【現地で見たマダガスカルの貧困】仕事がない・売春・家の立退き

【現地で見たマダガスカルの貧困】仕事がない・売春・家の立退き

今回は、マダガスカル現地で実際に目の当たりにした貧困の現実についてお伝えします。
旅の途中、子どもたちに金銭をねだられることは何度もありましたが、特に印象的だったのが6日目にバオバブの大群を見に行ったときのこと。車で移動しているにも関わららず、大勢の地元の子どもたちに囲まれ「お金をちょうだい!」と必死に手を伸ばされました。

地元の子どもたちに囲まれるやなぎー

それもそのはず…マダガスカルは世界的に見ても極めて貧しい国のひとつなのです。

マダガスカルの貧困状況(データ)

2021年の世界銀行の統計によると、マダガスカルの状況は以下のとおりです。
・国民の約79%が、1日1.9ドル以下で生活する極度の貧困状態
・慢性栄養失調率は世界で4番目に高い
・5歳未満の子どもの約40%が発育障害に苦しんでいる

このデータを念頭に置きながら、私たちが現地で見たこと、感じたことをお話ししていきます。

まず大前提として、私たちはマダガスカル全土を訪れたわけではありません!旅の中で見たのは、主に南西部の一部の地域です。マダガスカルでは水の供給状況が貧富の差を大きく左右すると言われています。裕福度を最大10とすると、私たちが訪れたエリアは4〜5程度。つまり、さらに貧しい地域もあれば、もっと裕福な地域もあるということを前提として読み進めていただければと思います!

1.衣食住について

衣服

まずは衣服事情について。

男性の服装は、Tシャツに膝丈のズボンが一般的。大人も子どももだいたい同じような格好ですが、子どもは上半身裸の子も多く見かけました。

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サッカーをする子どもたち

Tシャツの生地はもともと薄いこともあり、色褪せたり破れたりしているものも目立ちます。ただ、その色使いはとてもカラフル!10人集まっても色がかぶらないことには驚きました。
日本であれば、白や黒、紺、グレーあたりが人気ですが、マダガスカルでは赤や黄色、緑、青、ピンクなどの原色が主流で、白が一番少なかったように思います。彼らの服は、都市部から流れてきたユーズド品が多く、そもそも白の流通が少ないのかもしれません。

村のTシャツ屋さん

また、印象的だったのは大統領の顔写真入りのTシャツを着ている人が多かったこと。
マダガスカルでは、大統領選や市長選のたびにこうしたTシャツが各陣営から配られるそうです。候補者にとっては自分の広告になり、住民にとっては無料の衣服が手に入るという双方にメリットがある仕組みなんだとか。

ローカルガイドの青年が大統領Tシャツを着ていた

2023年11月に大統領選挙があったばかりだったこともあり、多くの人が着ていたのかもしれません。(私たちが訪れたのは2024年7月〜8月)

大統領の顔写真はパラソルにも…

一方の女性は、Tシャツに大きめの布を腰にまいたスカートスタイル。驚いたのは、多くの女性がスカートの下にパンツを履かないこと!その方が涼しく快適なのだそうです。
また、女性もトイレは立ったままするのが現地のスタイルのようで、文化の違いに驚かされました。

男女ともに基本は裸足

そして男女ともに基本は裸足。小さな村の農家出身のラビさんも高校生になるまで靴を履いたことがなかったと言います。裸足の方が歩きやすく、アスファルトが少ないため靴の必要性が低いのだとか。そんな感じなので手や足は常に砂まみれ。その手でそのまま食事をすることを考えると、少し衛生面が気になるところです。

食事

山盛りごはん

続いて、マダガスカルの食事事情について。食に関しては旅レポでも多く触れているので、ここではプラスの情報を中心にお伝えしますね!

マダガスカルの人々は、とにかく米と油が大好き。飲食店の料理はそれも脂っこく、「油は体に負担がかかる」という教育はほとんど浸透していません。とはいえ、普段の食事は水で煮た豆を使った質素な食事が中心。油をたっぷり使った料理は休日や特別な日に楽しむ贅沢品なのだそうです。
私たちがマダガスカル人の食事を見て思ったのは、ビタミンが圧倒的に足りていないこと。新鮮な野菜を食べる機会はほとんどなく、道端の木になっている果実を食べることが貴重なビタミン摂取の機会になっているようでした。

住居

家は藁でできている

マダガスカルでもホームステイをしてみたかったのですが、「ホームステイできるほど国が発展していない」という理由で叶いませんでした。そのため、ここでは村の家々を外から見た印象をお伝えします。

住居は、藁のようなもので作られれた簡素なつくり。まるで絵本に出てきそうな雰囲気です。

住居は、藁のようなもので作られれた簡素なつくり

6〜10畳ほどの小さな空間に10人家族が暮らしていることも珍しくなく、決して快適とは言えない環境です。また、電化製品はもちろんのこと水道も電気もない生活が当たり前。そんな中、家の前に小さなソーラーパネルを置いてる家庭が多かったのが印象的でした。携帯電話くらいなら充電できそうです。

