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標高5,000mは“心臓バクバク、車ガタガタ”…な世界でした。
南米に行くにあたり、最も心配していたのは高山病。南米に行ってみて実際どうだったのか…!?標高レベル別の症状や感覚、私たちがとった対策についてお届けします。
高山病とは?
まずは高山病の基礎知識・現れる症状を確認しておきましょう。
高山病の基礎知識
高地に行くにつれ、気圧が下がり空気が薄くなる(酸素の量が減る)という自然界の法則。
海抜0mの酸素濃度を100%とした場合、標高5000mではなんと酸素濃度が50%まで下がるようです。(標高から気圧を計算)
このような環境の変化に適応できない場合、体の不調が現れます。これが高山病。
通常は標高2500mくらいから高山病の症状が出始めます。標高3,000mを超えると、ハイキングなどのアクティビティでなくとも、例えば移動手段として乗り物に乗っているだけでも高山病になる可能性が出てきます。ただし、症状が出てくるまでの時間や標高には個人差がありますし、同じ人でもその時々の体調によって異なります。
高山病の症状
高山病の症状レベルは「3段階」に分けられます。
①軽度:山酔い
標高2,000m以上の高地で、頭痛に加えて以下の症状が少なくとも1つ以上ある場合。
・食欲低下、悪心(おしん)・嘔吐などの消化器症状
・全身倦怠感や脱力感
・立ちくらみやめまい
・睡眠障害(眠れない、息苦しい、何度も目が覚める など)
②中程度:高所肺水腫(命に関わる恐れもある)
山酔いと合併することがほとんど。数時間で急速に進行することもあり注意が必要です!安静時の呼吸困難、せき、歩行困難、胸部圧迫感(胸を締めつけられるような感じ)、頻脈(脈が速い)といった症状が現れる。
③重度:高所脳浮腫(命に関わる重篤な状態)
山酔いに加え、まっすぐ歩けなかったり、日時や場所が分からなくなる症状が出ます。運動失調、見当識障害まで症状は悪化します。この状態で放置してしまうと、昏睡状態や最悪の場合死に至る。
治療法(応急処置)
高山病の治療はいたってシンプルで、速やかに低地へ移動することです!
気圧が低下し空気が薄くなることで起きている症状でもあるため、酸素を吸入することも有効的◎
yanakijiが感じた標高別の症状と対策
私たちが高山病を発症したのは1度。ボリビアのポトシ
食欲低下や軽い頭痛は頻繁にあったのですが、高山病の症状だと自覚できたのは約50日の南米旅の中で1度だけでした。それは標高4,000mを越えるボリビアの街「ポトシ」でのこと。
ポトシは街自体が標高4,000〜4,100mの高地にあります。前日は、スクレという標高2,800mほどの場所で過ごしていました。
高山病の予防策として「標高3,000mを越える場所では1日で高低差300m以上の移動をしないように」と言われています。私たちはそのことを知らずに、1日で一気に1,200mも車で駆け上がり、かつはしゃいだもんだから高山病になってしまいました。
標高4,100mのポトシに入ってから6時間ほど遅れて症状が出ました。症状は軽度に分類される「頭痛・めまい」「悪心(おしん)・嘔吐」「全身倦怠感」「睡眠障害」の全て…。
次の日にはなんとか落ち着いたのですが、これは高所に少し慣れていたというのもあると思います。
普段、海抜0mのあたりで過ごしている人が、いきなり4000mに行ったらこんなもんじゃ済まなさそう…。
ポトシ以外の場所ではどうだった?標高別にご紹介
高所に数日いると、だんだんと体が高所に適応していきます。体調にもよりますが、2〜3日程度高所に入ればだんだんと慣れると思います!南米を50日間旅していて、標高別にどのくらい辛かったかを記載してみます。
標高3,500m以下
南米に来て最初の1週間は3,500mでも息苦しかったですが、それ以降は、普通に歩く分には何も感じないようになりました。坂道や山道も、2,000m以下と比べると息切れは早いし疲れやすいけど活動するには問題ないレベルです!
標高3,500〜4,000m
3,500mを越えるとちょっと世界が変わります。
油断すると頭が痛くなってしまうので、動作をゆっくりにしてみたり、水分を多く摂るようにしたりと気をつけました。3,500mでハイキングする場合は、休憩しながら進むこと、前日はしっかり寝ることをおすすめします。
標高4,000〜4,500m
このレベルになると生活圏ではなく、登山で訪れるのがメインかと思います。
ペルーで、標高4,580mのワスカラン国立公園「69湖」のトレッキングに挑みました。心臓はバクバクするし、足もかなり重い。休みながらであればなんとか前に進めるくらい!頂上付近は5歩進んだら少し休憩したくなるレベルで、日本では経験したことのない苦しさでした。
水分はこまめに、大量に飲んでください!足がうまく動かないときにポカリスウェットを大量に飲んだら回復したので、お水以外も念のため持っていくといいです。
詳しくは、以下のポッドキャストをお聞きください。
標高5,000m以上
5,000m越えは、それまでとは全く比べ物にならないくらい辛い。
レインボーマウンテンが標高5,036mでした。休んでも休んでも、数歩進むだけで体がどどーんと重くなる。常に心臓がバックバクしているし、体全体は鉛のように重く、これ以上進めるのか不安になりました。
素晴らしい絶景を見れて嬉しいという気持ちはあるけど、もう一度行きたいかと聞かれるとちょっと悩むレベル…。お水を飲むこと、前日たっぷりと睡眠をとる、これは鉄則です。体調が優れない時は、登頂はやめておいた方がいいと思います!
詳しくは、以下のポッドキャストをお聞きください!
高地の運転はどうだった?車だとどこまで行ける?
人間の体調はさておき、車自体は、1日で1,400mの高低差(100m↔︎1,500m)を進んでも問題はなかったです。
南米旅で訪れた最も高い場所は、チリのアタカマ。標高5,154mでした。
標高5,000mを越えると車もさすがに悲鳴をあげます。平らな道であればまだしも、上り道ではどんなにアクセルをふかしてもなかなか進まない。それにガソリンも尋常じゃない早さで減っていく。
通常の4倍くらいの早さで減ってない!?みたいなタイミングもあって、ちょっとドキドキしました。
このような状況なので、標高5,000mの場所に車で行くのはあまりおすすめしません…!
高地には万全の対策で行こう!
最後に、高山病予防『9箇条』をご紹介!!
高地の旅にチャレンジしようと考えている方は、ぜひこれらを意識してみてくださいね。
高山病予防『9箇条』
①余裕を持たせてスケジュールを組む
②標高3,000m以上では、1日で高低差300m以上の移動をしない
③高度を1,000m上げるごとに休息日を設ける
④背負う荷物を軽くする
⑤ゆっくり歩くことを心がける
⑥アルコール、睡眠薬、安定剤はできる限り控える(睡眠中の呼吸状態を悪化させる恐れがあるため)
⑦脱水症状に気をつけて水分をしっかり摂る
⑧高山病予防薬「ダイアモックス(アセタゾラミド)」は高地へ行く前日から到着3日後まで服用するのが有効的
⑨事前の健康診断が大切!慢性疾患や特に呼吸器系の疾患をお持ちの方は注意が必要
高所には高所ならではの絶景と感動が待っています。しっかり対策をして楽しみましょう!!