犬ぞりを学ぼう!隊列の組み方や活躍できる犬種とは

犬ぞりを学ぼう!隊列の組み方や活躍できる犬種とは

犬ぞりは、自然が大好きな人にはたまらない夢のようなアクティビティです。

この記事では、犬ぞりの歴史やそり犬として活躍する犬種など、犬ぞりにまつわる情報をお届けします。犬ぞり体験に興味をお持ちの方はぜひ参考にしてください!

実際の体験の様子はこちらの記事で詳しく紹介していますので、あわせてどうぞ!
忘れもしない超過酷な犬ぞり操縦体験 inホワイトホース

犬ぞりの歴史

犬ぞりの起源とは?

冬のアクティビティとして人気の「犬ぞり」ですが、かつては人や荷物を運ぶための重要な交通手段でした。
犬ぞりの起源は非常に古く、30,000〜35,000年前のモンゴルにはすでに存在していたと考えられています。

紀元前1,000年ごろになると、人々の居住地は北極圏にまで拡大していきます。その結果、寒冷地域で暮らす人が増え、犬ぞりの需要が高まりました。
特に、車輪を通すことのできない狭い雪道では、大きな馬よりも犬が活躍しました。

スイスの画家カール・ボドマーにより、1840-1843年ころ描かれた挿絵

日本において犬ぞりといえば、1,983年に公開された映画「南極物語」に登場する樺太犬のタロとジロの話が有名ですよね。

犬ぞりが人気になった背景

時代の流れとともに、犬ぞりはレクリエーションとしての側面も持つようになっていきます。

世界的に注目を集めたのは1,920年ごろ。当時のカナダ・アラスカはゴールドラッシュに沸き、探索や開拓のために犬ぞりが盛んに活用されていました。1920年代に入り、探索から帰還した金鉱労働者たちによってもたらされた犬ぞりレースは一躍大人気に!
1,932年のレイクプラシッドオリンピックでは、犬ぞりが公開競技として行われた歴史もあります。
しかし、オリンピック競技としての犬ぞりはこの1回切りとなったため、幻の競技となってしまいました。

現在では、犬ぞりレースや犬ぞり体験など観光の一環として人気を集めています。

大自然を満喫できる犬ぞりの魅力

犬ぞり最大の魅力は、寒冷地域の大自然を満喫できること!

犬たちがそりを引いてくれるので、当然のことながらスノーモービルのような機械的な音はありません。
さらに、犬ぞりツアーが行われるのは、通常街から離れた自然いっぱいの場所!そのため、周囲には人工的な音は何ひとつありません。そこにあるのは、犬たちの「ハァッハァッ」という息づかいや、雪とソリがすれる音、そして、ときおり聞こえる針葉樹がきしむ音。ただそれだけ。

自然が大好きな人にはたまらない環境です。

極寒カナダの犬ぞりツアー

カナダの犬ぞりツアーには、いくつかの体験パターンがあります!
 ①乗車・操縦体験
 ②犬ぞり&オーロラ鑑賞
 ③レース形式       など

yanakijiでは極寒カナダ旅で「①乗車・操縦体験」にチャレンジ。
乗車体験では犬たちと同じ目線で絶景を楽しみました!!天気が良くて雪もキラキラ。
でも思った以上に風が冷たくて体がキンキンに冷えたので、しっかり防寒対策をしていくのが良さそうです。

この時、きじーは操縦士(マッシャー)に挑戦しましたが、何のレクチャーもなくスタート。
犬くんたちとなんとか協力しながら、取り残されてないように走る走る!かなり過酷な操縦体験でした。

体験の詳しい様子はこちらの記事をご覧ください!リアルな、きじーの心の声(叫び?)がお楽しみいただけます。

犬ぞりの隊列とポジション

犬ぞりの隊列には、2つのタイプがあります。
1つは、現在広く利用されている「ダンデムタイプ」。縦に隊列を組んで進みます。

もう1つは、扇形で走る「ファンタイプ」。そりに1匹ずつ繋ぎ、扇の形になって進みます。

ファンタイプは、カナダ北部のイヌイット族で古くから使われてきましたが、狭い道や急な道を進むのにはダンデムタイプが適しています。そのため、現在の犬ぞりレースや犬ぞり体験では、ダンデムタイプが使われることが一般的!

