今日のテーマは「ナイアガラの滝(Niagara Falls)」
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今回はナイアガラの滝(Niagara Falls)の歴史や語源、おすすめの観光シーズンなどをお届けします。
※2023年2月に実際にナイアガラの滝に行ってきました!詳細はこちらから。
「ナイアガラの滝(Niagara Falls)」ってどんな滝?
世界三大瀑布のひとつ
ナイアガラの滝は、アフリカ(ジンバブエ・ザンビア国境)にあるビクトリアの滝、南米(アルゼンチン・ブラジル国境)にあるイグアスの滝と並んで「世界三大瀑布(ばくふ)」と呼ばれています。
世界三大瀑布の中でも、ナイアガラが第一位を誇るのは年間の平均水流量!
1秒ごとに2,407㎥の水が流れているそうです。オリンピックなどで使われる国際規格の競泳用プールは長さ50m・幅25mなので、深さを2mとするとプールの水量は2,500㎥でほぼ同じです。競泳用プールをひっくり返した水の量が1秒ごとに流れているんです。スケールが大きくて、もうなんだかよく分からない!
また、透明度が高く綺麗なエメラルドグリーン色も魅力のひとつです!晴れた日には虹が綺麗に見えたりするのだとか。
ちなみに、落差はビクトリアの滝が一番大きくナイアガラの滝の約2倍。幅はイグアスの滝が1番大きく、これもまたナイアガラの滝の約2倍となっています。
ナイアガラの滝 | ビクトリアの滝 | イグアスの滝 | |
平均水流量 | 2,406㎥/秒 | 1,088㎥/秒 | 1,745㎥/秒 |
高さ(落差) | 51m | 108m | 64-82m |
幅 | 1,203m | 1,708m | 2,700m |
どこにあるの?五大湖とも密接な関係が!
カナダ(オンタリオ州)とアメリカ(ニューヨーク州)の国境上に位置しています。都市の名前は、アメリカ側もカナダ側も「ナイアガラフォールズ市」で同じ名前です。
五大湖のうち4つの湖(スペリオル湖、ミシガン湖、ヒューロン湖、エリー湖)から流れ出た水がナイアガラの滝へ集まります。そして、ナイアガラの滝から流れ落ちた水はオンタリオ湖、やがて大西洋へと流れこんでいきます。このように、ナイアガラの滝と五大湖は密接な関係があるんです。
実は3つの滝から構成されている!
ナイアガラの滝は、カナダ滝・アメリカ滝・ブライダルベール滝と呼ばれる3つの滝から構成されています。
3つの滝のうち最も大きいのは、落差56m・幅675mのカナダ領にある「カナダ滝 ( Canadian Falls)」。一般的に「ナイアガラの滝」というと、このカナダ滝を連想する人が多いと思います。
また、U字型をしていることから「馬蹄滝(Horseshoe Falls)」とも呼ばれています。
2番目に大きいのは落差58m・幅330mのアメリカ領にある「アメリカ滝(American Falls)」。そして、アメリカ滝の横にある落差55m・幅15mの「ブライダルベール滝(Bridal veil Falls)」。幅15mとなれば日本であれば相当な大滝ですが、ナイアガラではややコンパクトに見えますね。
「ナイアガラの滝(Niagara Falls)」の歴史を知る!
成り立ち
ナイアガラの滝の歴史は今から約18,000年前、最終氷期(一般的にこの時代のことを「氷河期」と指すことが多いです)の時代まで遡ります。日本で言うと旧石器時代でしょうか。
その時代、オンタリオ州の南部は高さ2〜3kmの分厚い氷床に覆われていたようです。その後、何千年もかけて氷が解け、最終氷期が終わりを迎える約13,000年前頃には温暖化が一気に進み、大量の雪解け水が流れ出します。
遠く「ロッキー山脈」の雪解け水が五大湖を通じて大西洋に流れ出る途中に形成されたのがナイアガラの滝です!エリー湖とオンタリオ湖の間には約100mの高低差があるため大瀑布となりました。
氷河期の一面白銀の景色、雪解け水の長い旅、時間をかけ少しずつ変化する自然…想像するとその壮大さにロマンを感じずにはいられませんね・・!
約12,000年前に人類がナイアガラの滝を発見!
