個性派揃いのバオバブ
バオバブの最大の魅力って、どれもがユニークで唯一無二の形をしているところ。今回は、その中でも特に個性的なバオバブをピックアップしてお届けします!「アンドンビリー村」と「アンダバドアカ」で見られるバオバブ情報を詳しくまとめましたので、マダガスカル旅行を予定している方はぜひ参考にしてください!
①バオバブハウス(バオバブの洞窟)
ものすごく太い幹をもつバオバブハウス。なんと幹の中が空洞になっていてその内部に入ることができるんです!
バオバブは成長するにつれて幹の中に空洞を作ることが一般的ですが、このバオバブは幹の太さが別格です。中に入ると、その広さに驚かされます。広さはおよそ6畳、天井の高さはなんと10m以上!もはや家としても十分に機能しそうな大きさです。
幹の空洞を利用した例として、バーの経営やバス停、さらには刑務所に使われたこともあります!
内部はひんやりとしていてとても心地よく、自然のクーラーのような爽やかさ。また、ちょうど良い高さにできた穴も窓のような役割を果たしています。
幹の表面に現れるパッチワーク模様も、童話に出てくるお家のようで可愛いらしいですよね◎
②イボイボバオバブ
このバオバブも立派な幹を持っていますが、最も特徴的なのは「イボがたくさん付いている」こと。幹の周りに小さなつぶつぶが大量にできていて、少し痛々しい印象を受けます。
実はこれ、病気が原因なんです…。雨や風などの影響で樹皮が病気にかかると、このようなイボが現れることがあります。自然の力が生み出す不思議な姿ですが、こうした変化もまたバオバブの個性の一部とも言えます。
③妊婦バオバブ/太っちょバオバブ
これは「妊婦バオバブ」や「太っちょバオバブ」と呼ばれるバオバブの木。その愛称の通り、ぽこっとお腹が出たような幹が特徴です。なぜこんな形になってしまったのか…それはこのバオバブが幹に水を蓄えているからです!
バオバブの幹はスポンジのような繊維質で出来ており、水を効率よく貯蔵できます。中には、なんと10トンもの水を蓄えることができるバオバブもあるんだとか!!この仕組みのおかげで、雨がほとんど降らない乾季でも生き延びることができるんです。
このバオバブを見るまでの道のりは、正直かなり過酷でした…。
「太っちょバオバブが見たい!」とリクエストして案内された最初のバオバブは、想像していたよりも細身で、「これ、太っちょじゃなくない?」と思わず疑問に。そこで写真を見せてローカルガイドに確認してもらうと、どうやら場所を間違えていたようです。
改めて本物の「太っちょバオバブ」へ連れて行ってもらうことになったのですが、その場所がとにかく遠い…。
特に最後の数十メートルが過酷でした!道らしきものは消え去り、トゲトゲの木々が生い茂る中を進む羽目に。もはや道なき道を行く冒険そのものでした。
枝が車体をガリガリと擦る音が響き渡り、車が傷だらけになりそうな勢いでした。それだけでも大変なのに、車内は暑くて狭く、ガイドのラビさんとローカルガイドの青年は車の外側にスパイダーマンのように張り付いて移動するという状況に。
枝が彼らの体に当たっていて、かなり痛かっただろうと思います。それでも彼らは「痛くありません」と笑顔を見せていて驚きました。ラビさんは長袖だったので多少マシだったかもしれませんが、青年はタンクトップ姿!本当に大丈夫なのかと心配になるほどでした。
④世界最大級の聖なるバオバブ「ツィタカカンツァ」
地元の人々から「聖なるバオバブ」として尊ばれている、世界最大級のバオバブ「ツィタカカンツァ」。
実はこの木は「聖なるバオバブ」の2代目です。先代のバオバブ「ツィタカクイケ」は樹齢3000年を越え、長らく村の象徴的な存在でしたが、2019年の大雨と雷によって残念ながら倒れてしまいました。
バオバブは村の人々にとって聖なるものであり、生活や信仰に欠かせない存在。そのため、倒れてしまった先代に代わり、2代目にふさわしいバオバブを探し、新たに任命されたのが現在の「ツィタカカンツァ」なのです。
世界最大級と言われるだけあって、横幅だけで大人15〜20人が並べるほどの大きさ。見上げれば、その偉大さに圧倒されること間違いありません。
聖なるバオバブの前で行われるセレモニー
この聖なるバオバブ「ツィタカカンツァ」に近づくには、まず村長に贈り物を渡し、セレモニーを行ってもらう必要があります。セレモニーで必要なアイテムはラム酒とタバコです。
セレモニーは、村長がバオバブの前で祈りを捧げるところから始まります。その後、ラム酒2本分がバオバブの根元に注がれ、神聖な木への捧げものとして使われます(残りの1本は村長自身が味わうためのものだそう)。また、タバコも何本かバオバブに捧げられていました。
この一連の儀式が終わると、訪問者は写真撮影や木の周りを自由に歩くことが許されます!
村長さんと記念撮影もしました。
村長は長寿でおしゃれ
村長さんは80歳くらいの男性。どこかモーガン・フリーマンを思わせる穏やかで威厳のある雰囲気がありました。
マダガスカルでは平均寿命が50歳未満と言われる中で、村長はかなりのご長寿さんです。
食事が油っこかったり偏っていたりすることが寿命を縮める原因とされていますが、村長は自然の恵みを中心とした質素な食生活を送っており、その暮らしが健康と長寿につながっています。20年前にラビさんが初めて村長に会った時、彼は60歳だったどうですが驚くほど若々しく見えたそうですよ!
