マダガスカルで会いたい!個性豊かなキツネザルの種類

マダガスカルで会いたい!個性豊かなキツネザルの種類

マダガスカルに生息する多種多様なキツネザル。
実は地球上には100種類以上ものキツネザルが存在していると言われています。
今回は、その中からマダガスカルに行ったら会いたい有名な6種のキツネザルをご紹介します!

ワオキツネザル

ワオキツネザル

まずは、キツネザルといえばこの子!「ワオキツネザル」から見ていきましょう。
日本国内の多くの動物園で飼育されているので、皆さんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか!?

特徴①:長いしっぽ

しっぽが長い

ワオキツネザルの1番の特徴は、白黒のしま模様からなる長いしっぽ!
体長は約45cmと小柄ながらしっぽの長さは60cmにも達します。しっぽに輪があることから「輪尾(=ワオ)キツネザル」と名付けられました。英名も同じ意味をもつ「Ring-tailed lemur」になります。

一般的にキツネザルはほとんどの時間を樹上で過ごしますが、ワオキツネザルは地上での生活も得意という点が他のキツネザルと違う点です。そのためワオキツネザルは地上を歩く様子も見られます。地上を歩く時は、長いしっぽをピンと立てて四つ足で軽やかに移動します。

通常5〜20頭ほどの群れで生活するワオキツネザルは、食べ物を探して1日に6kmを歩き回ることがありますが、その際はしっぽを高く上げお互いの存在を確認しながら進みます。

この長いしっぽは、猫と同じようにバランスを取る役割はありますが物を掴むことはできません。

特徴②:日光浴をして体温を高める

日光浴中のワオキツネザル

ワオキツネザルの日課といえば独特なポージングの日光浴!!体を太陽に向けるだけでなく、まるで人間のように座って全身に日光が当たるようなポーズをします。おもしろい姿勢ですよね。

彼らは、体温調節機能があまり発達していないため、体を温めてからでないと活発に動き回ることができません。そこで、毎朝欠かさず日光浴をして体温を上げることが、ワオキツネザルにとって大切な習慣!

日光浴をしている間、ワオキツネザルはさまざまな声や表情を使って仲間同士でコミュニケーションを取るようです。人間のサウナコミュニケーションみたいな感じかしら。

特徴③:メスが強い

多くのサルはオスのほうが大きく強いのが一般的ですが、ワオキツネザルは違います。

オスとメスで体格差はなく、優位なのはメス。オスはいつもメスに食べ物や居場所を譲ってばかり。レディーファースト…といえば聞こえはいいですが、オスは群れの中でただ地位が低いだけなのです。

群れを仕切るのもメス。成熟したメスたちは序列を競って、鋭い爪と長く尖った犬歯を武器に、激しい戦いを繰り広げます。その姿はまるでカンフーの達人みたい。
戦いに勝ったメスは、群れの「ナンバー1」として食べ物を優先的に食べる権利、交際相手を選ぶ権利を手に入れます。

鋭い目のワオキツネザル

ちなみに、オスの優劣は「匂いの強さ」で決まると言われています。

オスの手首には特別な分泌腺があり、そこから刺激的な匂いの液体を出すことができます。そして、その液体をしっぽに擦り付け、しっぽを大きく振りながらライバルに匂いを送る。これがオスの「悪臭合戦」です。

最も強烈な匂いを放ったオスが勝者となり、ナンバー1のメスと最初に交尾をする権利を得ることもできるんだとか。

マダガスカルでワオキツネザルに会える場所

野生のワオキツネザルには、マダガスカル南東部の「ベレンティー保護区」や、南西部に位置する「マダガスカルのグランドキャニオン」と名高い「イサロ国立公園」で会うことができます。

ちなみに、ワオキツネザルは「絶滅危惧IB類(EN)」に指定されています。これは「近い将来、野生種の絶滅が生じる危険性がとても高い」ということ。日本の動物園でも見ることはできますが、やっぱり本場のマダガスカルで野生のワオキツネザルに会いたい!

インドリ

インドリ

鳥の一種のような名前をしていますが、インドリはれっきとしたキツネザルの仲間!インドリは、原住民の言葉で「ほら見て(indri)」を意味します。

ミッキーマウスのような耳と、白黒の毛並みが特徴です。

特徴①:最も大きいキツネザル

現存するキツネザルの中で最も大きい体をもつインドリ。
体長は60〜70cm、体重はわずか7kgしかありません。また、体の大きさに対してしっぽの長さはたったの5cmほどで、ワオキツネザルとは全く異なる見た目をしています。

特徴②:楽器のような美しい歌声

インドリは、歌を歌うような美しい鳴き声の持ち主でもあります。
その声は金管楽器と木管楽器の間のような響きで、家族を探したり、縄張りを主張したり、喧嘩をしたりと、仲間とコミュニケーションをとるために鳴きます。

実際の鳴き声はこちらから!↓

いかがでしたか?

