ボリビアの歴史と革命家チェ・ゲバラの死について

ボリビアの歴史と革命家チェ・ゲバラの死について

南米旅ではペルー、ボリビア、チリの3カ国を訪れる予定です。今回はそのうちの1つ、ボリビアの歴史と文化について学びましょう!

スペインから独立後、現在のボリビア、ペルー、チリの間では紛争が活発になりました。1904年に条約が結ばれ終戦しましたが、今もなお完全な友好関係には至っていません。

また、キューバ革命を成功させたアルゼンチン出身の革命家「チェ・ゲバラ」が最後を迎えたのもボリビアです。ボリビアでは賛否が分かれる人物ですが、この記事では人気が高くyanakijiも人として愛しているチェ・ゲバラについても取り上げます。

ボリビアってどんなところ?

南米の中央部にあり、標高が高いことで有名

ボリビアは、南米の中央部に位置する国です。国土面積は1,098,581k㎡(424,164平方マイル)で、南米の中で5番目に大きな国!5番目といえど、日本の面積378,000k㎡と比較するとその大きさは約3倍です!南米には大きな国がたくさんあります。

ボリビアの首都「ラパス」

また、ボリビアの首都「ラパス」は、標高3,500mを超える高地にあります。
ボリビアは特に標高が高いことが有名で、サッカーの代表チームはホームゲームで驚異的な強さを誇ります。というのも、ラパスにあるスタジアム「エスタディオ・エルナンド・シレス」は標高およそ3,600m!酸素濃度が低く、この環境に慣れていない他国の選手は苦戦を強いられます。

日本人からすると富士山の山頂(3,776m)でサッカーをするようなものなので、想像するだけで息が苦しくなりますね…。

さまざまな言語が使われている

ボリビアは、主に先住民・スペイン人・アフリカ系の人々で構成されています。
公用語はスペイン語ですが、ケチュア語やアイマラ語などの先住民の言語が現在でも広く使われています。

豊かな自然と文化をもつ

乾季のウユニ塩湖

ボリビアの主要産業は鉱業、農業、観光です。
特に独立後のボリビアを支えたのは錫を中心とする鉱業で、世界でも上位を占める錫生産国として知られています。錫の他にもリチウムや亜鉛の主要生産国でもあります。

銀鉱山「セロ・リコ」の工場

中南米の三大鉱山の1つとされたポトシの銀鉱山「セロ・リコ(富める山)」があるのもボリビアです。

※2023年に「セロ・リコ」を訪れました!旅レポは以下をご覧ください。
ポトシの銀鉱山セロ・リコへ!ボリビア人はハートフルな人が多い

年表で見るボリビアの歴史

ボリビアは、インカ帝国やスペインによる征服、そして独立後も多くのクーデターや軍政という歴史を経て、現在の民主政になりました。
年表では、この記事で取り上げた出来事を中心にピックアップしていますが、それでもボリビアの歴史がかなり複雑であることがわかると思います。

先スペイン期に繁栄したティワナク文化

ティワナク遺跡

紀元前のボリビアについては詳しいことがわかっておらず、ボリビアの歴史といえばティワナク文化の時代から語られることが多いです。ティワナク文化は、高度な建築・石彫り・灌漑(かんがい)技術を持っていたとされ、後のインカ文化に大きな影響を与えたと考えられています。

ティワナク遺跡には、太陽の門、半地下神殿、カラササヤ神殿などの建造物が今も残されています。

※2023年に「ティワナク遺跡」を訪れました!旅レポは以下をご覧ください。
世界遺産ティワナク遺跡へ!生きて帰れない気がしたラパスの夜道

プチ豆知識

ティワナク遺跡は宗教的巡礼地であり、かつては人々が住むことのない場所として考えられていました。標高約4,000mでは食糧生産が困難で、多くの人が住む都市は成立しないと思われていたのです。

しかし近年の調査で、遺跡の周囲に多くの住居跡が見つかり、当時は都市的な社会が存在していたことが明らかになりました。また、食糧生産も予想より豊かだったことがわかり、これまでの認識が大きく変わりつつあります。

独立後は争いの絶えない混沌とした時代に…

スペインからの独立後、ボリビアではクーデターや戦争が絶えませんでした。
太平洋沿岸の資源地帯を巡って、チリとペルーの間で勃発した「太平洋戦争*」や、ブラジルとの「アクレ紛争」、パラグアイとの「チャコ戦争」の結果、ボリビアは広大な領土を失い、海を持たない内陸国となりました。