そして何より印象的だったのが、村長のおしゃれなスタイルです!薄いグレーのジャケットにオリーブグリーンのハットを合わせ、黄緑色のインナーを差し色として着こなしていました。ズボンもきちんとしたスラックス風で、全体的に洗練されたスタイル。普段、マダガスカルでは使い古したTシャツやシンプルな服装が一般的なので、村長はやっぱり違うな…という雰囲気が伝わってきました。
アンドンビリーの子どもたちは元気がいっぱい!!飴をプレンゼントするとすっごく喜んでくれますよ。
子どもたちとの触れ合いは以下の記事にまとめていますので、よかったらご覧ください!
⑤刺青バオバブ
不思議な文様が樹皮に浮かび上がったバオバブ。
刺青のようでかっこいいですが、これも病気が原因です。バオバブが病気にかかると、幹にイボのような突起ができたり、このような模様が樹皮に浮かび上がることがあります。一見アートのようにも見えますが、自然界の厳しさを物語る印でもあります。
⑥家族のバオバブ(バオバブダンス)
これは、アンダバドアカの「バオバブの森」の中にあるバオバブたち。
仲良くダンスをしているような様子から、「家族のバオバブ」や「バオバブダンス」と呼ばれています。本当に今にも動き出しそうですよね!!
⑦バオバブクライミング
中にはこのように登ることができるバオバブもあります。
イタズラ好きのラビさんはいつも私たちを楽しませてくれるのですが、この時も「こっちにキツネザル(レムール)がいるよ!」と教えてくれたので、喜んでついて行ったら、なんとバオバブに登っていたのはチャールさんでした…笑
「チャールレムール、チャールレムール」って叫んでて、、流石のラビさんでした笑
ユニークなバオバブはどこにある?アクセス方法
この記事で紹介したバオバブには、アンドンビリー村とアンダバドアカの2つの地域で見ることができます!アンドンビリー村とアンダバドアカは車でおよそ3時間の距離です。
▼アンドンビリー村で見れるバオバブ
①バオバブハウス(バオバブの洞窟)
②イボイボバオバブ
③妊婦バオバブ / 太っちょバオバブ
④世界最大級の聖なるバオバブ「ツィタカカンツァ」
▼アンダバドアカで見れるバオバブ
⑤刺青バオバブ
⑥家族のバオバブ(バオバブダンス)
⑦バオバブクライミング
後から聞いた話ですが、日本人でアンドンビリー村やアンダバドアカを訪れる人はとても少ないそうです。実際、ガイドのラビさんも「今年初めてきたよ(私たちが訪れたのは2024年の7月後半)」と言ってました。それもそのはず!道中はかなりひどい道で、首都・アンタナナリボからは距離もあります…。旅にはまとまった日数と体力が必要なので、訪れる人が限られてしまうのだと思います。
それでも、この場所には珍しいバオバブが揃っていますし、いつ倒木してしまうかわからない状況だとも言います。だからこそ、もしチャンスがあるならぜひ訪れてみることをオススメします◎
アンドンビリー村までのアクセス方法
私たちはこの日、マンジャからアンドンビリー村へ車で向かいました。
イカダでの川渡りや途中休憩を挟み、およそ6時間でアンドンビリー村の集落に到着。大自然の中に民家がちらほら見えます。
アンドンビリー村のその先は、ガイドのラビさんも運転手のチャールさんも知らないとのことで、バオバブのスポットまではローカルガイドの青年が案内してくれました!
ローカルガイドも一緒に車に乗って案内するシステムのようで、彼も私たちの車に乗り込みました!後部座席はもう満席だったので、運転席と助手席の間に座っていました笑
窮屈なはずなのにみんなずっと笑顔で、楽しそうにしていたのがとても印象的でした。もしかしたら、マダガスカルではこんな乗り方が普通なのかもしれません。
アンドンビリー村には、ここまで紹介した7つのバオバブスポット以外にも、ユニークな形をしたバオバブがたくさん!
バオバブはよく「木を引き抜き逆さに植えたような姿」と例えられることがありますが、たしかに見上げてみるとそんな感じがします…笑
アンダバドアカまでのアクセス方法
アンダバドアカへは、アンドンビリー村からモロンべを経由して向かいました。この区間は車でおよそ3時間の道のりでした。モロンべから直接アンダバドアカへ向かう場合は、1時間半ほど見ておくと良いと思います。
アンダバドアカにあるバオバブ群生地「バオバブの森」に向かう道中は、予想をはるかに超える悪路でした…。ガイドのラビさんによると、以前訪れたときはもう少し道が整っていたそうですが、雨の影響でかなり状態が悪くなってしまったようです。
そもそも、こんな感じの悪路なので訪れる人も滅多にいないのだそう。2時間くらい凹凸の激しい悪路を進んで、たどり着いたのはカラフルな平地!
そのまま平地を突き進むと、目的地「バオバブの森」に到着します。バオバブがいっぱい!
「バオバブの森」の周りは、何もない荒地が広がっていて、その中に太いバオバブの木がボンッボンッと立ち並んでいるような状態でした。バオバブ以外にはほとんど目立つものがなく、どこか殺風景な景色。だからこそ、ひとつひとつのバオバブが圧倒的な存在感を放っていました◎
以上、「アンドンビリー村」と「アンダバドアカ」で出会えるユニークなバオバブ特集でした!今回ご紹介したスポットに向かうまでの道中はかなりの悪路で、首都・アンタナナリボからは距離もありますが、もし機会があるならぜひ訪れてみてくださいね!