今回はサイの生態をお届けします!「サイの皮膚の硬さは世界一」とも言われますが、サイの皮膚は一体どれほどの硬さなのか、そもそもサイとはどんな動物なのか。
知っているようで知らないサイの生態について、アフリカに生息するシロサイ・クロサイを中心にお伝えします。
サイの大きさや体重、種類は?
サイはゾウに次ぐ大型の哺乳類動物!種類にもよりますが、大きい個体は体長4m・体重2,500kgを超えてきます。これは、街中を走る小型トラックの大きさに値します。
種属 | 哺乳網 奇蹄目(キテイモク)サイ科 |
体長 | 2〜4m |
体重 | 500〜2,500kg |
生息地 | アフリカ・インドネシア・インド など |
個体数 | 約27,000頭 |
現在、地球上には5種類のサイが存在すると言われています。現存しているサイは体毛が薄く、もしくは体毛がないため、寒冷の地域には生息していません。
1.シロサイ:アフリカ大陸の東部と南部に生息
2.クロサイ:アフリカ大陸の東部と南部に生息
3.スマトラサイ:インドネシアやミャンマーといった限られた熱帯雨林に生息
4.インドサイ:インド北東部からネパールに生息
5.ジャワサイ:インドサイと近縁種
サイの生態① 何といっても皮膚の硬さと厚さ!人間の25倍
サイの皮膚は、世界の哺乳類の中で最も硬いと言われています!サイの皮膚の厚さは、最も分厚い部分でなんと5cmと言われています。人間で考えてみると厚さ5cmのずっしりした鎧を着ているようなイメージでしょうか。肩が凝らないのか心配になります。
ちなみに、人間の皮膚の厚さは平均して「2mm」と言われているので、サイの皮膚は人間の皮膚の約25倍も分厚い、ということになります!
また、サイの皮膚の硬さは「乾燥したカッチコチのお餅くらい」と例えられることもあり、肉食動物の牙や爪も簡単には通しません!多少の攻撃を受けたくらいでは、サイからするとタンスの角で小指をぶつけるようなものなのです。
ちなみにインドサイとジャワサイは皮膚に特徴があり、シロサイやクロサイの皮膚とは少し異なります。腕や腰、お尻のあたりの皮膚が折りたたむように重なっており、まさしく鎧!といった形状をしています。これが1枚の皮膚として繋がってるなんて…不思議!!
サイの生態② 実は常につま先立ちしている
サイはつま先立ちをしていると知っていましたか?
奇蹄目であるサイは、足に3本のヒヅメを持っています。この3本のヒヅメは、人間でいうところの人差し指・中指・薬指の爪が変化したもの。サイは、主に中指で体重を支え、人差し指・薬指は補助的な役割を持ちます。つまり、常につま先立ちの状態なのです!
サイのつま先立ちは走ることにも適しており、大きな体でありながら時速50kmのスピードで走ることもできます。
奇蹄目(きていもく)ってなに?
奇数の”奇”に”蹄(ヒヅメ)”と書く奇蹄。その名の通りヒヅメの数によって分類され、ヒヅメの数が1・3・5と奇数の動物は奇蹄目で、ヒヅメの数が2・4と偶数の動物は偶蹄目と呼ばれます。サイのヒヅメは3本のため奇蹄目に分類されます。
奇蹄目にはサイ以外にウマやバク、偶蹄目にはシカやウシ、ヤギなどがいます。同じヒヅメでも動物によって数が異なるなんてとても興味深い。動物園でもヒヅメの数に注目すると面白いですよ!
サイの生態③ 巨大なツノは爪のように伸び続ける
長い個体では1.5mにもなる、サイのツノ。その材質は、骨ではなく「ケラチン」という繊維質でできています!つまり、人間の爪や髪の毛と同じ成分で出来ているのです。
シカやウシなど、ツノを持つ多くの動物は、頭蓋骨にある骨の芯からニョキニョキとツノが生えています。サイのツノは骨ではないので、この芯が存在しません!しかし、分厚い皮膚の奥から生えているため、まず取れることはないし、仮にツノが折れてしまうことがあっても、何事もなかったかのように生え変わります。
また、爪や髪の毛と同じ成分なので、放っておくとズンズンと一生伸び続けます。
伸びてくると、木や岩など固いものにツノをこすりつけて形を整えます!人間が美容院にいくのと同じですね。
サイの生態④ 草食動物だけど獰猛!
サイは草食動物です。「草食動物だから温厚」とイメージするかもしれませんが、獰猛な一面を持っています。
サイは縄張り意識が強く、敵とみなした相手には容赦なく攻撃します。しかし、サイは30メートル先も見えないほど視力が悪く、時には5〜6メートル先でも物を判別できないことがあるようです。
ほとんど見えていないにも関わらず、敵と見なしたら見境なく突進します。その姿は「獰猛」そのもの。
時速50kmの小型トラックに突っ込まれるようなものなので、とっても怖いですよね…。
シロサイとクロサイの違いとは?
代表的な種類であるシロサイとクロサイの特徴を見ていきましょう!シロサイと聞くと体が白色なのかと想像しますが、写真を見てもわかる通り体は白色ではありません。では、どうしてシロサイという名前なのでしょう?
シロサイとクロサイの口元の形に注目!
シロサイという名前は口元の形が由来していると言われています。シロサイは、地面に生える草を食べやすいように、幅広い形状の口になっています。現地語で「幅広い」を意味する言葉「wijde」が英語に訳された際に、「white(白い)」と間違えられ、「white rhinoceros(シロサイ)」と名付けられたそうです!そんなこともあるんですね…!
クロサイという名前も、シロサイと同じく体の色は関係ありません!シロサイが先に名付けられ、その後、区別するために「クロサイ」と名付けられたようです。
シロとくれば次はクロ!と、なかなか安易な名付け方です…!笑
クロサイはシロサイとは異なり、尖った「口」を持っています。少しバクにも似ています。
この尖った口は、木の葉や木の実など、自分より高い位置にある植物を食べるのに適しています。枝の切れ端が混じったウンチがあったら、それはシロサイではなく、枝や木の実を食べるクロサイのウンチ!
シロサイの方がクロサイよりも体が大きい
シロサイは、他のサイよりも体が大きく、体長は3〜4m、体重はオスで2,000kg、メスで1,500kgほど。大きく鋭いツノも特徴のひとつです。
クロサイはシロサイよりも小柄で、体長は3m前後、オスでも体重が1,200kgほど。シロサイのメスよりも小さい体をしています。
現在の日本の動物園では上記のシロサイ・クロサイに加えて、インドサイの3種類を見ることが出来ます。
サイは絶滅の危機にさらされている?
サイの生息数は、現存する5種類をあわせても27,000頭と数が少なく、IUCNのレッドリストに指定されています。特に、スマトラサイ・ジャワサイの生息数は100頭以下と少なく、生息地も限定されているため、自然災害や病気で一気に絶滅してしまう危険性も指摘されています…。
シロサイ | 15,942頭 |
クロサイ | 6,195頭 |
スマトラサイ | 34−47頭 |
インドサイ | 4,014頭 |
ジャワサイ | 76頭 |
今回はサイの生態と特徴をお届けしました。肉食動物の牙さえも通さない、サイの皮膚の硬さには驚きでしたね…!ポッドキャストでもサイのことを楽しく話していますのでよかったら聞いてみてください!
アフリカ旅で実際に野生のシロサイに会いました。
その時の様子は以下の記事をご覧ください。