さらに驚いたのが、たとえ土地を借りて家を建てても、政府から立ち退きを命じられたら、建設費用のほんの一部しか返金されず退去するしかないという現実。土地は政府のものであり、国が決定すれば国民には反論の余地がないのです。

2.教育について

次にマダガスカルの教育事情について。

子どもたちの多くは小学校(5年制)には通えています。ただし、そのあと中学に進める子どもは少数派。2018年にユネスコが発表したデータによると、マダガスカルの中学進学率はわずか45%だそうです。(日本は97.5%)

さらに、小学校の授業は午前中で終わることがほとんどなため、5年間の総勉強時間は先進国の半分以下。加えて、空腹のために勉強どころではない子どももいると言います。

村の小学校

実際にいくつかの小学校を訪れましたが、建物すらない青空教室もありました。それにも関わらず、 学費や制服代は決して安くありません。授業料は30万アリアリ(約300円)ほどですが、マダガスカルの平均月収が2ドルであることを考えると、家計にとってはかなりの負担です。そのため、親は子どもを学校に通わせるために必死で物を売ったり、運んだりして働きます。

藁を運ぶ女性たち

また、教員不足や無資格教員の多さも深刻な問題です。古いデータになってしまいますが、2013年時点では小学校教員免許を持つ公立学校の教師はわずか18%でした。現職教員の研修においても、財政難や交通事情により、農村部の教員にまで行き届いていないのが現状です。

さらに、交通手段がないため、多くの子どもたちは生まれた村から一度も出たことがないと言います。たとえ才能があっても、貧しい村に生まれた時点で未来の選択肢が極端に狭められてしまうのです。

「自分は神童だった!」と自信たっぷりのラビさんも、マダガスカルの小さな村出身。しかし、もし生まれた村がもっと貧しかったら、自分もそこから抜け出せなかっただろうと語ります。ラビさんについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。

3.仕事について

最後に、マダガスカルの仕事事情について触れておきましょう。

私たちと旅を共にしているガイドのラビさんと、運転手のチャールさんはそれぞれ手に職をつけており、マダガスカルの中では比較的“裕福”な方です。

ラビさんとチャールさん

ラビさんはガイドの仕事の他に、マダガスカルの子どもに日本語を教える教師(こちらが本職)をしていますが、教師の月給は最低50万アリアリ(約17,000円)と言ってました。日本の給料とは桁が違いますが、マダガスカルの平均月収2ドルと比較するとかなり高い給料です。

チャールさんは、ドライバーになる前は実家の農業を手伝っていたそうですが、それだけでは生活が成り立たず、20歳の時に知り合いから仕事を紹介してもらい、今の会社に就職したと言ってました。外国人相手の仕事の方が、収入を得やすいのだそう。

運転するチャールさん

ラビさんは日本語やガイドの知識があり、チャールさんはマダガスカルのどんな悪路でも運転できるスキルと国内の地図が頭に入っていて、当分は職に困ることはなさそうですが、そうじゃない人はどうなのでしょうか?

結論からいうと仕事がありません。旅の中でいくつもの村を見てきましたが、やっぱり仕事はほとんどなさそうでした。会社なんて都市部にしかきっとないのだと思います。

そのため、お金を得る方法は限られており、農作物や家畜を育てて市場に売ったり、物を運んだり、イカダを漕いだりが主な手段です。工場も村には無いですからね…。

イカダを漕ぐ青年

マダガスカルの人口の7割以上が、月給2ドル未満と言われていますが、村を少し見てきた私たちでさえこの現実が容易に想像できました。

地道に稼いでいくしかありませんが、それでもお金がどうしても必要な場合、女性は自分の体を売ると言います。この話を聞いた時、同じ女性であるやなぎーは本当にショックで言葉が出ませんでした。

私たちが訪れた「モロンベ」という地域でもよく行われているそうなんです。客は外国人が多いらしく、1回の金額は現地通貨で6万アリアリ。これ日本円でいくらだと思いますか?日本円で1900円くらい、2000円以下です。そもそもいくらであっても体を売ることは私たちの感覚からすると倫理的に受け入れ難いものですが…。

18歳くらいからその手段に出る子が多いのだそうですが、時には中学生くらいの子どももいるとのこと。彼女たちは、生活に必要なお金や医療費、子どもの学費を稼がなければならないのに、お金を入手する手段がなく…ということなのだと思いますが、この現実にはやはり心が痛みます。

まとめ

マダガスカルで私たちが見た貧困の現実は、想像以上に厳しいものでした。
特に、教育と仕事に関する問題が深刻です。多くの子どもたちは小学校5年生までしか学べず、中学に進学できるのは半数以下。学校では教員が不足しており、わずかな学費さえも家族にとって大きな負担となっています。

仕事の機会も限られており、若い女性たちは生き抜くために過酷な選択を迫られることもあります。

私たちが目の当たりにした現実は、貧困がどれほど人々の選択肢を狭めるかを痛感させられるものでした。

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