実はこの鳴き声、ただ無闇に声をあげているのではなく、きちんとリズムを刻んでいることがインドリの研究者によって明らかにされています。
それまで、リズムを使って歌うのは人間と鳥類だけと考えられてきましたが、この発表によって、インドリが人間以外の哺乳類で唯一リズム感を持っていることが分かったのです。

2匹でデュエットしたり、3匹以上で合唱することもあるそう…数少ない”歌う”霊長類です。

マダガスカルでインドリに会える場所

野生のインドリには、首都アンタナナリボから車で東へ3時間ほど行った場所にある「ペリネ保護区」で会うことができます。

インドリは「絶滅危惧IA類(CR)」に指定されており、これは「今すぐにも野生種の絶滅が生じる危険性が極めて高い」ことを意味します。つまり、出会える確率も低いということ…今回のマダガスカル旅で会えることを期待します!

ベローシファカ

横っ飛びするベローシファカ

ベローシファカといえば、地上を横っとびで移動する姿が印象的。
シファカは前足に比べて後ろ足が長く発達しているため、四足歩行ではバランスが取れず上手に歩くことができません。

そんなハンデから生まれたのが、この横っ飛び!直立したまま後ろ足で力強くジャンプし、腕を左右に広げながらバランスを取って進みます。

最大10mも跳躍することができるシファカにとって、これが最も効率の良い移動方法なのです。 ちなみに、 霊長類でこのような動きをするのはベローシファカだけです。

木登りが得意

ほとんどの時間を木の上で過ごすシファカにとって地上は危険な場所。そのため、どうしても地上を移動しなきゃいけない時だけこの横っ飛びを披露します。

ベローシファカに会える場所

野生のベローシファカには、「キリンディ森林保護区」や「イサロ国立公園」、「ベレンティー保護区」で会うことができます。

ベローシファカもインドリと同じく、「絶滅危惧IA類(CR)」に指定されており、「今すぐにも野生種の絶滅が生じる危険性が極めて高い」動物です。
シファカに会えるだけでも嬉しいですが、ぜひ横っ飛びする姿も見れたらいいな。

プチ豆知識

ベローシファカの数が減少している理由の一つとして、「フォッサ」の存在があります。フォッサはマダガスカルに生息する最大の肉食動物で、マングースの近縁種としても知られています。

このフォッサ、実はキツネザルが大好物!ベローシファカに関して言えば、特に新生児が狙われやすく、約30%の新生児が1歳を迎える前にフォッサに捕食されるというデータもあります。

シロクロエリマキキツネザル

シロクロエリマキキツネザル

パンダのような毛並みをもつシロクロエリマキキツネザル。耳から顎にかけて生えた房毛が、えりまきのように見えることからこの名前がつけられました。

体長は55cmとキツネザルの中では大きめの体格。しかし、シロクロエリマキキツネザルの子どもは、偶発的な転倒や怪我によって死亡する確率が非常に高く、約65%は生後3か月を迎えることができないと言われています。

木の上で過ごす

そのような背景から、シロクロエリマキキツネザルも個体数が減少しており「絶滅危惧IA類(CR)」に指定されています。

野生のシロクロエリマキキツネザルには「ペリネ保護区」で会えます。

ハイイロジェントルキツネザル

お顔がキュートなハイイロジェントルキツネザル!英名では「Bamboo lemur」と呼ばれています。その名の通り、彼らはマダガスカルの竹林で、竹の芽や葉を食べて暮らしています。

ハイイロジェントルキツネザル

ハイイロジェントルキツネザルは「ジェントルキツネザル属」の一種で、その他に竹の茎だけを主食とする「ジェントルキツネザル」や、竹の葉の付け根やタケノコを主食とする「キンイロジェントルキツネザル」がいます。

生存し続けるために竹の食べる部位を種ごとに別れていったということです。この戦略、めちゃくちゃ面白いし賢いなと思いました。

タケノコにはシアン化物が豊富に含まれていますが、なんとキンイロジェントルキツネザルは同サイズの動物が致死量とされるシアン化物量の12倍も摂取できるのだそう…驚きです!

アイアイ

アイアイ

童謡でも有名なアイアイ。
歌詞からは可愛らしい生き物を想像してしまいますが、実際の見た目はなかなか怖い。

悪魔のような手をしたアイアイ

指がめちゃくちゃ長い…!コウモリのような見た目で、サルだと言われなければサルとは思えない。

特徴的な指を持つことから、別名「ユビザル(指猿)」とも言われています。
獲物を探す時は、中指で一秒間に8回以上もの速さで木の幹をタッピングし(突き)、耳を使って音を確認しながら、木の中に潜む昆虫を見つけるようです。怖いいぃぃ。

プチ豆知識:童謡「アイアイ」制作の裏話

童謡「アイアイ」の作詞者である相田裕美さんは、可愛い動物の歌を作って欲しいと頼まれた際に、アイアイという可愛い名前の猿がいることを知り、図鑑で見た特徴をそのまま歌詞にしました。

その結果、マダガスカルでは「悪魔の使い」として気味悪がられているアイアイが、日本では明るい曲調の童謡として親しまれるようになったのです。

以下の記事では、キツネザル全体の生態を解説しています。まだご覧になっていない方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

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以上、「マダガスカルで会いたい!個性豊かなキツネザル」でした!
ポッドキャストでもこのテーマについて楽しく語っています。よかったらこちらも聞いてみてください。

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