今回は海外編として、IUCNがまとめているレッドリストと世界の絶滅危惧種をいくつかご紹介します!
IUCNのレッドリストは情報が豊富で、興味深い内容がたくさん◎
私たちはとても勉強になったので、ぜひ皆さんにもIUCNのすごさを知ってもらいたい!
国内編については以下の記事をご覧ください。
絶滅危惧種は誰がどうやって認定してる?日本の絶滅動物一覧と原因を解説
IUCNの概要
国内編でも少し触れましたが、改めてIUCNについて確認しておきましょう。
IUCNとは、国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources)の略称で、国際的に活動する自然保護団体です!国際的な絶滅危惧種の認定はIUCNが担当しています。
IUCNについて調べてみて、特にすごいと思った点を以下に5つまとめました。
IUCNがまとめているレッドリストの情報については後ほど説明しますが、これらの活動を継続していくためには資金が必要です。
IUCNは、主に企業や財団の寄付によって成り立っています。たとえば、トヨタ自動車は、2016年にIUCNとの5年間のパートナーシップ協定を結びました。パートナーシップを開始した2016年に、トヨタ自動車は120万ドルの助成を実施したようです。
IUCNのサイトにも「TOYOTAに感謝している!」と記載されています。日本人としてとても誇らしい気持ちになりますよね!5年協定なのでトヨタとIUCNのパートナーシップの現状はわかりませんが、現在も多くの企業や団体がIUCNを支援しています。レッドリストを支える企業や団体は140近くもあるそうですよ!!
IUCNのレッドリストで確認できること
IUCNのレッドリストでは、調べたい動物名で検索するとその評価情報が表示されます。
クロサイの場合、2020年1月14日時点の成熟個体数は3,142頭で一時期より増加中。絶滅の危険度は「ごく近い将来に野生での絶滅の危険性が極めて高い」CRに分類されています。
生息域はマップで色付けされており、その詳細を確認することも可能です。
このように具体的な情報がわかりやすく公開されているので、とても見やすいですよね◎
詳しくは、IUCNのサイト(以下リンク)をご覧ください!https://www.iucnredlist.org/species/6557/152728945
補足情報
下図の通り日本の環境省のレッドリストとは評価レベルの名称が異なります。
・絶滅危惧IA類(CR):今すぐにも、野生種の絶減が生じる危険性が極めて高い
・絶滅危惧IB類(EN):近い将来、野生種の絶減が生じる危険性がとても高い
・絶滅危惧II類 (VU):中期的な将来、野生の絶滅が生じる危険性が高い
・準絶滅危惧 (NT):近来、「絶滅危惧種」に移行するおそれがある
IUCNレッドリストに掲載されている南米の生き物
ここからは、IUCNのレッドリストに掲載されている生き物をいくつか見ていきましょう!
私たちはこれから南米アンデス地方に行くので、ここではペルーとボリビアに生息する絶滅危惧種5種を紹介します。他国の動物の情報を知りたい方は、ぜひIUCNのレッドリストで検索してみてください。日本語名ではなかなかヒットしないので、学名もしくは英名で検索することをおすすめします◎
1.メガネグマ(CR)
種属 | 哺乳網 食肉目 クマ科 メガネグマ属 |
生息地 | ペルー、ボリビア、コロンビア、エクアドルなど |
個体数 | 2,500-10,000頭 |
クマ科の中で唯一、南米に生息するメガネグマ!!名前の由来である、鼻から胸にかけて白い模様がついているのが特徴です。この白い模様は個体によって大きく異なるため、個体を識別するのにも役立つそうです。
絶滅の危険度はCR(絶滅危惧IA類)に分類され、「今すぐにも、野生種の絶減が生じる危険性がきわめて高い」種とされています。
IUCNの該当ページ:https://www.iucnredlist.org/species/22066/123792952
2.ジャガー(NT)
種属 | 哺乳網食肉目 ネコ科 ヒョウ属 |
生息地 | ペルー、ボリビア、アルゼンチン、ブラジルなど |
個体数 | 約64,000頭 |
ジャガーは、南アメリカの森林で食物連鎖の頂点に立ち、最強の捕食者とされています。
彼らは主に、アマゾンの低地熱帯雨林で見られます。かつては、南米大陸の南端から米国・メキシコの国境周辺にかけて生息していましたが、1880年代以降に生息地の半分以上を失い、現在は中南米の人里離れた地域、特にアマゾン川流域が主な生息地となっています。
絶滅の危険度としては、NT(準絶滅危惧)で絶滅危惧種には認定されていませんが、個体数の減少が懸念されています。
IUCNの該当ページ:https://www.iucnredlist.org/ja/species/15953/123791436
3.オオカワウソ(EN)
種属 | 哺乳網 食肉目 イタチ科 オオカワウソ属 |
生息地 | ペルー、ボリビア、ブラジル、コロンビアなど |
個体数 | 数千頭 |
「川のジャガー」とも呼ばれるオオカワウソ。カワウソの中では最も大きな種で、体長は約1.4m、体重は約30kgにもなると言われています。ジャガーが南アメリカの森林で食物連鎖の頂点に立っているように、オオカワウソは水中生態系において最強の捕食者!!
そんなオオカワウソに最も脅威を与えているのが人間です。人為的な開発や伐採によって彼らの生息環境が破壊され、個体数は過去25年間で50%以上も減少したと考えられているようです…。
絶滅の危険度はEN(絶滅危惧IB類)に分類され、「近い将来、野生種の絶滅が生じる危険性がとても高い」種とされています。
IUCNの該当ページ:https://www.iucnredlist.org/species/18711/244867206
4.オオアナコンダ(LC)
種属 | 爬虫網 有鱗目 ボア科 アナコンダ属 |
生息地 | ペルー、ボリビア、ブラジル、コロンビアなど |
オオアナコンダは、体長・体重ともに世界最大級のヘビです。大きい個体だと、全長9mで体重200kgを超えることもあるのだそう。
絶滅の危険度はLC(低懸念)なのであまり高くはありませんが、個体数の動向に関する情報はほとんどないため未知数とされています。
IUCNの該当ページ:https://www.iucnredlist.org/species/44580041/44580052
5.オオアリクイ(VU)
種属 | 有毛目 アリクイ科 オオアリクイ属 |
生息地 | ペルー、ボリビア、アルゼンチン、ブラジルなど |
オオアリクイには歯がありません。その代わりに、60cmにもおよぶ細長い舌でアリを絡めとって食べます。
また、モップのような大きな尻尾が特徴的。肉(食用)や毛皮のために乱獲されたことに加え、娯楽を目的としたハンティング、生息地の破壊などによって数を減らしています。
絶滅の危険度はVU(絶滅危惧II類)に分類され、「中期的な将来、野生の絶滅が生じる危険性が高い」種とされています。
IUCNの該当ページ:https://www.iucnredlist.org/species/14224/47441961
まとめ
海外編である今回は、IUCNのレッドリストの説明と、レッドリストに掲載されている南米の生き物についてお届けしました。まだ、IUCNのレッドリストを見たことがない方はぜひ見てみてください◎
きっと新しい発見があるはずです!
ポッドキャストでも、このテーマについて詳しく語っています。よかったら聞いてみてくださいね!