ダンデムタイプには、それぞれポジションが存在します。以下の画像をご覧ください!

先頭の犬:「リードドッグ」と呼ばれ、賢く、物怖じしない犬が選ばれます。
中間の犬:スイングドッグ。協調性や方向性、体力に優れていて、足の速い犬が選ばれます。
最後尾の犬:ホイールドッグと呼ばれ、マッシャーに最も近い場所であることから、特に協調性が求められるポジションです。

そり犬として活躍する7犬種

そり犬は、極寒地域で人や重い荷物を乗せて長い距離を移動しなければいけません。
そのため、そり犬として活躍するには次のような条件が求められます。

①高い身体能力
②重いものを牽引するための頑丈な体
③長時間の移動に耐えられる体力
④極寒地域の厳しい生活にも耐えられる精神力

そり犬は、自分の体重と同じくらいの重さの荷物を運ぶことができると言われています。
人間や重い荷物を運ぶ必要があることから、そり犬には体重45kg前後の大型犬が使われることが多いのだそう。

ここからは、実際にどのような犬種が活躍しているのか見ていきましょう!

1.シベリアンハスキー

体高オス)52〜60cm メス)51〜56cm
体重オス)20〜27kg メス)16〜23kg
原産地シベリア地方(ロシア)

シベリアンハスキーは、古くからシベリアの先住民「チュクチ族」のそり犬として活躍してきた犬種です。

見た目はクールですが、穏やかで人懐っこく飼い主に従順です。

彼らは身体能力が高く、重い荷物の牽引や長時間の移動にも耐えられる強さも持っています◎
これは、そり犬としての訓練や遺伝的な特性によるものと考えられます!ただし、この強靭な体をキープするには、毎日7,000キロカロリーの食事が必要なのだそう…!

目の色は個体によって異なり、「黒・青・茶・黄・オッドアイ」など、さまざまな色が存在します。

2.アラスカンマラミュート

体高オス)64cm メス)58cm
体重オス)39kg メス)34kg
原産地アラスカ地方(アメリカ)

アラスカンマラミュートは、古くからアラスカのエスキモー「マラミュート族」の狩猟パートナーでした。そのため、重い荷物を運びながら長距離の移動に耐えるスタミナを持っています。

基本的には従順な性格ですが、独立心と警戒心が強く、外では飼い主を守るためにやや攻撃的になってしまうこともあるようです。

アラスカンマラミュートとシベリアンハスキーはよく間違えられますが、アラスカンマラミュートは、シベリアンハスキーより一回りほど大きな体をしています。

それに加えて、目や毛の色、耳の位置も異なります。中でも最もわかりやすい違いは尻尾ではないでしょうか。
アラスカンマラミュートの尻尾はくるりと巻き上がっているのに対して、シベリアンハスキーの尻尾は垂れ下がっています。

<目の色>
アラスカンマラミュートの目はダークカラー。一方のシベリアンハスキーの目は「黒・青・茶・黄・オッドアイ」などさまざまな色がある。

<毛の色>
アラスカンマラミュートの毛色はライトグレー、グレー、ブラック、セーブル、レッド、ホワイトが基本。シベリアンハスキーはブラックから純白までさまざまな色がある。

<耳の位置>
アラスカンマラミュートは耳と耳が離れていて、やや低い位置にある。一方のシベリアンハスキーは比較的高い位置に耳があり、耳と耳の距離が近い。

3.グリーンランドドッグ

体高オス)60cm メス)55cm
体重オス)30〜32kg メス)30〜32kg
原産地グリーンランド

グリーンランドドッグは、その名の通りグリーンランド固有の犬種。5,000年ほど前からその存在が認められており、北方の古代犬種のひとつと考えられています。

極寒の厳しい生活にも耐えることができる体力と忍耐力を持ち、古くから運搬や狩猟の目的で利用されてきました。一時は絶滅の恐れもありましたが、現在はその危機を乗り越えています。犬ぞりやレースでの活躍だけでなく、家庭犬としても人気があるようです!

