぶらぶら散策していたら、地元の人たちで急に賑わい始めました。お店の行列に並ぶ人や、大きなバットに載せた料理を運んでいる人。


どうやら私たちが訪れたのは、ちょうどラマダンの食事が解禁される時間だったようです。ラマダンは、日の出から日没までの飲食・喫煙・性的行為が禁じられるイスラム教の行事のことで、日没後に最初に口にする食事は「ラマダン・ブレックファスト」と呼ばれます。
そりゃ活気に溢れているわけですよね…だって12時間ぶりの食事なんですから。
中には、興奮しすぎた男性ふたりがポカポカ殴り合おうとしている場面もありました。ただ、どちらも周囲に止められていて全部空振りに終わっていました…あんな漫画みたいなシーンを見れるとは…。
スープ&サンドイッチ
そんな光景を横目に、とりあえず地元の人で行列ができているお店に並ぼうとしていたのですが、たまたま目の前を通りがかった女性が持っていたスープが気になったので「そのスープはどで売っていますか?」と尋ねてみました。するとびっくり!!なんとその女性が、持っていたスープをプレゼントしてくれました。

その後も、美味しそうなサンドイッチを食べている地元のおじさんに「それはどこで売っているの?」と聞くと、「俺がご馳走してやる」と言って私たちを路地裏に連れて行ってくれました。

いただいたのは、平焼きのパン「アエーシ」の中にお米やお肉を挟んだサンドイッチ。さすがにご馳走になるのは申し訳ないからとお金を払おうとしたのですが、受け取ってくれませんでした。なんでこんなにも親切にしてくれるんだろう…??
おそらく、イスラムの「困っている人に手を差し伸べよう」という教えに加えて、ラマダン中であることも影響しているのかと思います。ラマダン期間中は良い行いが推奨されており、人に食べ物を分け与えるといった善良な行いは普段以上に評価されるのだそう。もちろんそれだけでなく、純粋な親切心からくるものだとも思いますが。いずれにせよ、エジプトの人々の温かさに触れた出来事でした。
ケバブ
スープとサンドイッチを食べた後もお腹が空いていたので、ケバブ屋さんへ行きました。
このお店では、先ほども食べた平焼きパン「アエーシ」に、お肉がたっぷり乗ったプレート、サラダ、そしてエジプト名物のゴマペースト「タヒーナ」が出てきました。

アエーシにお肉やサラダを自由に挟んでいただきます。

お肉にはいくつか種類があり、エジプト名物の「コフタ」もありました。コフタは、肉をミンチにして揚げたもので、東南アジアやインドでもよく食べられる料理です。アエーシに対して肉の量が圧倒的に多く、食べ応えは十分。

コシャリ
もうお腹はいっぱいだけどせっかくだからと、エジプトのソウルフード「コシャリ」を提供しているお店にも入ってみることに。ラマダン中には、ほとんどのお店でコシャリを作らないようなので実際に訪れる方は注意です!(今回は、たまたまケバブ屋の隣のお店が提供していました)
コシャリは、ご飯と短いパスタを混ぜたものの上にトマトソースをかけ、さらにフライドオニオンを乗せた料理。日本でいうとラーメンくらい人気な食べ物なんだとか。ビビンバのように混ぜていただきます。

ツルツルのパスタに、もっちりしたお米、サクサクのフライドオニオンと口の中でいろんな食感が楽しめるのがこの料理の面白いところ。味はお子さま向けで食べやすい、ザ・B級グルメという感じでした。
今夜の宿

今日の宿は、考古学博物館の近くにあるそこそこ良いホテルです。

しかし、(海外ドラマで見たことがある方もいるかもしれませんが)エレベータはまさかの内扉がない仕様。つまり、移動する箱の方に扉が付いていないのです。
エレベーターに乗る時は、外扉を手前に引いて箱の中に入り、また手動で扉を閉めます。エレベーターのサイズ感としてはトイレの個室くらい。指定の階についたら、“開ボタン”を押したまま再び外扉を奥に押して開け、エレベーターから降ります。そんな仕様なので、降りている最中にエレベーターが動き出したらうっかり挟まってしまう可能性もあります。めちゃめちゃ怖い…。
気になる方は「エジプト エレベーター 扉なし」といったキーワードでググってみてください…!!
_________________________
ポッドキャストでは、当時のリアルな様子を3回に分けてお届けしています。よかったらこちらチェックしてみてください。