今日のテーマは「氷河」
ポッドキャスト:
皆さんは、氷河というとどのようなものをイメージしますか?
大きな氷の塊?それとも極寒地域にある河川や湖が凍ったもの?
今日はそんな「氷河」について。
そもそも氷河とはどんなものか、どのようにできるのか、などを学んでいきたいと思います!
そもそも「氷河」ってどんなもの?
氷河とは自重によって流動する大きな氷の塊のこと
「氷河」とは、地上に降り積もった雪が長い時間をかけて氷の塊となり、氷自身の重み(自重)によって流動するようになったものを指します。
流動する、という点がポイントです!
「氷の塊」が「河のように流れる」という特徴から「氷河」という言葉が誕生しました。
実際は河のように流れるといっても、一般的に年に数メートルから数十メートルほどのペースで、少しずつ動いています。とはいえ昨今の温暖化の影響で、流れるスピードがどんどん速くなっているのだとか…。
降り積もった雪が圧縮されてできている!
氷河は、主に4つのプロセスを踏みながら形成されていきます。
1:地表に降り積もった雪が長い間、時には何世紀もの時間をかけて解けることなく堆積
2:降り積もった雪の重みによって、内部の雪が圧縮され大きな氷の塊を形成
3:さらに圧力によって押しつぶされた氷の塊の底面は、少しずつ液体へと変化を遂げる
(氷に圧力を加え続けると分子間の水素結合が切断されることで液体となります!)
4:その結果、液体化した底面は標高の低い場所を求めるように少しずつ流動する
氷河には「大陸氷河」と「山岳氷河」がある!
大陸を覆うように形成される「大陸氷河」
大陸氷河は「氷床」とも呼ばれ、世界の氷河1,500万㎢のうち約99%を占めると言われています!現在は南極大陸とグリーンランドだけに存在します。
大陸を覆うように氷の塊が存在するわけなので、それらが全て解けると膨大な量の水を放出することとなります…!グリーンランドの氷床が融解した場合は6m、南極の氷床が融解した場合は65m、海面が上昇するとも言われています。
山岳地帯に形成される「山岳氷河」
山岳氷河は、山の頂上など標高が高く、気温が低いところにできるのが特徴です。
有名なものでいうとスイスのアレッチ氷河。周辺の山々と合わせて世界遺産にも登録されており、アルプス山脈最大の氷河と言われています!
ちなみに、標高の低い方向に向かって移動している氷の塊であれば、定義上は山岳氷河に分類されます。世界中の山岳氷河を調べてみると、これも氷河なのか!とその多さに驚かれる方もいるかもしれません。
また、山岳氷河は傾斜地に形成されるため、大陸氷河よりも地表を強く削りながら移動します。これを侵食と言い、氷河による侵食を「氷食」と言います。氷食によってつくられた代表的な地形に、圏谷(カール)、氷食谷(U字谷)、ホルンがあります。
圏谷(カール)
圏谷は別名カールとも呼ばれ、山の斜面をスプーンのようなものでえぐったように半球上に凹んだ谷の地形を言います。氷食によってできる地形のもっとも代表的なものです。
氷食谷(U字谷)
氷食谷は別名U字谷とも呼ばれ、その名の通り谷がU字状に削られた地形を言います。河川などの水流は通常V字に削られますが、氷河は氷の塊によって地表が削られるためUj字の形となります。
ホルン
ホルンとは、山がピラミッドのように鋭く尖った地形を言います。氷食によって地表が削り取られ、山頂付近に複数のカール(圏谷)が出来ることで現れます。
この地形の山は、ホルンといえば…で思いつく、スイスの「マッターホルン」が有名です!
世界にはこんな氷河がある!
氷河を見ることができる有名な世界遺産を3つ紹介します。
まずは、私たちが2023年の極寒カナダ旅で訪れる「カナディアン・ロッキー」から!
※2023年2月に実際にカナディアン・ロッキーに行ってきました!詳細はこちらから。
カナディアン・ロッキー山脈公園群(カナダ)
カナディアンロッキーとは、アメリカとカナダにまたがって縦断するロッキー山脈のカナダ部分のこと。連なった山々はカナダ部分だけでも2,200kmにも渡り、その一帯は氷河地形の宝庫と言われています。
広大なコロンビア大氷原からは6つの氷河が流れ出ています。
ロス・グラシアレス国立公園(アルゼンチン)
ロス・グラシアレス国立公園には47の氷河があると言われています。その中でもペリト・モレノ氷河は世界有数の氷河!現在も成長と崩壊を繰り返す様子は「生きた氷河」とも呼ばれるほどだそうです。
イルリサット・アイスフィヨルド(デンマーク)
イルリサットはデンマーク領であるグリーンランドの西海岸にある町のこと。この氷河は世界最速の速さで移動していることで有名です!
なんでも、1日に19メートルも流れるのだとか。海岸に位置するとはいえ、他の氷河と比較してもとんでもないスピードです。
実は日本にも氷河がある!
長年「日本に氷河はない」とされてきましたが、富山県の立山連峰にある3つの万年雪が実は動いていたということが明らかに!2012年に日本ではじめての氷河として認定されました。現在では、立山連峰をはじめ日本には7つの氷河があるとされています。
まとめ
今回は、そもそも氷河とは?という定義から、氷河はどのようにできるのか、どこで見ることができるのかを中心にまとめてみました。降り積もった雪が長い時間をかけ圧縮され、氷の塊となり、そして氷河となっていく…自然の力は本当に偉大です。
昨今の温暖化の影響で、氷河が少しずつ解けているという話がありますが、どうかこの美しい景色がこれからも残ってほしいと願います。
■参考にしたWEBサイト