ピンク色に染まった空は、まるで魔法のような美しさ。
南米旅では、幻想的なピンクの空に何度も出会いました。そして気づいたのが、ピンクの空はいつも太陽と反対の方向に広がっているということでした。つまり、太陽が昇るときには西の空がピンクに染まり、太陽が沈むときに東の空がピンクに染まる。
今回は、この不思議なピンクの空の正体について学びます!
空の色が変化する理由
太陽と「光の三原色」
ピンクの空の謎に入る前に、なぜ空の色が変わるのかを確認しておきましょう!
空の色は、太陽の光と密接に関係しています。
太陽の光といえば、皆さんは何色を思い浮かべますか?
多くの人が黄色やオレンジ色をイメージするかもしれませんが、実際は鮮やかな白色です。
太陽は「加法混色」という現象によって、無数の色が混ざり合い白色の光を放ちます。加法混色とは、光の三原色である赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)を混ぜることで明度が増し、白色の光に見える現象のことです。
太陽の光が散乱することで空の色が変化する
さて太陽の光は白色と述べましたが、時間や状況によって異なる色に見えるのも事実です。
これは、光がもつ波長の性質が影響しています。
光の波長を示した以下の図をご覧ください。
光の三原色「RGB」の波長がそれぞれ異なっていることが分かりますね。
太陽の光は、地球の大気中に存在する微粒子に当たりながら私たちの目に届きます。このとき、波長が短い光ほど多くの微粒子に当たり、空気中により広く分散されます。
昼間は太陽との距離が近いため、太陽は白っぽく(もともとの太陽の色に近い)見えます。その一方で、波長の短い青色の光はすでに大気中に多く散乱しているため、空は青く見えるのです。
夕方や朝方に太陽や空が赤っぽく見えるのは、太陽との距離が長くなり、波長の長い赤色の光がより多く私たちの目に届くからです。
これらを表にまとめると以下のようになります。
海外で見たピンクの空たち
これまで海外の旅先で色鮮やかなピンク空をたくさん見てきました。印象的だったピンク空をご紹介します。
1番思い出に残っているのは、ボリビアとチリの国境で見たピンクの空です。
こんなにも濃いピンクの空を見たのは初めてでした。
ウユニ塩湖は新潟がすっぽり収まってしまうほどの巨大な湖なので、何も遮るものがなく全天を見渡すことができます。目の前いっぱいに広がる塩湖と空がどこまでも続く。
チリのアタカマ砂漠でもピンク色の空を見ました。
雲があるとピンク色が濃くなる(※)から美しいという説もあれば、雲がない方がより鮮明で美しいという説もあるのですが、どちらもめちゃめちゃ綺麗なのには変わりありません!
※雲があると、ピンク色や赤色がより濃くでる性質があります。これは、雲の中で光が散乱し、私たちの目に届くまでの距離が、雲がない時よりも長くなるからです!距離が長くなることで、赤い光がより強調されるようになります。
太陽と反対側に広がるピンク空の正体
ピンク空の正体は「ビーナスベルト」と呼ばれる大気現象です。
ビーナスベルトとは、日の出なら太陽が現れる前、日の入りなら太陽が沈んだ後の10〜20分の間に見える現象のことを指しています。朝焼けや夕焼けの赤い光が反対側の空まで届き、青い空と混ざり合うことでビーナスベルト(ピンクの空)が現れます。
ビーナスベルトの状況を表したのが以下の図。
上の図を見ると、実はビーナスベルトの下には「地球影」とありますよね。地球が地平線よりも下にいる太陽の光を浴び、地平線より上に影ができるのです。
驚くことに肉眼でその地球影は確認できます。下記の写真を見てください!
ピンクの帯の下には濃い青色がありますよね?これは青空ではなく、実は地球の影なんです!!!地球にいながら地球の影が見られるなんて・・・!驚きの事実。
ピンクの空が出ているときは、ピンク帯の下に地球影が出ているはずなので、地平線付近の色も要チェック!
ビーナスベルトと同じ時間に現れる「ブルーアワー」って?
ブルーアワーとは、空が深い青色になる現象で、空気中に散乱しやすい青い光だけが空に残ることで起こります。一般的に、日の出前もしくは日の入り後の5〜10分の間に見ることができます!
ピンクの空を見るなら、冬が狙い目!
今回はピンクの空の正体について、空の色が変化する理由とともにお届けしました!
冬や乾燥している地域なら、ピンクの空がよく見えるそうです。
朝焼けや夕焼けのタイミングって、ついつい太陽の方向を見てしまいがちですが、反対側の空も見てみるのはいかがでしょうか!今まで気づかなかった景色が見えるかも!?
ポッドキャストでも、このテーマについて楽しく語っているのでよかったら聞いてください◎