昼間のルクソール神殿を訪れた!基本情報や感想をお届け

昼間のルクソール神殿を訪れた!基本情報や感想をお届け

カルナック神殿の付属神殿として知られるルクソール神殿は、古代の王たちの正当性を確立・再確認するための役割を果たした特別な場所。夜のライトアップが美しいこの神殿を、今回は昼間の明るい時間に見学してきました!!

ルクソール神殿とは?

ルクソール神殿は、前回の記事でご紹介した「カルナック神殿」の付属神殿として知られています。
神殿の大部分は新王国時代(紀元前1550年〜紀元前1069年)のファラオ、アメンホテプ3世によって建てられ、その後ツタンカーメン、ラムセス2世、アレキサンダー大王などが改修や増築を行いました。中王国時代(紀元前2055年〜紀元前1795年)にもこの地に小さな聖域があったと考えられていますが、現在見られる遺跡は新王国期のものです。

新王国期以降も時代とともに姿を変え、コプト時代には教会として、イスラーム時代にはモスクとして使われるなど3000年以上にわたって宗教施設として受け継がれてきました。現在では、夜のライトアップが有名なルクソールの人気観光スポットになっています。

カルナック神殿についてはこちらの記事をご覧ください↓

王権の再生を祝う場所

ルクソール神殿はしばしば「王のための神殿」とも呼ばれます。カルナック神殿と同じく主神はアメン・ラーですが、ルクソール神殿はより儀礼的な性格を持ち、王が神と再び結ばれる“再生の場”として特別な意味を持っていました。

それを象徴するのが、古代テーベ最大の祭礼「オペト祭」。毎年この祭りの際には、カルナック神殿からアメン神・ムト神・コンス神を乗せた神輿(太陽の舟)が、スフィンクス参道を通ってルクソール神殿へと運ばれました。

スフィンクスの参道

この儀式によって、王はアメン神の加護を新たに受け、その権威と力が新たに強められると信じられていたのです。つまり、ルクソール神殿は王権の再生と神との結びつきを象徴する古代テーベの神聖な舞台のひとつでした。

カルナック神殿よりもコンパクトでシンプル

ルクソール神殿の特徴は、カルナック神殿とは対照的にその構成がシンプルで統一性が高いことです。
敷地面積はカルナックに比べてかなりコンパクトですが、そのぶん全体のバランスがよく、建物同士の調和が取れています。

古代エジプトの建築をじっくり味わいたい人には、むしろルクソール神殿の方がおすすめ。広すぎず歩きやすい構成なので、ゆっくりと列柱やレリーフを観察できると思います◎

営業時間と入場料

2025年10月時点の営業時間と入場料金は以下の通りです。夜のライトアップが特に人気で、光に照らされた列柱廊はまさに幻想的な雰囲気。ただし夜は人が多いようなので、じっくり観たいなら昼間の訪問がおすすめです!

営業時間:午前6:00〜午後8:00(年中無休)
入場料金:大人500エジプトポンド、学生250エジプトポンド

実際に訪れる際は、以下のエジプト観光・考古省のWebサイトから最新情報をご確認ください↓
https://egymonuments.gov.eg/en/monuments/luxor-temple

昼間のルクソール神殿を見学

ルクソール神殿の入り口

夜のライトアップが人気のルクソール神殿ですが、今回わたしたちは昼間に訪れました!まずはカルナック神殿とつながるスフィンクスの参道を抜けて神殿内へ!

神殿の平面図はこんな感じです↓

画像の下側がスフィンクスの参道にあたるので、第一塔門→ラムセス2世の中庭→アメンホテプ3世の大列柱廊・中庭…という感じで進んでいきます。

スフィンクスの参道

カルナック神殿で見たスフィンクスは羊の頭をしていましたが、ルクソール神殿へと続く参道では、ファラオの頭をしたスフィンクスが並んでいました。

ファラオの頭をしたスフィンクスが並ぶ

参道には太陽の船のレプリカもありました!!先ほど触れたオペト祭では、この太陽の船をかたどった神輿にアメン神・ムト神・コンス神の像を乗せ、カルナック神殿からルクソール神殿まで運んだといわれています。

太陽の船のレプリカ
太陽の船のレプリカ(神輿アップ)

その荘厳な行列を思い浮かべると、まるで古代エジプトの時代へとタイムスリップしたような気分になります!!