*:日本人がよく知る、1941年に勃発した「太平洋戦争」と区別するために、「硝石戦争」と呼ばれることもあります。

革命家「チェ・ゲバラ」の死について

チェ・ゲバラ ※Wikipediaより

チェ・ゲバラは、アルゼンチン出身の革命家で、キューバ革命のゲリラ指導者として広く知られています。

彼の人生はまさに波乱万丈そのものでした。放浪癖のあったゲバラは、医者を目指して大学に進学したのち、20代で何度も中南米各国を旅します。

当時の中南米は、アメリカの大企業や政治家が利益を独占し、現地の人々は貧しい暮らしを強いられていました。ゲバラは旅を通じてこの不平等な社会構造を目の当たりにし、貧困に苦しむ人々への関心を深めていきます。

そんななか出会ったのが、後にキューバの首相になるフィデル・カストロです。
ゲバラは、カストロとともにキューバ革命にのぞみ成功に導きます。

カストロ(左)、ゲバラ(右)※Wikipediaより

革命後、ゲバラは国立銀行総裁や工業相を務めましたが、最終的にはその地位を捨てて再び南米やアフリカでのゲリラ戦に戻りました。彼は最終的にボリビアのイゲラ村で反政府活動中に射殺され、39歳でその生涯を閉じます。

ゲバラの経歴を詳しく話すと長くなってしまうためここらへんで止めておきましょう。
革命家でありながら、彼が世界中で愛されているのは、自由を求めて信念を貫き通し、理想のために献身的に尽くしていたからです。

また、ゲバラは非常に勉強熱心で自分にも他人にも厳しい人でした。
こんな話があります。ゲリラ戦に参加したいと強く訴える若者の中でも、読み書きが出来ない者にはゲリラ戦に参加することを許可しなかったと。これは単なる厳しさだけでなく、彼の愛情からくるものでした。

これは、インカ帝国を侵略したスペインの征服者とは対照的ですよね。スペインの征服者「フランシスコ・ピサロ」は、金品を奪って私腹を肥やすのに労力を費やしました。また、彼は教育を受けずに育ったため、読み書きも出来なかったんですよね…。
そのような征服者とは違い、チェ・ゲバラの世界をより良くしようという信念が、多くの人の心を奪うのでしょう。

広島原爆ドーム ※Wikipediaより

そんな彼は日本へ向けたメッセージも残しています。
彼が訪日した際、当初予定になかった広島原爆ドームの視察を希望し、「君たち日本人はアメリカにこんなひどい目に遭わされて、怒らないのか」と言い残し、自身の手記には「原爆の悲劇から立ち上がれ 日本よ」と記してます。米国では原爆投下を今でも間違えていないと考える人が多いのが現状です。そんな理不尽なことに対する思いを真っ向から投げかけてくれているのも世界の理不尽に対して戦ってきた彼らしい言葉だなと思います。

ボリビアと日本の関係

日本とボリビアの関係は、1899年に日本から天然ゴム採取やゴム工場の労働者として、ラパス北部のサンアントニオに移住したことに始まります。1900年代以降は、天然ゴム景気に引かれ、多くの日本人がアマゾン川上流地域のベニ県、パンド県などに移住します。

1914年4月13日には、通商条約の締結によってボリビアと日本の外交関係がスタート。

1942年、ボリビアが第二次世界大戦に参戦し外交関係が断絶されるも、10年後の1952年12月20日に外交関係が再開され、それ以降は良好な友好関係を築いています。

米国領沖縄からボリビアへ渡った日系移民1世(1956年)※Wikipediaより

外交を再開した当時のボリビアは急進的な社会・経済改革(ボリビア革命)が進行中で、開発の進んでいなかった東部のサンタクルス地方でも農地改革が行われました。
無償で土地が提供され、日本から多くの人々が農業移民として移住しました。オキナワ移住地とサンフアン移住地の2つの集団移住地が建設され、日系ボリビア人コミュニティが形成されました。その後、1970年代の実質的な移民の終了まで、日本からボリビアへの移住者は約6,600人とされています。

2014年には外交関係樹立100周年、2019年には日本人のボリビア移住が120周年を迎え、記念式典が行われました。
近年(2021年)、多くのボリビア人が日本で暮らしており、現在では6,000人を超える在日ボリビア人がいます。

まとめ

今回は、ボリビアの歴史や文化、日本との関係、そしてチェ・ゲバラについてお届けしました!
ボリビアの歴史はかなり複雑で詳しくは触れられませんでしたが、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。

ポッドキャストでは、このテーマについてきじーが熱く語っています。よかったら聞いてみてくださいね!

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