カヤックでパラオの海へ出ると、マングローブ、カニ、野鳥、洞窟と、次々と気になる景色が現れました!!
自由に寄り道しながら秘境探しを楽しんでいるうちに、気づけば予定以上の長旅に。
そして帰る頃には、大波が押し寄せてきました…。
パラオのNikko Bayで1日カヤック旅へ
パラオ滞在もいよいよ終盤。この日は朝から夕方まで、ほぼ丸一日を海の上で過ごすことにしました。向かったのはNikko Bay。石灰岩のロックアイランドに囲まれた入り江で、穏やかな海の中にマングローブやサンゴ礁、洞窟のような地形が点在していて、カヤックでゆっくり巡るのにぴったりの場所です!

今回は決められたポイントを順番に回るのではなく、カヤックを借りて、気になった場所へ自分たちで漕いでいくスタイル。「あっち、なんかありそう」と思えば入り江へ入り、面白そうな岩場を見つければ近づいてみる。
途中でシュノーケリングもしながら、とにかく自由に海を旅します。
結果的に、この日は約7時間も海の上で遊ぶことになりました。一日の終わりには手の皮がむけるほどボロボロになるのですが、朝の時点ではそんな未来を知るはずもなく、かなり元気いっぱいでした。笑
朝食と昼食のお弁当を作って海へ
朝は少し早めに起きて、まずはお弁当作りからスタート。今回は昼ごはんだけではなく、朝ごはんまで持参です。

朝8時前にNikko Bayへ到着すると、カヤックが届くまで少し時間があったので、目の前の海を眺めながら朝食を食べることにしました。

この日の朝ごはんは、スパムおにぎり、ごま醤油とおかかのおにぎり、そして甘辛く味付けしたおかかポテト。
朝とはいえパラオの日差しはすでにかなり強く、じっと座っているだけでも肌に太陽の熱を感じます。そんな中で食べる塩気の効いたスパムおにぎりが妙においしい!
続いておかかポテトを食べると、甘辛い味付けのあとから鰹の香りがふわっと広がります。ごま醤油のおにぎりは海苔が湿気ないよう食べる直前に巻いたものの、そこは湿度の高い海辺。ものすごい速さでしんなりしていきました。笑
3回目のカヤックは1人1艇で出発

前日のナイトカヤックでは2人乗りでしたが、今回は再び1人1艇。パラオでカヤックに乗るのも、これで3回目。
最初は乗り込むだけでも少し緊張していたのに、この頃にはもうかなり慣れていて、カヤックを水に浮かべても怖さを感じなくなっていました。

荷物を全てカヤックに積んでいざ出発です!


今回は前回より楽に漕げるように、体格に合わせて小さめのカヤックと大きめのカヤックをそれぞれ選択。小さい方はとにかく軽く、パドルを数回入れるだけでスッと前へ進みます。「これならかなり楽に漕げそう!」と、このときは思っていました。

ただ、この軽さが帰り道では完全に裏目に出ます。まだそんなことは知らず、フードを深くかぶって強烈な日差しを避けながら、Nikko Bayの奥へと漕ぎ出しました。
マングローブの奥へ!カヤックだから入れるパラオの世界
しばらく海を進んでいると、小島と海の境目にマングローブがびっしりと生えている場所を見つけました。遠くから見ると、緑の森がそのまま海の中まで続いているような不思議な景色です。

マングローブとひとことで呼んでも、海水や汽水域といった特殊な環境で生きるため、それぞれの植物が独特な根の仕組みを持っています。根の一部には、酸素の少ない泥の中でも呼吸できるよう、外気を取り込む役割を持つものもあります。

マングローブの生態については下記にまとめました!
マングローブの前で耳を澄ますと、かなり静かです。聞こえてくるのは水の音と、森の奥から響いてくる「ジー……」というセミのような虫の声。
パラオでは一年中セミが鳴いているようですが、代表的なセミはパラオゼミ(学名: Purana palawana)と言います。日本の真夏のような猛烈な大合唱ではなく、風や波の音に混ざって遠くから聞こえてくるので、むしろ心地よい環境音のようでした。
岩場では巨大なカニやエビを発見

