絶滅危惧種は誰がどうやって認定してる?日本の絶滅動物一覧と原因を解説

絶滅危惧種は誰がどうやって認定してる?日本の絶滅動物一覧と原因を解説

世界中に生息するたくさんの生き物たち。当ブログでもいくつかの動物の生態を紹介してきましたが、その中には絶滅の危機に瀕している動物もいましたね。

絶滅危惧種を選定する機関としては、国際的にはIUCN、国内では環境省や地方公共団体、NGOなどがあります。今回は、絶滅危惧種の選定方法や日本国内の絶滅危惧種について見ていきましょう!

海外の絶滅危惧種は以下の記事でお伝えしているので、あわせてご覧ください!
凄まじく勉強になる!世界中の絶滅危惧のデータをまとめているIUCN

絶滅危惧種は誰が決めているの?

絶滅危惧種は、絶滅のおそれが生じている野生生物のこと。冒頭で触れたように絶滅危惧種を選定する機関として、国際的にはIUCN、国内では環境省・地方公共団体・NGOなどがあります。

IUCN(国際自然保護連合)は、第二次世界大戦後の1948年に設立された国際的な自然保護団体です。本部はスイスのグランにあり、会員には国家や政府機関、NGOなどなど。
日本は、IUCN設立から30年後の1978年に、環境庁(現在の環境省)が日本の政府機関として初めて加盟しました。

日本国内では、IUCNの評価基準に基づいて、環境省・地方公共団体・NGOがリストを作成しています。
したがって、日本の絶滅危惧種について知りたい場合は、環境省のWebサイトに掲載されているレッドリストを確認することをオススメします◎

環境省のレッドリスト、その選定方法とは?

環境省のレッドリストには、動物だけでなく昆虫や植物も評価対象として記載されます。
現在、3,716種類の生き物がレッドリストに載っていますが、この数はあくまでも確認できている範囲なので、実際にはもっと多くの種が絶滅の危機にあると考えられます。              

レッドリストが発表された当初、海洋生物の絶滅リスクは一部の種を除いて評価されていませんでした。しかし、海洋の生物に対する関心の高まりを受け、平成24(2012)年度から海洋生物に限定したレッドリストも作成されるようになりました。

環境省は、2012年に魚類、サンゴ類、甲殻類、軟体動物(頭足類)を取りまとめた「環境省版海洋生物レッドリスト」を公表。56種類の海洋生物が絶滅危惧種として新たに加えられました。

レッドリストは定期的に更新される!

環境省のレッドリストは、約5年の周期で全体的な見直しが行われます。
必ずしも5年ごとというわけでは無いのであしからず!現時点の最新版は、2019年に更新された第5次レッドリストです。(2024年5月時点)

第1次レッドリストが公開されたのは1991年でした。当初は「絶滅危惧種」という名称が使用されていましたが、第2次リスト以降はレッドリストに改名されています。
https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/redlist/index.html

選定方法

環境省レッドリストの概要がわかったところで、絶滅危惧種をどのように選定しているのか確認しておきましょう!

レッドリストの最終決定は専門家で構成される検討会で行われます。この検討会では、生物学的観点から個々の種の絶滅の危険度を科学的・客観的に評価します。

検討会で判断するための前段階として、13の分類群ごとに分科会が設置され、それぞれのグループで調査および評価を行うそうです!

1.哺乳類 2.鳥類 3.爬虫類 4.両生類 5.汽水・淡水魚類 6.昆虫類 7.貝類 8.その他無脊椎動物(クモ形類、甲殻類等) 9.維管束植物 10.蘚苔類 11.藻類 12.地衣類 13.菌類


環境省のHPでは、調査結果のレポートも掲載されています!興味のある方はぜひご覧ください。
https://www.biodic.go.jp/kiso/do_kiso4_tayou_f.html

絶滅危惧レベル

環境省のレッドリストは、絶滅のおそれの程度を明らかにするために8つのレベルに分けて記載されます。
ただし、環境省が定めているレベルの呼び名はIUCNとは少し異なりますのでご注意を!下図ではその微妙な差を紹介しています。

国内の絶滅種(哺乳類)は7種

国内の絶滅種(哺乳類)は以下の7種です。この中から「オキナワオオコウモリ」「ニホンオオカミ」「ニホンカワウソ」の3種類を詳しく見ていきましょう!

  • オキナワオオコウモリ☆
  • ミヤココキクガシラコウモリ
  • オガサワラアブラコウモリ
  • エゾオオカミ
  • ニホンオオカミ☆
  • ニホンカワウソ(本州以南亜種)☆
  • ニホンカワウソ(北海道亜種)

オキナワオオコウモリ

オキナワオオコウモリは、かつて日本で一番大きいコウモリと言われていました。
体長20~25㎝・体重390~440gほどの大きさで、羽を広げると1mを超えるためかなり迫力のあったようです。

オキナワオオコウモリは1870年頃に絶滅したとされており、今ではもうその姿を見ることはできません。絶滅の詳しい原因は分かりませんが、1870年以降にこのコウモリを目撃した人がいないため「絶滅」と認定されました。

実はこのコウモリ、生態もあまり明らかになっていません。沖縄に生息する他のコウモリはいまだに多数生息しているのに、なぜオキナワオオコウモリだけが絶滅してしまったのか…という点も謎のままです。

ニホンオオカミ

ニホンオオカミの剥製 ※Wikipediaより

ニホンオオカミは、1905年1月に奈良県で捕獲された若いオスを最後に、現在まで確実な生息情報がありません。そのため、この時期に絶滅したと考えられています。

ニホンオオカミが絶滅したのは、主に4つの理由からです。

  • 明治時代にシカやイノシシを乱獲したことによって、オオカミの食物が少なくなった。
    エサを求めてオオカミが馬など放牧家畜に被害を出したため駆除された。
  • 文明開化にそぐわない野獣という政策的な理由で駆除された。
  • オオカミの毛皮や骨肉(骨は民間薬として利用)には高い価値があったため、換金目当てで乱獲された。
  • 犬からの伝染病に感染し、数を減らした。

人の手によって絶滅に追いやられたとも言えますね…少し悲しいです…。

ニホンカワウソ

ニホンカワウソの剥製 ※Wikipediaより

ニホンカワウソもニホンオオカミと同じように、毛皮目当ての人間によって乱獲され大幅に数を減らしました。
さらに、河川開発による生活環境の悪化、水質汚染などの原因によって激減…。1979年に記録されて以降、確実な生息情報がなく、すでに絶滅してしまったと考えられています。

哺乳類の他に、鳥類、爬虫類、両生類、気水・淡水魚類、昆虫類、貝類など、それぞれのカテゴリーに分かれて記載されているので、興味のある方は以下をご覧ください。
環境省レッドリスト2020

ちなみに、国内の絶滅危惧種(哺乳類)は2020年時点で34種類います。

次回はIUCNのレッドリストをご紹介

今回は、環境省のレッドリストと日本国内の絶滅危惧種をご紹介しました。
次回は海外の絶滅危惧種やIUCNのレッドリストを学んでいきます!IUCNのレッドリストは情報が豊富でとても興味深いですよ♪ どうぞお楽しみに!

ポッドキャストでもこのテーマについて語っています!よかったらこちらも聞いてみてくださいね。

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