パラオで食べられるコウモリスープとは?
パラオ旅行で現地の食文化について調べていると、かなりの確率で気になる料理があります。それが「コウモリスープ」です。
名前だけでも十分インパクトがありますが、さらに驚くのがその姿。店によって調理法などは異なりますが、実際に出てきたものはコウモリが丸ごと1匹、スープの中に入っていました。

パラオ政府の記録にも、外国首脳を迎えた食事でフルーツバットスープが地元料理として提供された例があり、単なる観光客向けの珍味というわけではありません。
とはいえ、なかなか勇気のいる料理です。
「コウモリって本当に食べられるの?」
「どんな味がする?」
「丸ごと入っているって、どのくらい丸ごとなの?」
気になることだらけだったので、パラオ滞在中に実際に食べてみました!
使われているのは「オオコウモリ」
パラオのコウモリスープに使われているのは、大型の「オオコウモリ」の仲間です。
オオコウモリの仲間は果実や花、蜜などを食べるものが多く、英語では「fruit bat(フルーツバット)」や、キツネのような顔つきから「flying fox(フライングフォックス)」と呼ばれることもあります。
パラオには「Palau fruit bat(Pteropus pelewensis)」というオオコウモリが生息しており、パラオ政府の環境資料にも在来の哺乳類として記録されています。

ナイトカヤック中も空を飛ぶオオコウモリを目撃しました!
コウモリスープを食べたのは「カープ・シーフード・レストラン」

今回コウモリスープを食べたのは、コロールにある Carp Restaurant(カープ・シーフード・レストラン)。
大きな観光レストランというより、こぢんまりとしたローカル感のあるお店です。

店内に入って特に気になったのが、壁にずらりと並んだ広島東洋カープのグッズ。

選手のポスターやサインなどが飾られていて、南国パラオにいるのに、なぜかものすごい「カープ愛」を感じる空間でした。
カープ島を開発した岸川さん一家と関係するお店
実はこのお店、パラオの「カープ島(Carp Island)」とも関係があります。

このカープ島のリゾート開発に携わった日本人として知られるのが、岸川好廣さん。
なぜパラオでカープファンが増えたのか?
岸川さんは長年パラオに暮らし、現地のダイビング産業の開拓や雇用、インフラ整備に大きく貢献した実業家です。
彼が現地スタッフや若いパラオ人たちを家族のように大切に育てたため、「岸川さんが応援している広島カープを、自分たちも一緒に応援する」というカルチャーが現地スタッフやその家族、地域に広がっていきました。
また、パラオはもともと大正〜昭和初期にかけて日本の統治下にあった歴史があり、親日的なお国柄です。そうした背景に岸川さんの情熱と地元への貢献が重なり、パラオの地で「広島カープ」が親しまれるカルチャーが根付きました。
そしてカープ・シーフード・レストランは、その岸川さんの奥様が営むお店として紹介されています。
今回訪れた際、ホールを担当していたのはもっと若い方だったため、奥様ご本人にお会いできたわけではありませんが、それでも店内を見渡せば、ここのオーナーがカープ好きであることはすぐに分かりました!

そんなお店で注文したのが、今回の目的だったコウモリスープ。
店内のカープグッズを眺めながら待っていると、ついに大きな器が運ばれてきました。そして中を覗いた瞬間、想像していた以上の姿に言葉を失います。
コウモリが丸ごと1匹!想像以上にインパクトのある見た目
そして、ついにコウモリスープが運ばれてきました。

最初に出た感想は、ただひとつ。想像していた以上に、そのままです。
黒い羽、顔、耳、手足まで形が分かり、口元をよく見ると歯やヒゲまで確認できます。スープ料理というより、大きな器の中でコウモリが温泉につかっているような見た目でした。

「これは本当に食べられるのか……?」
注文したときには楽しみだったはずなのに、実物を目の前にすると一気に緊張してきます。
顔も羽もそのまま残っている
特に強烈なのが顔です。

煮込まれているとはいえ、コウモリであることがはっきり分かる状態で、目や口、歯まで確認できます。羽を広げてみると黒い皮膜もそのまま残っていて、「丸ごと1匹」という言葉にまったく誇張がありません。
ただ、不思議なことに匂いは悪くありません。
見た目から勝手に獣っぽい匂いを想像していましたが、料理から漂ってくる香りは普通においしそう。見た目から入ってくる情報と、鼻から入ってくる情報がまったく一致しません。
コウモリスープはどんな味?実際に食べてみた
スープは意外にも日本のお吸い物に近い

いきなりコウモリ本体へ行く勇気はなかったので、まずはスープから。
少し独特な香りがあり、「苦味が強いのかな?」と警戒しながら口に運んでみます。
ところが、飲んだ瞬間に印象が変わりました。
「あれ、おいしい!」かなり意外でした。
見た目からはクセの強いジビエ料理を想像していましたが、実際に食べてみると、その予想はかなり外れました。
鶏ガラスープのような濃厚さとも違い、獣肉を煮込んだような強いクセもありません。感覚として近かったのは、日本のお寿司屋さんなどで出てくるお吸い物でした。とても上品な味です。
これはスープだけでも飲んでみる価値があります。
コウモリのお肉は鶏むね肉やツナのような味わい

続いて、いよいよコウモリ本体へ。
どう食べればいいのか分からずにいると、店の人がフォークを使って皮をめくり、食べられる肉の部分を見せてくれました。
黒い皮の下から現れた肉は、意外にも見慣れた雰囲気です。色は少し茶色がかったツナのようで、ほぐした感じもどこかシーチキンに似ています。

ひと口食べてみると、これもおいしい。
食感は鶏むね肉に近く、そこにツナのようなほぐれ方を足したような印象でした。パサパサしているわけでもなく、強烈な獣臭さもありません。
「鶏むね肉とシーチキンの間みたい」これが一番しっくりくる表現でした。
見た目は強烈だけど味にクセはほとんどない
食べる前に最も心配していたのが、コウモリ特有の臭みでした。
ところが、今回食べたものに関しては、肉そのものに強いクセはほとんど感じませんでした。もし何の肉か知らされず、ほぐした状態だけで出されたら、コウモリだと当てるのはかなり難しそうです。
コウモリはどこまで食べられる?

店では「基本的に全部食べられる」と教えてもらいました。
実際に食べ進めていくと、最初に見えていた肉だけではなく、肋骨などの骨格もはっきり分かるようになってきます。
「このあたりが内臓か」
「ちゃんと肋骨がある」
「ここが心臓か」
そんなことが分かってしまうほど、身体の形がそのまま残っています。
ですがどの部位も美味しかったです!
パラオでコウモリスープを食べてみたい人へ
コウモリスープは、パラオで食べたものの中でもかなり印象に残る料理でした。見た目のインパクトはもちろんですが、実際に食べてみると想像以上に食べやすく、なかなか日本ではできない食体験です。
ただ、コウモリは野生動物であり、ひとつの命をいただく料理でもあります。実際、丸ごとの姿を目の前にすると、味はおいしくても途中で箸が止まってしまうほどでした。
だからこそ、「パラオ名物だからとりあえず食べてみよう」というより、本当に食べてみたいか、最後までいただけそうかを一度考えてから注文するのがよさそうです。
実際に食べてみると、珍しいものを食べたというだけでは終わらず、普段よりもずっと強く「命をいただく」ということを感じる食体験になりました。
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