さらに周辺をゆっくり進んでいると、今度は岩場にカニやエビを発見。水面近くの岩の隙間をよく見ると、思っていた以上にたくさんの生き物が潜んでいます。

その中でも特に目立っていたのが、大きなカニ。小さなカニなら岩の穴へスッと隠れられるのですが、大きいカニは体が大きくて入りきれていません。本人は必死に隠れているつもりなのに、こちらからはほぼ丸見えです。しかも岩陰からじっとこちらを見ていて、その姿がなんとも可愛い。笑

シュノーケリングで海の中を探すのとは違って、カヤックに乗ったまま岩場をじっくり覗き込むのも想像以上に楽しい。水面と目線が近いので、普段なら気づかず通り過ぎてしまいそうな小さな生き物まで自然と目に入ってきます。

気づけば同じ場所で2時間も寄り道
マングローブを見て、岩の隙間を覗いて、カニやエビを探して。そんなことを繰り返しているうちに、ふと時間を確認して驚きました。マングローブ周辺に着いてから、すでに2時間近く経っています!!

ほとんど進んでいないのに、全然飽きない。気になる入り江があれば入ってみて、何か動いたら止まって観察する。面白そうな岩場があれば、少しだけカヤックを寄せてみる。「次の観光スポットへ行かないと」という感覚がないので、興味の向くままに時間を使えます。


これまでパラオで何度かカヤックに乗ってきましたが、この頃にはカヤック旅が自分たちの旅のスタイルにかなり合っていることを実感していました。目的地へ最短距離で進むのではなく、その途中で好きなだけ寄り道する。その寄り道こそが楽しいのです。
無人島の洞窟でランチタイム

静かなラグーンを発見
ラグーンの奥へ入っていくと、石灰岩が大きくえぐれたような場所があり、その下には洞窟のような空間が広がっていました。さっきまで波に揺られていたのが嘘のように水面は穏やかで、周囲には人の姿もありません。
カヤックを止めて岩場へ上がってみると、頭上にはゴツゴツとした石灰岩が広がり、洞窟の中には鍾乳石のような造形も見えます。ここでお昼休憩をすることにしました!
洞窟の岩場で手作りランチ

お昼ごはんは、レタスとツナとスパムを挟んだパン。保冷剤と一緒に持ってきたので少し冷えていましたが、炎天下で何時間も漕いできたあとなので、その冷たさがむしろ最高です。
ほんのり甘いパンに、塩気のあるスパムとツナがよく合います。
さらにポテトチップスも開封。湿気のせいで少しだけ柔らかくなっていましたが、それすらおいしく感じます。外でたくさん動いたあとのごはんは、だいたい何でもおいしい。笑
残っていたスパイスチキンも食べました。クミン、塩、胡椒、醤油というシンプルな味付けですが、冷めてもクミンの香りがしっかり残っていて、サラダチキンのような感覚で食べられます。

洞窟の岩に座り、目の前の穏やかな海を眺めながらのランチ。水面にはときどき小さな魚が現れ、周囲には見慣れない植物が生い茂っています。特別な料理を食べているわけではないのに、この場所で食べるだけで、とても贅沢な昼食になりました。
シラオネッタイチョウとパラオの国鳥を観察
食べている途中、突然頭上を真っ白な鳥が横切りました。かなり近い距離です。真っ白な体に、後ろへすっと長く伸びる2本の尾羽。シラオネッタイチョウです。
飛んでいる姿はとても軽やかで、長い尾羽が風に流れるたびに空中を滑っているように見えます。一度通り過ぎたあとも、しばらくするとまた戻ってきて、このあと何度か姿を見せてくれました。シラオネッタイチョウは岩壁の穴や洞窟、岩の隙間などを繁殖場所として使うことがあるため、この辺りにも巣や休息場所があったのかもしれません。
さらに森の奥からは、「ホーホー」と低く響くような鳥の声。パラオの国鳥として知られるホリイヒメアオバトです。英名はPalau Fruit Doveで、鮮やかな体色を持つ美しい鳥ですが、このときは姿を見るよりも、その独特な鳴き声の方が強く印象に残りました。
シュノーケリングに夢中になっていたら潮位が上がっていた