第一塔門

第一塔門

入口となる第一塔門にそびえ立つのは、ラムセス2世の巨像とオベリスク。オベリスクはかつては対になって2本が建っていましたが、そのうちの1本は19世紀にムハンマド・アリによって友好のためパリに贈られました。現在は、パリのコンコルド広場のシンボルになっています。

コンコルド広場に立つオベリスク

また、高さ約24m、幅が約65mに及ぶ塔門には、「カデシュの戦い」のレリーフが刻まれています。カデシュの戦いは、ラムセス2世の軍とヒッタイト軍との間でシリアの領有権を巡って行われた戦いのことです。

ラムセス2世の中庭

第一塔門を抜けると、ラムセス2世の中庭が広がります。

第一塔門を通過し、中庭へ
ラムセス2世の中庭

ラムセス2世は、「偉大な王」と呼ばれた新王国時代を代表するファラオ。約67年という長い治世の中で、ヒッタイトとの戦いに勝利して領土を拡大し、数多くの壮大な建造物を残しました。

ここルクソール神殿でも、至るところでラムセス2世の立像や坐像が見られます。

ラムセス2世の立像

この中庭には、イスラーム時代に建てられたアル=ハッジャージモスクもあります。

左手の建物がアル=ハッジャージモスク

▽イコノクラズム(偶像破壊)の痕跡

ルクソール神殿を見学していて気づくことの一つが、多くのレリーフ、特に顔の部分が削り取られているということです。これは、後の時代にキリスト教徒が異教の遺跡を破壊した「偶像破壊」の結果だと考えられています。

顔が削られたレリーフ

アメンホテプ3世の大列柱廊と中庭

ラムセス2世の中庭を抜けてさらに奥に進むと、アメンホテプ3世が建造した大列柱廊が見えてきます!

第二塔門前の像。奥には大列柱廊が広がる

長さ52m、幅20mの大列柱廊に、高さ約19mの開花式パピルス柱14本が並びます。その壁面には神輿を担ぐ神官たちや太鼓を叩く男、軍の行進などオペト祭の様子が描かれていました。

石柱の間には王や神々の石像も。

ツタンカーメンと王妃アンケセナーメンの坐像
王の座像とアメンとムトの小座像

大列柱廊を進むと、アメンホテプ3世がつくった中庭に出ました。

アメンホテプ3世の中庭

中庭のサイドにも見事な大列柱廊が並んでいました!!脇にあるので人も少なく、歩いているだけで壮大な気持ちになりました!

閉花式パピルス柱が並ぶ

聖船祠堂、アレキサンダー大王の間、至聖所…etc

アメンホテプ3世の中庭の奥には、神殿の心臓部とも言える神聖なエリアが広がり、それぞれ小さな空間のなかに聖船祠堂、アレキサンダー大王の間、誕生の間、至聖所などが配置されています。
私たちは時間の関係で奥の部屋までじっくりと見ることができませんでしたが、時間に余裕のある方はぜひ一つ一つの空間をゆっくりと観察してみてください◎

じっくり観察するなら昼間がおすすめ!

ルクソール神殿は、カルナック神殿と比べるとコンパクトながらも、古代エジプト建築の美しさと調和が凝縮された神殿です。そして、「王のための神殿」としてファラオの権威と神聖性を示す舞台となってきました。

夜のライトアップも美しいようですが、昼間であればレリーフを細部までじっくりと観察でき、3000年以上前の芸術と歴史を肌で感じることができると思います◎

この記事に関連するポッドキャストはこちらから↓

前の記事へ
古代エジプト最大の聖地へ。カルナック神殿で2000年の痕跡を辿る
2025.10.14
エジプト旅行記
古代エジプト最大の聖地へ。カルナック神殿で2000年の痕跡を辿る
次の記事へ
エドフの街に佇むホルス神殿へ!可愛いホルス像に大興奮
2025.10.21
エジプト旅行記
エドフの街に佇むホルス神殿へ!可愛いホルス像に大興奮
こちらの記事も人気です