4.ノルウェジアン・エルクハウンドグレー

体高オス)52cm メス)47cm
体重オス)23kg メス)22kg
原産地ノルウェー

ノルウェジアン・エルクハウンドグレーは、グリーンランドドッグよりさらに歴史が古く、およそ6,000年前にはすでに存在したと考えられています。

古代から狩猟としてだけでなく、ヴァイキングの航海に同行するパートナーとして重宝されてきました。もちろん、冬場はそり犬として活躍!
西ヨーロッパを侵略したヴァイキングも、遠征の際には必ずノルウェジアン・エルクハウンドグレーを連れて行った、なんて歴史もあります。

5.ニューファンドランド

写真右の大型犬がニューファンドランド
体高オス)71cm メス)66cm
体重オス)60〜70kg メス)45〜55kg
原産地カナダ

ニューファンドランドは、カナダ東岸のニューファンドランド島を原産とする犬種。
とても優しく穏やかな性格の持ち主です。この頑丈な体と筋肉を生かし、重い荷物を運ぶことができます◎

また、泳ぎが得意なこともあり水難救助犬としても重宝されています。 

カナダでは飼育頭数が制限されていたため、一時は絶滅の危機に!しかし、イギリスのドッグショーで紹介されたことで人気犬種となり、積極的に繁殖が行われるようになりました。

6.カナディアン・エスキモードッグ

体高51〜69cm
体重27〜48kg
原産地カナダ北極圏

カナディアン・エスキモードッグは、古くからカナダ北部の「イヌイット族」と共に暮らしてきた犬種。

彼らは主に荷物を運搬する役割をし、冬場は1頭あたり45〜80kgもの荷物をそりに載せて24〜110kmの距離を運ぶこともありました。
時には、アザラシやホッキョクグマを狩るための猟犬としても使われ、イヌイット族の生活に欠かせない重要な存在でした。

筋肉質で引き締まった体、長い足とマズルが特徴です。

7.樺太犬

体高54〜67cm
体重22〜45kg
原産地樺太(サハリン)、千島列島

樺太犬は、樺太(サハリン)原産の犬種。
筋肉質でたくましい体つきをしており、特に前脚の筋肉はそりを引くために発達しています。

樺太犬は、1,910年〜1,912年に南極探検隊に同行し犬ぞり用の犬として活躍しました。また、戦後の南極観測隊でもそり犬として採用されたことで有名です。

しかし、車が普及するとともに使役犬としての需要が減少し、さらにキノコックス症の発生など不幸が重なり、1970年代に樺太犬はほぼ絶滅してしまったと言われています。

その他:アラスカンハスキー

最後に、上記の7犬種とは別に、そり犬として欠かせないアラスカンハスキーをご紹介します。

アラスカンハスキーは純血種ではなく、犬ぞり用にスピードや持久力、賢さを求めて改良された雑種犬です。
20世紀に入り、犬ぞりレースが盛んになるにつれ、より優秀なレース犬を求めて混血化が進みました。
頭を良くするためにボーダーコニーを掛け合わせたり、忠誠心を高めるためにシェパードを掛け合わせたり。これらの改良を経て生まれた犬たちが、アラスカンハスキーと呼ばれます。

また、彼らはシベリアンハスキーよりも寿命が長く、平均で20年も生きることができるようです。

冬のカナダではぜひ犬ぞり体験を!

今回は、犬ぞりの歴史やそり犬として活躍する犬種など、犬ぞりにまつわる情報をお届けしました!

実際の犬ぞり体験はかなり過酷で辛くもありましたが、とても価値のある体験でした!
犬ぞりを検討している方は、ぜひ挑戦して欲しいなと思います◎

ポッドキャストでも、このテーマについて楽しく語っています。興味があれば、ぜひこちらも聞いてみてください!

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