ランチを食べ終えたあとは、そのまま洞窟の近くでシュノーケリング。魚がたくさんいて、気になる場所を見つけるたびに少しずつ移動していると、あっという間に時間が過ぎていきます。

しばらくして海から上がり、荷物の方へ戻ってみると、なんとなく景色が違うことに気づきました。さっきまで見えていた岩が、かなり水に浸かっています。
荷物を置いた岩場が水没
昼食を食べていたときには普通に座れていた岩場へ海水が入り込み、一部はすでに水の下。数時間前と同じ場所とは思えないほど水位が変わっていて、荷物を置いていた場所もかなりギリギリでした。もう少し長く潜っていたら、普通に水没していたかもしれません。
海辺にいれば潮の満ち引きがあることはもちろん知っています。でも、自分たちがさっきまで座っていた場所が実際に海へ沈んでいくのを見ると、その変化の大きさを改めて実感します。
カヤックまで流されかけていた
そして問題は荷物だけではありません。停めていたカヤックを見ると、最初に置いた場所から動き、潮に押されて岩場の変な隙間へ入り込むように流されていました。
幸い、この日はカヤックも荷物も紐でしっかり固定していたので、完全に流されることはありませんでした。もし固定していなかったら、シュノーケリングから戻った頃にはカヤックがなくなっていた可能性もあります。そう考えると少しゾッとします。
海は穏やかに見えても、数時間あれば環境はかなり変わる。自由に遊べる場所だからこそ、自分たちで周囲の状況を見ておく必要があると実感しました。
そろそろ帰ろう。このときはまだ、「あとはのんびり岸まで戻るだけ」と思っていました。
7時間のカヤック旅、最後は荒れた海を必死に漕ぐ

帰り道に入ってしばらくすると、海の様子が明らかに朝とは違うことに気づきました。波が高くなっています。
最初は少し揺れる程度だったのですが、進むにつれてカヤックが大きく上下するようになり、パドルを入れても思うように前へ進みません。
岸はもう見えていて、決して遠くはありません。それなのに、漕いでも漕いでも距離が縮まっている感じがせず、ここから一気に緊張感が高まりました。
軽いカヤックが波に持っていかれる
朝はあんなに快適だった小さくて軽いカヤック。少ない力でスイスイ進めるのが最高だったのですが、波が高くなると話が変わります。軽いぶん、波が来るたびにそのまま持っていかれてしまうのです。
大きな波が来るとカヤックの先端がぐっと持ち上がり、そのまま波を越えて落ちる。また次の波が来る。少しでも力を抜けば横へ流されそうで、転覆しないかずっとヒヤヒヤしていました。
岸はすぐそこに見えているのに、なかなか近づかない。さっきまでカニを見て笑っていたのが嘘のように、もう景色を楽しむ余裕はありません。とにかくパドルを入れ、波が来たらさらに強く漕ぐ。「絶対に岸まで戻る」と、それだけを考えて必死に進みました。
手がボロボロになるまで漕いでようやく帰還

何度も波に押し戻されながら、それでもパドルを動かし続け、ようやくカヤックの底が岸に触れました。陸へ上がった瞬間、全身から一気に力が抜けます。疲れすぎて、しばらく何も話したくないくらいでした。
この日、カヤックで遊んでいた時間は約7時間。水に浸かり続けた指はふやけ、パドルを長時間握っていたせいで皮がむけ、岩場でついた細かな傷まで増えていました。
「何でここ切れてるんだろう?」という、いつできたのか分からない傷まであります。笑
それでも、ものすごく楽しかった。

この日は、有名な観光スポットを効率よく巡ったわけではありません。マングローブの前で2時間も寄り道して、波から逃げ込んだ先で偶然洞窟を見つけ、ランチ後にシュノーケリングをしていたら潮が満ち、最後には荒れた海に苦戦する。予定通りに進まないことばかりでした。
でも、自分でパドルを漕いでいるからこそ、「あそこへ行ってみよう」「ちょっと止まってみよう」と、その瞬間の興味で行き先を変えられます。振り返ると、この日が一番、「海を旅した」という感覚に近かった気がします。
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