夕暮れの海へカヤックで漕ぎ出すと、水面は少しずつ夕焼け色に染まっていきました。日が沈むとコウモリが飛び始め、やがて満天の星と、パドルを動かすたびに光る夜光虫が暗い海に広がります。
幻想的なナイトカヤックを楽しんだあと、立ち寄ったスーパーでは思いがけない展開が待っていました…。
パラオでナイトカヤックへ!夕暮れの海を2人乗りで進む
パラオの海といえば、太陽の光を浴びて輝くエメラルドグリーンの海を思い浮かべます。
でも今回カヤックで向かうのは、昼ではなく夜の海!!
夕方から海へ漕ぎ出し、サンセットを眺めながら日没を待ち、そのまま真っ暗な海で夜光虫を探すナイトカヤックです。昼間のカヤックとは、見える景色も海の雰囲気もまったく違います。

今回は1人乗りではなく、2人乗りのカヤックで出発しました。
2人乗りカヤックは撮影との相性も抜群
2人乗りのカヤックは、最初こそパドルを入れるタイミングを合わせる必要がありましたが、慣れてしまえばかなり快適でした。
何より良かったのが、役割分担できること。
片方が撮影している間も、もう片方が漕いでいればカヤックは進み続けます。1人乗りだと撮影するたびに止まってしまいますが、2人なら海の上を移動しながら景色を残せます。

夕方なので昼間のような強烈な日差しもない。
海の上を抜けていく風も心地よく、暑すぎず寒すぎず。パラオでカヤックをするには、とても気持ちのいい時間帯でした。
自由に海を漕ぎながら夕暮れを待つ
この日はほかのグループも一緒でしたが、気づけばかなりのスピードで海を進んでいました。
気になる場所があれば近づき、面白そうなものを見つければ寄り道する。そんな動き方も温かく見守ってもらえたので、ツアーでありながら自分たちのペースで海を楽しめました!
そうして夕暮れの海を進んでいると、岩場に小さな白い花を発見。ガイドさんによると、これはパラオを象徴する花なのだそうです。
パラオの国花「パラオクチナシモドキ」
岩肌に咲いていた白い花は、パラオクチナシモドキ。
学名はBikkia palauensisといい、パラオの国花とされている植物です。

パラオに自生する固有種で、サンゴ礁由来の石灰岩の岩場などに生えています。水面すれすれの岩場に咲いているため、陸から眺めるのとは違い、カヤックならかなり近くまで寄ることができます。
こういう場所へスッと入っていけるのも、カヤックの面白いところです。
お花に顔を近づけると、ふわっと甘い香りがしました。
そしてお花を観察しているうちに、いよいよ太陽が傾き始めました。
カヤックの上から眺めるパラオのサンセット
少しずつ空がオレンジ色に染まり、目の前の海へ太陽が沈んでいきます。

ここからが、ナイトカヤックの中でも特に好きだった時間です。
夕日に染まった海を漕ぐ贅沢な時間
夕日に向かって、カヤックを漕いでいきます。

太陽の光を反射した水面もオレンジ色に染まり、パドルを入れるたびにその色がゆらゆらと崩れていく。
パシャッ、パシャッ。

聞こえてくるのは、パドルが水をかく音。ビーチから眺めるサンセットも綺麗ですが、海の上から見る夕日はまた別物でした。
日没とともに現れたパラオのオオコウモリ
やがて太陽が水平線の向こうへ消えると、世界の色が一気に変わっていきます。オレンジ色だった空から少しずつ光がなくなり、辺りは青から黒へ。
すると今度は、空に大きな影が飛び始めました。

パラオに生息するオオコウモリです。
パラオではフルーツバットとも呼ばれるオオコウモリが食文化のひとつとして知られ、レストランなどで提供されることもあります。
空高く飛んでいく姿を見ながら、「本当にこれを食べるのか……」と何とも不思議な気持ちに。
旅の前から気になっていたものの、実物が元気に飛んでいるところを見ると、食べる覚悟はなかなか決まりません。笑
そして、空が完全に暗くなったところで、ナイトカヤックはいよいよ本番を迎えます。
満天の星と夜光虫!真っ暗なパラオの海が別世界に
辺りが暗くなるにつれて、頭上には次々と星が現れ始めました。昼間とはまったく違うパラオの海です。
光のない海に広がる天然のプラネタリウム
周囲に街灯や建物の明かりがほとんどない海上では、夜空の見え方が一変します。
見上げると、そこには満天の星!!
空全体がキラキラしていて、まるで天然のプラネタリウムの中に浮かんでいるようでした。海の上なので視界も広く、頭上だけではなく水平線近くまで星空が続いています。
海に潜ると夜光虫が光る
真っ暗な海へ入り、少しだけシュノーケリングもしました!
当然ながら、夜の海の中は漆黒です。ところが手や足を動かした瞬間、その周囲に青白い小さな光が一斉に現れました。
夜光虫です。
夜光虫として見える発光現象の多くは、発光する植物プランクトンなどによるもの。水の動きなどの刺激を受けると発光し、暗い海の中に青白い光が現れます。
海の中で手足を動かすと、キラキラッと無数の青い光が生まれていきます。
夜光虫の面白さは、海に潜ったときだけではありません!
カヤックに戻り、周囲のライトを消してパドルを水へ入れると、今度は水面が光ります。
パドルの軌跡に沿って、青白い光がパッと現れるんです。カヤックが進んだあとの引き波にも光が残り、暗闇の中に光の筋ができてとても幻想的でした。
日本でも夜光虫を見たことはありましたが、海へ潜ったり、自分でカヤックを漕いだりしながら見るのはまったく別の体験でした。
ナイトカヤックの帰りにクレジットカード紛失が発覚

ナイトカヤックを楽しんだあとは、夕食の買い出しへ。向かったのは、以前にも訪れたスランゲル・ショッピングセンターです。
前回ここへ来たときは、一日中遊び回って体力がほぼゼロになり、最後はラーメンを食べてなんとか復活した場所。
今回は手持ちの現金が足りなくなったため、ATMから現金を下ろそうと、財布を開きました。
「あれ……カードがない」
血の気が引きました。財布の中を探しても、クレジットカードがありません。
ところが、カードがないと分かった瞬間、頭の中にある光景が浮かびました。前日、このショッピングセンターのATMで現金を下ろしていたのです。しかも、その日は一日中動き回ったあとで完全に疲れ切っていました。
ATMから現金は受け取った。でも、そのあとカードを抜いた記憶がない。
「絶対、あのときだ……」
不思議なもので、ATMを離れた瞬間にはまったく気づかなかったのに、カードがないと分かった途端、そのときの状況が走馬灯のように蘇ってきました。
慌ててATMへ戻ってみます。もちろん、カードはありません。正直、この時点でもう戻ってこないと思っていました。
それでも、もしかすると誰かが忘れ物として届けてくれているかもしれません。ダメ元で店員さんに尋ねてみることにしました。すると、予想外の反応が返ってきます。
「ああ、あれだ!」
そんな雰囲気で、店員さんたちがすぐに反応したのです。そして裏から持ってきてくれたのは、紛失したクレジットカード。どうやら前日に見つかったカードについて、スタッフの間で情報が共有されていたようで、尋ねるとすぐに返してもらうことができました。
海外のATMに置き忘れたクレジットカードが、翌日そのまま手元へ戻ってくる。これはもう奇跡に感じました!
カードを拾って届けてくれた人、そして大切に保管してくれていたお店のスタッフ。パラオの人たちの温かさを感じた出来事でもありました。
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