パラオで迎えた最後のダイビング。
シアスコーナーでウミガメやサメと泳ぎ、移動中には野生のイルカの群れに遭遇!
水深33mのシアストンネルを抜け、最後は第二次世界大戦中に沈んだ旧日本海軍の給油艦「石廊」へ。さらに船長が釣った巨大なバラクーダの刺身とパラオレモンまで、忘れられない1日になりました。
パラオ最後のダイビングは夜明け前からスタート
パラオで何日も潜ってきましたが、この日はいよいよ最後のダイビング。
最初のダイビングには「ちゃんと潜れるだろうか」という緊張がありますが、最後には最後で、「良い形で終わりたい」という別の緊張があります。
しかも出発はまだ暗い早朝。

前夜はなぜか眠りが浅く、何度も目が覚めてしまいました。体は確実に疲れているはずなのに、旅先では時々こういうことがあります。
さらに宿のバスルームでは下水のような臭いが上がってきていて、干していた水着にも微妙に臭いが移ったような気がする……という、なんとも締まらない朝でした。笑
それでも海に出てしまえば、そんなことはどうでもよくなります。今回もプライベートダイビングだったため、まだ他のダイビングボートがほとんどいない時間帯に出発。

夜が明け始めるパラオの海を走りながら、最後の1日が始まりました。
シアスコーナーでウミガメやサメに遭遇
1本目は、パラオのウーロン方面にあるダイビングポイント「シアスコーナー(Siaes Corner)」へ。
シアスコーナーはドロップオフとコーナー地形が特徴で、サメや回遊魚などを観察できるポイントとして知られています。潮の状況によって流れ方は変わりますが、この日は比較的落ち着いた海でした。
泳いでいると、いつの間にかすぐ下にアオウミガメが。

同じ方向へゆっくり泳いでいたので、しばらく並ぶように進むことができました。

そのほかにもクマノミやサメなど、パラオの海で会いたかった生き物が次々と現れます。


早朝に潜っていることもあって、周囲にはほとんど他のダイバーがいません!静かな海の中で生き物をじっくり観察できる贅沢な時間でした。
移動中に野生のイルカの群れが現れた
1本目を終えて次のポイントへ向かっていると、今度は船長が突然、遠くの海を指さしました。

かなり遠くを見ても最初は何がいるのか分からなかったのですが、その先にいたのはイルカ!しかも一頭ではありません。

ボートの周囲を何頭ものイルカが泳ぎ、時折、水面からぴょんぴょんと飛び出してきます。水族館とは違い、どこへ行くのも自由な野生のイルカたちが、自分たちからボートの近くを泳いでいる!可愛かったです!!
さらに少し進むと、今度は海鳥の大群まで出現。

ダイビングポイントからポイントへ移動している時間まで、次々と何かが現れます。
パラオの海は、本当に気が抜けません。
この後、ボートの上で朝ごはんをいただきました!

今日も手作りのおにぎりです。
シアストンネルで水深33mの世界へ
2本目は「シアストンネル(Siaes Tunnel)」。
シアストンネルは、海中の壁に大きく開いたトンネルを泳いで抜けるダイビングポイントです。

入口付近は水深25m前後で、内部は30mを超える場所もあります。一般的にも25〜35mほどの深さを潜る上級者向けのポイントとして紹介されています。
この日の最大深度は約33m。深くなるにつれて光は弱くなり、周囲の音も消えていくように感じます。トンネルの暗がりを泳いでいると、海の中なのに洞窟探検をしているような不思議な感覚。
ギンガメアジの群れが現れる場面もありました!
パラオで最初に潜った日は、緊張や呼吸への意識で頭の中がいっぱいでしたが、最後のこの日には、水深30mを超える場所でも周囲を見渡しながら泳げている。
海が穏やかだったこともありますが、純粋に「海の中を泳ぐこと」を楽しめるようになっていました!
アケボノハゼや珍しい小さな魚たち
シアストンネルで楽しみにしていた魚のひとつが、アケボノハゼ。

深場に生息することで知られる魚で、鮮やかな紫や赤のグラデーションが美しいハゼです。
さらに岩場には、赤と白の模様がかわいい小さなベニハゼの仲間も。すっごく小さい。少し前までパラオ固有種とされていたみたいで、パラオ以外で見ることは難しい貴重な魚です。ダイブマスターは、準固有種と言っていました!

魚の種類の豊富さを改めて感じたダイビングでした。
ただ、このタイミングで困ったのが水中カメラ。
なぜかピントがなかなか合いません。
後から確認するとカメラの設定が変わっていたようで、せっかく珍しい魚が目の前にいるのに撮影がうまくいかない。
最後のダイビングだからこそ悔しいところですが、これも旅ではよくあることです。
ウーロン島の無人島でひと休み

2本目を終えた後は、ウーロン島周辺の無人島へ立ち寄りました!

上空から見ると、白い砂浜を囲むように透明な海が広がり、その外側には濃いブルーの海。パラオらしい色のグラデーションが一望できます。
誰もいない島を少し歩いてみると、聞こえてくるのは鳥の声と、風で木々が揺れる音だけ。人がいないと分かっているからこそ、普段なら気にならない物音にも敏感になります。

「何か動物が出てくるんじゃないか」
そんなことを考えながら歩くだけでも、ちょっとした探検気分でした。

夜間に上向きに咲き、翌朝には落花します。
その横で船長はというと、時間を見つけては釣り。ダイビングの仕事中とは思えないほど楽しそうに竿を出していました。そして後になって、この釣りが思いがけない昼食につながります。
パラオの沈没船「石廊」をダイビング
そして、パラオで最後となる3本目向かったのは沈没船「石廊(IRO)」です。