人類がはじめてナイアガラのの滝に足を踏み入れたのは、約12,000年前頃と言われています。日本で言うと縄文時代!土器を作って畑を耕しはじめた頃です。
ナイアガラの滝周辺は元々雄大な森林地帯でしたが、クローヴィスと呼ばれる先住民族がエリー湖の周辺で生活を始めてから少しずつ森林が開拓されました。その後現在から約3000〜300年前にナイアガラの滝周辺を代表する民族としてイロコイ族が生活を営むようになります。
そのような先住民族の時代からナイアガラの滝が世界へ知られるきっかけとなったのは17世紀の初頭。ヨーロッパからの探検隊たちがナイアガラの滝に到達したことで、フランスやイギリスをはじめ世界に広く知られることとなりました。
語源は諸説ある!
語源は諸説あるようですがここでは3つを紹介します。
最も有力と言われているのは、前述の先住民族「イロコイ族」の家名から来ているという説です!17世紀後半にフランスによって作られた地図には、この地域の部族が”Niagagarega”と呼ばれていたと記述されています。
次に、モホーク語で「首」を意味する言葉から来ているという説です。エリー湖とオンタリオ湖の間の地峡(neck of land)を指していたとされます。
最後は、イロコイ族の言葉で「雷鳴の轟く水」から来ているという説です。観光案内所では、よく紹介される説のようですが学術的な根拠はないようです…。
季節によって異なる景色
どの季節も素敵だけど観光のベストシーズンは夏!
【春】
雪解け水によって少しずつ増える水量と、春らしい可愛いお花とのコラボレーションを楽しめる時期です。
【夏】
1年の中で1番水量が多いのが春から初夏にかけて。そのため、ナイアガラの滝のベストシーズンは夏だと言われています!およそ毎秒5,720 m³の水が流れているようです。立ち昇る水煙とともに圧巻の水量を楽しめます。
【秋】
少しずつ色づく木々たち。紅葉の暖かな色合いとエメラルドグリーンの滝のコントラストを楽しむことができます。
【冬】
人生で一度は見てみたい!凍てつく大滝。一面に銀世界が広がります。近年は世界的な温暖化の影響もあり、このような景色が見れる日が少なくなっているのだとか…!?11月下旬から1月下旬までは、毎週金曜夜にライトアップや花火が行われるみたいです。
気候を日本(東京)と比較
まずは平均の最高気温・最低気温で比較してみます!1年全体を通して5-10℃ほど、トロントの方が気温が低いことがわかります。
次に晴天確率で比較してみます!
下のグラフは「空模様が快晴、ほぼ晴れまたは一部曇りの割合」を示しています。東京は冬場の方が晴れ間が多く、逆にトロントは夏場の方が晴れ間が多いことがわかります。
最後は平均月間降雨量で比較してみます!
トロントは降雨量が全体的に低く、あまり雨が降らないのがわかります。晴天確率も50%前後でなだらかなグラフだったので、雲が東京と比較して多いのかもしれません。
「ナイアガラの滝(Niagara Falls)」は世界遺産じゃないの!?
世界三大瀑布のうち、ビクトリアの滝とイグアスの滝は世界遺産に登録されていますが、実はナイアガラの滝は世界遺産ではありません。
こちらも諸説ありますが、1番の理由は滝を流れる水が人工的にコントロールされているためと言われています。
ナイアガラの滝が誕生した当時は、現在よりも11kmも下流にあったそうです。水の勢いが強いこともあり、長い年月をかけて少しずつ崖が削られ現在の位置まで侵食されてしまいました…。自然のまま放っておくとさらに侵食して滝が無くなってしまう!そんな未来を防ぐために、流す水の量をコントロールしているのです。
そのおかげもあって、年間1m後退していたのが現在は3cmに抑えられているそうです!!
あと2つ理由を紹介しますが、1つはカジノなどの娯楽施設が多い点です。
ユネスコの登録基準には、「自然美」「地形と地質」「生態系」「生物多様性」のいずれかを満たす必要があるとされています。ナイアガラの滝周辺は、観光業も盛んに行われているためカジノやテーマパークのクリフトンヒルといった娯楽施設もあり、自然な景観という条件に沿わないというのも理由としてあるでしょう。
カナダとアメリカの国境間に位置しているため世界遺産の登録にあたっての申請の手続きが困難というのがもう1つの理由です。国境に位置している場合、両国の申請が必要なのですがアメリカ側が申請しておらず、登録には至ってないのだとか。
まとめ
今回は「ナイアガラの滝」について一通りまとめてみました。皆さんの何かお役に立つ情報はあったでしょうか?少しでも興味をもって読んでいただけたのなら嬉しいです!
※追記:2023年2月に実際にナイアガラの滝に行ってきたので旅レポはこちらから!
■参考にしたWEBサイト