パラオには第二次世界大戦中に沈んだ日本の船や航空機が数多く残っていて、現在ではレックダイビングのポイントになっています。石廊もそのひとつです。
海底に残る旧日本海軍の給油艦

石廊は、旧日本海軍で艦隊へ燃料などを補給する役割を担っていた給油艦です。1922年に完成し、船体の長さは約139m。ダイビング関連資料では約143mと紹介されることもある巨大な船です。

海底へ潜っていくと、巨大な船体が少しずつ見えてきます。その瞬間の迫力は、魚を見るダイビングとはまったく違いました。
石廊には大きな艦砲も残されています。

そしてこの船では、後に戦艦「武蔵」の艦長となる猪口敏平が、1940年から1941年にかけて艦長を務めていました。猪口は海軍内でも砲術の専門家として知られた人物です。

現在の石廊は船体を起こした状態で海底に沈んでいて、甲板や砲、マストなどをダイビングで見ることができます。海底に巨大な船がそのまま残っている光景は、スケール感がおかしくなるほどでした。
戦争の船が魚やサンゴの住み家に
石廊を潜っていて、特に印象に残ったのは船そのものだけではありません。かつて戦争のために使われていた船体には、今ではサンゴが育ち、その周囲を魚たちが泳いでいました。

甲板だった場所も、砲が置かれていた場所も、海の生き物にとってはひとつの地形になっています。人間の歴史として見ると戦争の痕跡。
海の中の景色として見ると、長い年月をかけて生態系の一部になった巨大な人工物。その両方が同時に存在している、不思議なダイビングでした。
そして、この石廊でパラオのダイビングは終了。
最後の1本にふさわしい、忘れられないポイントになりました。
船長が釣ったバラクーダを刺身で食べる
ダイビングを終えて陸へ戻ると、お昼ご飯が用意されていました!

チキンカツにサラダ、たくあん、フルーツ、白米。
それだけでも十分うれしいのですが、その横にとんでもない一皿が追加されます。

船長が釣ったばかりのバラクーダの刺身です。島で休憩している間に釣っていた魚を、ダイビングの片付けをしている横で船長が捌いていました。


かなり大きな個体で、体長は1mを優に超えていたように見えます。てっきりクルーが食べるのだと思っていたところ、私たちにも振る舞ってくれました。
白身で淡白なのに、身にはしっかり弾力があり、噛むとほんのり甘みも感じます。釣ったばかりということもあり、とにかく新鮮。
「バラクーダって、こんなにおいしいのか」
海の中で見る魚という印象が強かっただけに、意外な体験でした。
オニカマスとシガテラ毒について
バラクーダは日本語ではカマス科の魚を指し、今回釣れたのは大型になるオニカマスの仲間でした。

オニカマスは最大で1.5mほどに成長する大型魚です。
ただし、ここには大切な注意点があります。
オニカマスはシガテラ毒による食中毒の原因になることがあり、日本では有毒魚として食用が禁止されています。厚生労働省もオニカマスを販売禁止の魚として示しています。
シガテラ毒は魚自身が作るものではありません。
海中の微細藻類などに由来する毒が食物連鎖を通して魚の体内に蓄積していくため、同じ種類の魚でも生息海域や個体によってリスクが異なります。
見た目や加熱だけで安全性を判断できるものではないため、今回のような体験を自己判断でまねするのは避ける必要があります。
現地の海を長年知る船長から振る舞ってもらったからこその、かなり特殊な体験でした。
パラオレモンが絶品だった!
刺身と一緒に船長が渡してくれたのが、小さな緑色の柑橘でした。パラオで「パラオレモン」と呼ばれている果実です。
パラオでは刺身の醤油に搾ったり、飲み物に使ったりする身近な柑橘として紹介されています。見た目は日本の一般的なレモンよりかなり小さく、カボスやシークワーサーにも少し似ています。
これをバラクーダの刺身に搾って醤油につけると、一気に爽やかな味になりました。
淡白な白身に柑橘の酸味が加わり、少しカルパッチョのような雰囲気にもなります。
釣ったばかりの魚を、その土地で育った柑橘と一緒に食べる。高級レストランではなく、ダイビングが終わったばかりの海辺で食べているという状況も含めて、最高の昼食でした。
最後まで忘れられないパラオのダイビング
この日のダイビングを終えた帰り道は、ずっと「最高だった」という話ばかりしていました。
ウミガメやサメ。
シアストンネル。
野生のイルカ。
無人島。
沈没船の石廊。
そして釣りたてのバラクーダ。
もちろん見られた生き物や景色もすごかったのですが、パラオでのダイビングがここまで楽しかった理由は、それだけではありません。
ガイドや船長、ショップのスタッフまで、とにかく人が温かかった。
最後には長年パラオでダイビングショップを営んでいるオーナーとも話す機会があり、海や魚について次々と話が広がっていきました。
海が好きな人たちが、本当に楽しそうに働いている。その空気まで含めて、居心地の良い場所でした。
パラオのダイビングを終えたときに残ったのは、「もう十分潜った」という気持ちではありません。純粋に、またここで潜りたい。そう思える最後でした!
宿に帰ると冷蔵庫に手作りレモネードが
大満足で宿に帰ると、さらに最後のプレゼントが待っていました!!
ホストからWhatsAppでメッセージが届き、冷蔵庫にレモネードを用意してくれているとのこと。
扉を開けると、キンキンに冷えた手作りのレモネードが入っていました。庭で採れたパラオレモンを搾って作ってくれたものだそうです。

ひと口飲むと、しっかりした酸味があるのに爽やか!!ダイビングを3本終えた体に、冷たいレモネードが染み渡ります。お風呂上がりにもう一度飲むと、これがまた最高でした。
海でも、人にも、最後まで恵まれたパラオのダイビング。
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